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| P41 | 戦時指導者東条はつまるところさほど悪人ではなかったと主張する新作の 映画は、日本のかつての敵を怒らせる | rankle :怒らせる、 foe : 敵、 wartime leader : 戦時指導者、 |
| 1 | 将軍東条英機を覚えていますか?1941年の真珠湾攻撃の時の日本の首相です。 第二次大戦後、連合国が戦犯として裁判にかけ死刑にした、傲慢な軍国主義 者です。そう、今週東京で封切りになる、大物スターを配し、大金をかけた 映画によると、彼は不当な非難を受けたのです。「Pride, The Fateful Moment」 は、将軍の心温まる愛すべき面を描いています−−孫を愛するお祖父さん、また 愛情豊かな夫として。歴史が見過ごしてきたものです。別の、本当の被害者は、 日本だ、とその映画は語っております:日本のアジアへの侵略は、近隣諸国を 西洋の植民地支配から開放する崇高な十字軍であったと。決して、石油や生活 圏をひったくるといった血なまぐさいものではありません。南京大虐殺に関し ては、帝国陸軍によって画策された一月半に渡る虐殺は、全くなかったのかも しれない、と映画はほのめかしております。 | Hideki Tojo :【東条英機】軍人。政治家。陸軍大将。東京出身。満州事変後、 関東軍参謀長。中国侵略拡大を主張。昭和一六年内閣首班となって太平洋戦争に 突入。戦況の不利に伴い重臣の倒閣運動におされ辞職。戦後A級戦争犯罪人として 刑死。(一八八四〜一九四八)、 defiant : 反抗的な,傲慢な、 militarist : 軍国主義者、 Allies : 連合国、 execute : を死刑にする、 war criminal : 戦争犯罪人,戦犯、 bum rap : 不当な非難、 depict : 描写する、 cuddly : 愛らしい、 dote :溺愛する、 loving : 愛情のある、 overlook : 見過ごす,見落とす、 noble : 崇高な、 crusade : 改革運動,十字軍,撲滅運動、 Lebensraum :《ナチスの理念だった》《一般に》生活圏、 bloody : 血生臭い、 as for : 〜に関しては、 Nanjing : 南京、 massacre : 大虐殺、 spree : ばか騒ぎ、 orchestrate :組織化する,画策する、 Imperial Army :(大日本)帝国陸軍 |
| 2 | このメッセージは、戦時中の日本の占領下にあって苦しんだ近隣諸国を激怒させて います。戦争により何百万もの人が亡くなった中国では既に、ある役人が言ってい るように、「日本の戦時下における侵略性を糊塗し、東条を賛美するものだ」と その映画を非難しています。将軍を同情的に描いたこの映画はまた、日本が経済 の回復にさらなる努力を渋っていることにいらだっているこの時期、アメリカの 敵意をつのらせもするでしょう。日本ではと言えば、驚くべき事には、この映画 はさして非難を浴びていないのです。声高な右翼勢力の歴史的観点が主流となり つつある証拠です。東映制作のこの映画は、一流の俳優と1,100万ドルの費用を かけてます−−日本の基準では大金です。だけど、新聞はほんの少し、批判を するでもない記事を載せただけです。 | infuriate : 激怒させる、 occupation : 占領、 condemn :非難する、 whitewash : ごまかす,もみ消す、 aggression : 攻撃(性),侵略、 sing the praises : 能書きを並べる,褒めちぎる、 portrayal : 描写,記述、 animosity : 憎悪,敵意、 exasperate :怒らせる,ひどくいらいらさせる、 striking : 著しい,目立つ、 vocal :ずけずけと[強硬に]意見を述べる、 right-wing : 右翼の、 feature : 〈俳優を〉主演させる、 scant : ちょっと不足の、 uncritical : 批判的でない、 coverage : 報道 |
| 3 | 何十年もの間否定し続けてきましたが、最近、日本は戦時中の遺産とでもいう ものと取り組み始めました。中国と韓国に公式に遺憾の念を表明し、教科書に はっきりと戦争について記述したのです。しかしながら、このようなほんのわ ずかな取り組みでさえ、保守的な人達からの反発を招きました。彼らが非難す るの点、余りに迎合的であるということです。東条の映画は、保守派が考える、 害ばかりの被虐的な戦争観、それを変えようという流れの一環です。「日本人 は自尊心を無くしてしまった、と私は深く心配しています」とnationalistic Youth Liberal Partyの一員であり、この映画の主たる資金元である企業家 Katsuaki Asanoは言う。「子供たちは間違った教科書で間違った歴史を学んで います。また首相は謝ってばかりいます。まことに痛ましい限りです。」 | grapple with : 〜に取り組む、 legacy : 遺産,遺物、 official statement : 公式声明、 remorse : 激しい後悔、 backlash : 激しい反発、 conservatives : 保守派、 conciliatory :なだめるような,懐柔的な、 stance : 立場,姿勢、 revise : 修正する,改正する、 masochistic : 被虐性愛の、 nationalistic : 国家主義の、 pathetic : 痛ましい |
| 4 | 不幸なことだが、子供たちは「Pride」からさして歴史を学ばないでしょう。 映画は東条達指導者の東京裁判に焦点を当てており、審理が、被告達に対す る偏見のもとでなされたという点を長々と述べています。これは、西洋の歴 史家も同意するところです。しかし、この映画は無責任です。インドの開放 のために戦う、若い理想に燃えた日本人を描いていますが、これは疑問です −−インドにおける日本の影響は極めて少なかったのです。また、日本軍はアジア の他の国において自由の戦士だったともこの映画はいっているようです。こ うした観念的な考えは、ソ連の宣伝用の映画を思い起こさせるように、この 映画を融通の利かない平板なものとしています(2時間41分で、うんざりする ほど長いものです)。東条は津川雅彦−−日本のロバート・デニーロ−−に より演じられ、その役柄は多才な人、また、孫を膝に乗せてあやす場面を見 ると、彼は、連合軍によって宣伝された怪物というよりむしろ複雑な人物で あったと思われます。しかし、この優しく穏やかな性格というのは、将軍の 娘が言うことです。彼女は将軍のイメージ回復に積極的に活動しています。 「この映画は東条を賞賛しています」と、この映画に反対してきた東映の 労働組合の副委員長Kunio Taka-hashiは言っています。 | belabor : 長々と続ける、 proceeding : 審理、 bias against : に対する偏見、 defendant : 被告、 play fast and loose :いい加減な態度をとる,無責任である、 depiction : 描写、 minimal : 最小の、 freedom fighter : 自由の戦士、 baggage : 時代遅れの考え[慣習]、 wooden :間の抜けた,融通のきかない、 two-dimensional : 深みのない,平面的な、 reel :枠巻きフィルム,1巻き(の量)、 tediously : 飽々するほど長たらしく、 well-rounded : 均整のとれた,多才の,幅広く豊かな才能のある、 refurbish : 一新する,新たに改造する、 eulogize : 賞賛する、 labor union : 労働組合 |
| 5 | この映画は、南京大虐殺という、中国の神経を逆なでる極めて論議の起こる 事件にまで迷い込んでいます。裁判の場面では、被告側弁護士が主教制司祭 ジョン・マギーに、日本占領時の1937年に彼が住んでいた中国のその都市 での殺戮について尋ねています。路上で兵士が市民を射殺しているのを見た とマギーが述べたあと、この弁護士は、彼が実際に何人殺されるのを見た か、と尋ねています。司祭はこう答えます:「一人だけです、バルコニーから 一人だけ」、法廷には驚きの忍び笑いが起きます。最近出版された「The Rape of Nanking」の著者アイリス・チャンに言わせれば、これは実在の マギーの証言を損なおうというあからさまな試みです。彼女によると、マギー は至近距離から虐殺を見ており、故郷への手紙にはこうありました:この 都市の通りという通り、裏通りに至るまで死体が転がっていた。私の知る限り において、また、実際のところかなり広範囲を歩き回ったのだが。」 | contentious : 論争的な、 courtroom scene : 法廷の場面、 defense lawyer : 被告側の弁護士、 Episcopalian :監督[主教,司教]制の、 titter : 忍び笑い、 courtroom : 【変化】《複》courtrooms,《名》法廷、 transparent : 明白な,率直な、 undermine : 密かに傷つける、 testimony : 証言、 Rape of Nanking : 南京大虐殺、 close-up : 至近距離からの,詳細な、 alley : 小路 |
| 6 | 日本のアメリカ大使は、先月うっかりチャンの本の信頼性を落しめようとして アメリカから一斉に非難を浴びました。東映がアメリカに持ってこようと計画 している東条の映画も同様の非難を引き起こすでしょう。この映画は「過去を 誤って描写」したものだと日本人が勇気をもって表明することを希望していま す、とチャンは言っています。この本は、英語で書かれたこの虐殺に関する総 合的な本なのですが、事件が忘却のかなたに消えていくことを恐れ、それに対 しての証拠を提供しています。悲しいかな、戦後50年経っても、こうした傷は まだ余りにも生々しいのです。 | unleash : 解放する、 clumsily : 不器用に、 discredit : 〜の信用を落とす,疑う、 outcry : 抗議,怒号、 comprehensive : 総合的な、 document : 〜に証拠書類を提供する、 oblivion : 忘却、 backers : 資金提供主、 feel-good : いい気分にさせる |
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