Perceptions

Perceptions
(5.4.-5.11.P40.1998)

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今回は JAPAN IN TIME から
  日本の歴史、と言っていいのでしょうか?それとも日本をアメリカから見た歴史かな? 途中なかなか難解な部分がありますし、やや長いので息切れするかもしれません。

認識


語彙は主に『英辞郎』Ver.7から抜粋

 

大意

語彙

P40 アジアの経済大国の雑誌報道は、自らを問い掛ける複雑な国家が成り上がって くる軌跡を辿っている coverage : 取材,新聞報道、 economic giant : 経済大国、 trace : 〜の跡をたどる、 complex : 複雑な、 in search of : 〜を求めて、
1 1926年、世界は3つの主要な海軍力に席捲されていた:アメリカ、イギリス、 それに日本。急成長しているのは日本だった。武士という封建時代から近代 産業国家へとわずか2世代で変貌を遂げたアジアの端の島国は、既にロシアと 中国との戦いに勝利を収めていた。今や、日本の指導者は自国の海軍力を拡大 するべく更なる予算を求めて運動していた。だが日本の近代化に伴う苦痛は 単に海軍の軍艦を増やすというものだけではなかった。「日本はかつてない ほど海軍を要求している」と、変貌を遂げつつあるアジアの巨人を始めて カバーストーリーにしたときタイムは書いている。「ヨーロッパは互いに第一次 世界大戦で気を取られていたが、すぐに東洋に目を向けるだろう。日本は人口の 新しいはけ口を見つける必要に迫られる。たとえこれが軍事的制圧によって 成し遂げられても、隣接する大陸での西洋の軍事力は日本の海軍力によって 阻止しなくてはならない。」 dominate : 〜を支配する、 naval : 海軍の、 sweeping : 全面的な,徹底的な、 transformation : 変容、 feudal : 封建の、 archipelago : 群島、 in battle : 戦場で、 lobby : 議員に働きかける、 firepower :《部隊・兵器の》火力、 growing pains : 成長に伴う歪み、 as never before : かつてなかったほど、 cover story : 雑誌の表紙(cover)に関連した特集記事、 evolve : 発展する,進化する、 emerge from : 出てくる、 preoccupation : 先取,気を取られていること、 interpenetrate : 浸透する、 Orient : オリエント、 in earnest : 本気で、 face with : 〜に直面する、 eventual : 結果として来るべき、 outlet : はけ口,出口、 conquest : 征服,占領地、 adjacent : 隣接した、 occidental : 西洋(人)の、
2 この最後の言葉は正に、日本の軍部の目標を反映しており、5年後の中国への侵攻 を予測するものであった。これにより日本は世界大戦への道を突っ走ることに なるのである。海軍の英雄東郷平八郎を特集したその記事は、タイムが1923年 に出版されてから100回以上日本の記事がカバーストーリーになったのだが、 その最初のものである。この75年間でこれほどの注目を集めた国はまだない。 記事の全てが深い洞察に基づくものというわけではなく、その多く−− 特に第二次大戦中−−は時代に伴う偏見に彩られていた。しかし、戦争の 気配が感じられるよりはるか前に、そして今日に至るまでも、タイムは日本を 真剣に取り上げてきたのだ。 military officer : 陸軍士官,陸軍将校、 presage : 予測する、 collision course : 衝突進路、 feature :特集する、 admiral : 海軍大将,司令長官、 perceptive : 洞察の鋭い,観察眼のある、 tinge with : どことなく〜の漂う、 down to : 〜に至るまで
3 今日、日本の記事の多くは橋本竜太郎の記事であり、大部分はよくない記事 である。日本は23年来の不況にみまわれ、橋本の支持率は下がりっぱなし、 国内外の人々は、世界第二位の経済大国はどうやって立ち直るのだろうかと、 ますます不安を感じている。 mire :(苦境に)陥れる、 slump : 不況、 approval rating : 支持率、 sag : 下落する、 onlooker : 傍観者、 right itself : 正常に戻る,解決する
4 日本についてもう自明のことであるが、日本人は未来へのカギを常に過去に 求めるというのがある(温故知新かな)。偶然ながら、1923年以来のタイム の日本報道を省みることは、今日のこの国の運命に大いにヒントになるだろう。 例えば、最近の新聞記事に見られる汚職や官僚の傲慢さなどは、1920年代と 1930年代においては、軍部が権力を握るのに用いた大義名分でもあった。 それにより、日本の民主主義の実験は崩壊し、戦争に向かったのだが。 同様に、近代日本を語るときには避けることのできないことだが、アメリカ との関係は急速に緊迫してきている。不況を脱しようと日本が輸出に力を 入れ、アメリカの貿易赤字が急増しているのだ。米日関係に関するタイムの 記事はいずれも、20世紀のライバルである2カ国の矛盾と対立を反映してきた。 legendary : 伝説の、 truism : 自明の理、 coincidentally : 一致して,同時に、 look through : 一覧する,目を通す、 plethora : 過多,過剰、 clue : かぎ,手がかり、 corruption : 汚職,政治腐敗、 bureaucratic : 官僚的な、 arrogance : 傲慢,横柄,尊大、 front page news : 第1面の記事,トップ記事、 grab : ひったくり,わしづかみ、 wreck :破壊する、 cornerstone : 肝要なもの,不可欠なもの、 trade deficit : 貿易赤字、 soar : 急上昇する、 recession : 不景気、 contradiction : 反対,否定,矛盾
5 無論、日本の記事に常にあるものはこの疑問だ:日本人とは何者か?1868年 の明治維新に始まる野心的な近代化、それ以来、2,000年のアジアの歴史と 西洋型の将来を合体する近代文化の進化というものを、外国人も日本人も なんとか理解しようとしてきた。確かに、日本式融合というのは、軍部が 国造りの主導権をとってきた第二次大戦前までは謎であった。さらに、 戦後日本の驚くべき復興は東洋と西洋の予想もしない衝突をもたらす運命に あった。だが、なぜ1世紀以上もの間詳しく観察されてもなお日本を理解する ことが簡単ではないのだろうか?「日本には常にある知的な異端が存在する」 とタイムの古参のライターが、「Japan in Search of Itself」と名づけた 1983年の特集記事の中で述べている。彼はこう説明した:「この島国を 考えるとき見えてくるものは、しばしば見る側の文化に関わっている。」 perennial : 絶え間ない,永続する、 modernization : 近代化、 Meiji Restoration : 明治維新、 amalgamation : 混合物,融合、 militarism : 軍国主義、 overtake :圧倒する、 nation-building : 国造り、 stunning :とても魅力的な,気絶させるような、 resurrection : 復興、 be bound to :〜せざるを得ない、 spark : 火付け役となる、 clash : 衝突、 scrutiny : 監視,精密な調査、 wind shear :風のシア《風の進行方向に対して垂直または水平方向の風速の変化(率), 晴天乱流・低層乱流の原因となり航空機の揺れに影響する》、 special issue : 特集号,特別号、 entitle : 〜に題名をつける、 contemplate : じっくり考える,じっと見つめる、 beholder : 見る人
6 今、日本の現代の制度の多くがかってないほど疑問を持たれている−− だが今度は日本人からだ。この国の舵をとって、経済と産業を1980年代後半に 絶好調にもっていった官僚と政治家達は国民の信頼を失った。経済のリーダー 達は地球規模に統合された経済の圧力に適応しようと焦っている。この経済 では、終身雇用といった純日本的な経営概念に対して容赦などしないのである。 steer : 舵を取る、 scramble : 先を争って〜する、 adjust to : 〜に適応する,順応する、 integrated economy : 統合経済、 notion : 概念、 lifetime employment : 終身雇用
7 当然のことながら、過去75年のタイムの記事は日本自身の発展を反映している。 こうした記事を見たからといって、この国の過去や未来への解答を得ることが できるわけではない。だが、これにより、今日の問題の起源がはるか昔に あることを思い起こすのに役立つであろう。 reportage : ルポルタージュ、 mirror :映す、 reminder : 助言、 way back : ずっと昔
8 1923年から1945年:戦争の惨禍  
9 この時代は、外国人は依然として日本の天皇を帝−−ギルバートとサリバン の音楽にちなんで−−と呼んでおり、日本人を言うときはいつも、小人で出っ歯 の原住民と片づけていた。事実、日本に関する最初の記事には「chopsticks」 という言葉についての長ったらしい脚注があった:「『Chop』はピジン英語で 「素早い」という意味だ。中国人はこの道具をkwaitseと呼んでおり、それは文字 どおり『素早いもの』という意味だ。使用の作法は手が込んでいる。」戦争に傾斜 していく年代記の中に、タイムの記者は芸者の仕事や相撲の詳細(紀元前 32年に起源をもつ)についての詳しい記事を書いており、プロ野球リーグに 対する希望的観測も書いていた。「1931年の記事によると、その娯楽は昔から の相撲より日本では人気が」あった。相撲に関してはこんなところだが、 これは今でも根強く1996年のカバーストーリーになった。 dispatch :急送,発送,すばやい処理、 toothy : 出っ歯の、 native : 原住民、 lengthy : 長ったらしい、 footnote : 脚注,補足説明、 pidgin English : ピジン英語、 elaborate : 手の込んだ、 chronicle : 年代記、 tilt : 傾斜、 detailed account : 詳細な説明、 ins and outs : 〜の全詳細,一部始終、 originate in : 起源を持つ、 pastime : 娯楽、
10 日本の景気は世界不況のために悪化し、政治は平和主義と軍国的愛国主義の間を 揺れ動いていたので、タイムは政治における皇族とその影響−−それゆえ政治が 欠如するのだが−−の重要性を解説するためにかなりの紙面を割いた。1932年の カバーストーリーは、それに続く多くの政治暗殺と政府交代の記事の最初のもの なのだが、裕仁天皇(1989年までに8回カバーストーリーとなる)を引用していた。 彼は4年早く即位し、治世を「啓発された平和」を意味する「昭和」と呼ぶことを 選択した:「私は『世界大戦の戦場を訪れ、そうした荒廃を知り、平和の有り難味 と国家間の協調の必要性を理解した!』と彼は言った。こうした熱烈な言葉と、 過去の前例を打破するという評判から、多くの日本の記者は裕仁天皇は本当に 『啓発された平和』をもって統治するだろうと2,3年前に予想した。彼らはまた、 政党や議会や閣僚による統治という日本の比較的新しい体系を天皇が強化するだ ろうとも予想した。だがその代わりに、陸軍は今や満州に進出しそこに留まって いる。」 deteriorate : 悪化する、 worldwide depression : 世界的不景気、 seesaw : 動揺する、 pacificism :平和主義、 nationalism : 愛国主義、 assassination : 暗殺、 change in government : 閣僚の更迭、 quote : 〜を引用する、 ascension : 即位、 reign : 治世,統治、 enlightened : 開化した,啓発された、 battlefield : 戦場、 devastation : 荒廃,破壊、 blessing : 神の恵み,恩恵、 concord : 協調、 fervent : 熱烈な,誠意を込めた、 outworn : 着古した、 precedent : 前例,先例、 cabinet : 内閣、 Manchuria : 満州、 hang on : 手放さない,〜をしっかりつかまえる
11 戦争が近づくにつれ、1936年の記事はこう指摘している、ドイツと違い日本は ファシズムに向かうというよりむしろ単に近代化の圧力に対処できないように 思われると。「ドイツのアドルフ・ヒットラーは時代を血とヴォータンと民族 の世界に戻そうとしている」と記者は書いていた。「日本は決して時代を1936年 に向けたことはない。」タイムの記事はますます主戦論の論調を帯びては くるが、アメリカ人にとっての日本人の謎を次の文ほど伝えるものはない。 それは1940年の記事からのもので、連合国との戦争に突入すべきかどうかに ついての日本国内での議論を述べたものである。 destined for : 〜する運命にある、 fascism : ファシズム、 cope with : 対処する、 modernization : 近代化、 turn back : 元に戻す、 Wotan :【ゲルマン神話】ヴォータン《ゲルマン神話の主神;アングロサクソン のWoden,北欧の Odin に相当》、 jingoistic : 対外強硬主義者の,主戦論者の、 rhetoric :修辞学,レトリック,言葉のあや、 Allies : 連合国
12 日本政府に確たるものはない。天皇は神聖であるが、日本は今は絶対君主国で ある。憲法は民主的なものだが国民に主権はない。将軍はいずれも天皇に責任 を持つ−−だが陸軍はやりたいほうだい−−ものの日本は軍事独裁国家ではな い。5つの政党があるが、政治学という真の意味での政策などはない。過去3年間、 日本政府は全体主義のように思われるが、実は全くの混乱状態であった。日本は このことをわかっており、それにたいして何かをやりたいと考えている。 divinity : 神性、 and yet : そのくせ、 absolute monarchy : 絶対君主国、 Constitution : 憲法、 dictatorship : 独裁政治、 science of government : 政治学、 totalitarian : 全体主義の、 unmitigated : 純然たる,まったくの、 chaos : 混乱状態、 wistfully : 物欲しそうに
13 真珠湾攻撃の後、タイムは表紙に山本五十六をこのように載せた。人種差別 丸出しの風刺で「日本人ならではの狡猾な」黄色い鬼と評していたのだ。 だが記事は、その後の戦争記事ではほとんどないほどのバランスを保つのに 苦労していた。 racist : 人種差別主義の、 caricature : 風刺マンガ,風刺文、 ogre : 人食い鬼、 wily : 狡猾な、 subsequent : その後の
14 「山本五十六は、アメリカの漫画家が典型的日本人として選んだ、べっ甲縁の めがねをかけ、口髭をピンとはやし、超出っ歯で、にんまり笑い、シーシー 歯をすする小男ではない。赤ん坊を殺すのを楽しみ、夕食の後にはコーヒー ではなくレイプをする怪物でもない。」そうではなく、この記事にはこう 書いてあった、「彼が嫌うのは、彼の同僚達がみな嫌うのは、アメリカと イギリスの日本に対する態度、特に日本海軍に対する態度である」と。 grin :歯を見せて笑う、 horn-rimmed : べっこう製の縁の、 mustache : 口髭、 buck teeth :出っ歯、 cartoonist : マンガ家、 rape : 強姦する,略奪する
15 広島と長崎が原爆で破壊され、日本が降伏した後、連合国に絶えず付きまとった 問題は天皇の果たす役割であった。彼は戦犯として裁かれるべきか?神聖な地位は はがれるべきか?結局アメリカは妥協し、皇室の制度を象徴的なものに引き下げ、 ダグラス・マッカーサー将軍は裕仁天皇をワイシャツで迎えることで(天皇は 公式のモーニングだった)誰がボスかを日本に知らしめた。だが「神聖なる天子」 の重要性は明らかだった。「いつまで時代錯誤は続くのか」と題された1945年の 裕仁の記事では、タイムは、表紙を上にし他の物を置かないようにという日本人 からの嘆願を脚注につけた。 surrender : 降伏、 persistent : しつこい,永続的な、 war criminal : 戦犯、 compromise : 妥協する、 imperial : 皇室の、 Son of Heaven :【中国】天子《皇帝の称》、 in story : 楽屋落ち、 anachronism : 過去の遺物,時代遅れ、 plea :陳述,弁解
16 1945年から1970年:日本有限会社の設立 inc : 有限会社
17 アメリカは日本再建に資源を注ぎ込んだが、日米の蜜月関係は長くは続かな かった。理由の一つは共産主義である。米ソの冷戦が緊迫してくるにつれ、 平和主義の日本の政治家と、左寄りの新聞の社説から、日本が「赤」に変わ るのではないかという恐怖を抱かせたのだ。(タイムの創設者ヘンリー・ ルースが熱心な反共産主義者であることを考えてもわかるように、この雑誌は、 共産主義を打破すべきだという警告を出すことで出版界でも有名であった。) 1952年、アメリカの占領は終結、だがその過程で−−日本の左傾化はいかなる ものでもつぶすという目的で−−再び日本の保守的愛国主義者や財閥を解き放つ こととなった。「the reverse course」として知られるこの動きにより、戦前 からの腐敗政治家や企業が権力の地位に返り咲いた。 cold war : 冷戦、 pacifist : 平和主義者、 left-leaning : 左傾の、 prompt : 駆り立てる、 fervent : 熱烈な、 anti-communism : 反共産主義、 prominent : 有名な、 publication : 印刷物、 occupation : 占有,占領、 dent : へこませる、 unleash : 放つ、 corrupt : 崩れた
18 だが日本の経済発展が最後にはすべての懸念を覆い隠した。「広重の版画の 淡い色合いのような東京の空に、アジア一高いテレビ塔が伸びている」と タイムは1955年に書いている。「南部の噴煙を吐き出す産業都市同様に、 首都でまず目につくのは醜さである。東京は、電車やバスや自殺も辞さない タクシーが走る、神経をいらだたせる都市である。」日本の気違いじみた成長 は海外にも知られるようになった。まず保護貿易主義が根づいたとき、次に、 どっと輸出が海外にあふれたとき。「戦争以来、アメリカの産業は2億2900万ドル 以上を日本に投資してきたが、新冷戦が日本との間で形成されつつある」と 1955年4月の記事は言っている。その年の後半、日本政府が外国に非常に高い 関税をかけたとき、日米関係は悪化し続けていた。戦前日本にいた経験の あるアメリカの実業家はタイムにこう語った:「1935年の雰囲気をまた 嗅ぐことができるよ。」 economic development : 経済発展、 overshadow : 影を投げかける、 tint : 色合い、 Hiroshige print : 広重の版画、 puncture :〜を刺す,、 girder :梁,大梁、 TV tower : テレビ塔、 jangle :〈神経などを〉いらだたせる、 centrifuge : 遠心機,遠心分離機、 electric train : 電車、 streetcar : 路面電車、 frantic : 気違いじみた、 protectionism : 保護貿易主義、 take root :根を下ろす,定着する、 trade war : 貿易戦争、 levy :課する
19 その間、おびただしいアメリカ文化が日本に押し寄せた。1950年代には、 日本社会に関するタイムの記事は政治と経済という基本的なものを超えた もっと広範囲なものを扱った。「安っぽい化粧品のように、征服者の習慣が 日本に広まった」とタイムは書いた−−そして1955年のカバーストーリーでは、 西洋かぶれと日本の伝統とのとの矛盾を載せている:ダンスホールやオードリ・ ヘップバーンへの傾倒、それに対して華道や畳への美学。「何世紀にも渡る 外来文化の導入により、日本は真似るのが上手な国という評判をとった」 とタイムには書いてある。戦後の日本に対する、そうしたそっけない見下す ような評価は次のような一連の記事にも一貫してある:見てみろ、日本は なんと「我々」のようになろうとしていることか!バレー。映画。整形外科。 そして1958年、ミルタウンの精神安定剤がアメリカで流行ったとき、タイムは 日本にそれが上陸するだろうと書いた:「日本人は情にもろい人種であり、 薬を飲むのが好きである。しかも西洋の習慣を取り入れたいのだ。これらを 考えると、日本は精神安定剤の素晴らしい市場となる。」 in the meantime : 話は変わって,一方、 sea of : おびただしい数の,多量の、 nuts and bolts : 根本,要点、 rub off on :こすれて〜にくっつく,人の性格や癖がうつる、 fad : 一時的流行、 fascination with : 〜に魅惑されること、 flower arrangement : 華道、 aesthetics : 美学、 agile : 鋭敏な,機敏な、 mimic : 模倣者、 bald :そっけない、 condescending :人を見下すような、 appraisal : 評価,鑑定、 plastic surgery :整形外科,美容整形、 tranquilizer : 精神安定剤,鎮静剤、 Miltown :【商標】ミルタウン《meprobamate 製剤の商品名》
20 1960年代には、近代日本に対する固定観念ができあがった。非常に倹約で 仕事ばかりする国というもので、西洋からはありとあらゆる忠告と技術を 貪欲に吸収するというもの。1965年の記事では、1989年までに経済を駄目に する建設ブームと地価バブルの始まりを書いたものがあった。地価高騰は 1955年からの東京の地価指数を670%に押し上げ、銀座の1エイカーの 土地は1800万ドル(1965年のドルで)になり、平均的日本人には、家は高く て買うことができなくなった。「皇居の広場で妻と性行為をしていて警察に つかまったタクシーの運転者は、同情の余地ありとして釈放された」と その記事で書いてある。なぜだろうか?6人家族のその運転手のアパートは、 7.5平方メートル(ちょっと狭すぎない?4.5畳だね)しかなかったのだ。 stereotype : 固定観念、 thrifty : 倹約な,繁栄している、 workaholic : 仕事中毒者、 ingest : 取り込む,摂取する、 chronicle : 記録にとどめる、 property bubble : 地価バブル、 all but : ほとんど、 real estate : 不動産、 acre : 約4046.8平方メートル/約1224坪、 prohibitively : 手が出ないほどに、 nab :逮捕する,取り押さえる、 make love to : 〜と性行為をする、 plaza : 広場、 Imperial Palace : 皇居
21 60年代が終わりに近づくにつれ、安全保障とベトナムが見出しの中心となった。 だがそれでも、日本に関してタイムなどの記事に絶えず現れるテーマは貿易で あり、アメリカとの関係を語る際の中心議題となってきた。1968年12月の貿易会議 では、タイムはこう書いている、「日本人は非常に非協力的で、話し合いは決裂 寸前だ。予定されているいくつもの議題のうち、日本人が輸入の自由化に同意 したのはわずかにチューインガムとペットフードだけ。」1969年の記事はこう 締めくくっている:保護貿易主義は、日本の商慣習に深く根差している」 resound : 鳴り響く,鳴り続く、 publication : 出版物、 fast :不変の,速く、 trade talks : 貿易交渉、 uncooperative : 非協力的な、 liberalize : 自由化する、 protectionism : 保護貿易主義、 deeply rooted : 深く根を下ろした、 do business : 営業する,取引する
22 1970年から1989年:太陽のある場所  
23 70年の大阪万博は、戦後の日本が世界にデビューするものであった。「21世紀が 日本の世紀となったとしても驚くには当たらない」と未来学者の故ハーマン・ カーンは1970年のタイムのカバーストーリーに喜んでそう書いている。その記事 には続けて、日本の成功の秘密についての大胆な結論をこう書いてある: 「日本人は極めて強烈な競争心を抱いており、込み合うほどの人が居るという ことでライバルが増え、さらに閉塞状態になるという事実でさらに強められている。 この競争心は深く日本人の心に植え付けられているので、世界での地位を 気にするのだ。もっと高い地位につきたいのである。」 Expo : 万国博覧会,万博、 coming-out : 社交界へのデビュー、 futurologist : 未来学者、 exult : 歓喜する、 sweeping : おおざっぱな,大胆な、 possess : 才能を有する、 shoulder to shoulder :肩を並べて,協力して、 invariably : いつも、 invariably : 《副》いつも、 make for : 〜に向かう,〜に役立つ、 competitive spirit : 競争心、 instill : 植え付ける
24 地位を高めるのは難しい。「どんなに自信があるといっても、日本人は 近代化の激痛に耐えているのである。1世紀前までは、日本は封建主義の 時代で、主として農業を営み、ほとんど、鎖国状態であった。今日では、 西洋と東洋、また新旧が時に合い混ざった状態にある。」こうした対立に加えて、 日本の特異な性格がある、とアメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトの 「今でも的を得た」1946年の研究である「菊と刀」を引用しながらタイムは 書いている。自国への責任と隣国への責任、自分達のイメージと希望、 そうしたものの間にある矛盾により、日本は現代の世界に収まることが 難しい、と記事は続けている。かくして、反抗的な学生、人口過密と汚染 などが日本の成功を危うくする危険があった。 for all : 〜にもかかわらず、 acute : 強烈な,深刻な、 pang : 激痛,心の痛み、 agricultural : 農業の、 insulate : 絶縁する、 baffle : 困惑させる、 cultural anthropologist : 文化人類学者、 pertinent : 的を射た、 chrysanthemum : 菊、 rebellious : 反抗的な、 choke : 窒息させる,〜の成長を阻止する
25 実際、1970年代は不安定な時期だった。日本は2回のオイルショックと3年に 及ぶ不景気に苦しんだ;現在までつながる多くの政治汚職の第一のものとして、 アメリカのロッキード社から賄賂を受け取ったかどで、1976年田中角栄首相が 退陣した;米日は、繊維から半導体に至る広範囲なアメリカからの輸出に関して、 長い戦いに突入した。 precarious : 不安定な、 mightily : 激しく、 oil shock : オイルショック、 corruption scandal : 汚職事件、 ripple : 〜に波紋を起こす、 bribe : 賄賂、 pitched battle : 長く激しい戦い、 burgeoning : 拡大する、 textiles : 繊維、 semiconductor : 半導体
26 それでも1981年までには、日本の成功への崇拝というものはたいしたもの だった。ハーバード大の社会学者エズラ・ボゲルのベストセラー、Japan as Number One:アメリカへの教訓に続いて、全世界の学者やジャーナリストが 日本の成功の秘訣を述べ始めた。 reverence : 尊敬,崇拝、 breathtaking : 驚くような、 in the wake of :〜に引き続いて、 sociologist : 社会学者、 trumpet :〜を吹聴する
27 「如何に日本は、世界でもっとも強力な競争相手となり得たのか」と、1980年代 に多くの絶賛する記事が現れたのだが、その最初の記事は語っている。これは、 日本の自動車輸出に関しての米日間の戦いの前触れだった。「過去3年のアメリカ の自動車の話は、過去10年間に起きた他の多くの産業の場合と似ている。テレビ、 繊維、鉄鋼、計算機、造船だ」とタイムは書いた。 brewing :暴風雨の前触れ、 saga : 英雄伝,冒険談、 textiles : 繊維、 calculator : 計算機、 shipbuilding : 造船
28 どうやって日本はやったのか?驚くべき事ではないのだが、日本の発展を阻害 すると懐疑論者達が警告していた、謎に満ちた文化的矛盾の多くは消えていっ たかより強力なもの、特異な財産となっていった。タイムの記事は、「競争」、 「総意方式」や「未来主義」といった「国民性」について語り、それによって、 アメリカの経営者が「日本の成功を学ぶために、理解もできない国を訪れてい る」理由を説明した。2年後には、日本の完全とも言える特集記事を組み、世界 中の読者に日本のあらゆる事に関する集中講座を与えようとした。国の歴史から、 考え、音楽、美術、それに最先端の技術研究まで含んだものであった。 skeptic : 懐疑論者、 hamper : 妨げる,邪魔する、 national trait : 国民性、 emulation : 競争,対抗、 futurism : 未来派、 executives : 幹部社員、 special issue : 特集号,特別号、 crash course : 短期集中コース,特訓コース、 in everything : 一から十まで、 cutting-edge : 最先端の
29 しかし絶賛はするものの、80年代の終わり頃には、他の人達同様にタイムも、 日本が努力をし続けて単なる経済的に目立つ以上の国になれるだろうか、 と疑念を抱き始めた。1988年のカバーでの疑問は:「経済大国は世界の 超大国になれるだろうか?」といういうものである。 accolade : 賞賛,絶賛、 follow through on : 最後までやり抜く、 bid : 努力,骨折り、 more than just : のみではなくそれ以上の,ただ単なる〜ではない、 showboat : 目立ちたがり屋
30 1989年から1998年:日本の運命  
31 「1989年1月7日、午前6:33、日本の裕仁天皇が4ヶ月の闘病の末癌で亡くなった。 日本の歴史2,600年のうちで最長かつ最も出来事の多かった在位期間の終焉 である。」こういう風にタイムは、今世紀の重要人物の死を報道した。今の ところ、タイムの紙面で、裕仁天皇の崩御が日本丸に吹く神風を共に持ち去った とあえて示唆する者はいない。だが、恐らくはそうなのだろう。1989年には、 一連の政治疑獄が日本の指導者を震え上がらせ、法外に値上がりした株価と 地価に対する恐れから不景気が始まった。1992年になる頃には、日本の 「黄金時代」は終わったとタイムは書いている。それからというもの、 何も悪いことができないと思われていたこの国は、あらゆる悪事をしていた ように思われた。橋本首相が1996年1月に就任するまでは、日本の首相は 平均12ヶ月から18ヶ月で次々とめまぐるしく変わっていた。 eventful : 出来事の多い,多事な、 tenure : 在職期間、 demise : 逝去,崩御、 suck :吸収する、 divine : 神聖な、 series of : 一連の、 political scandal : 政治疑獄、 engulf : 飲み込む、 spark : 突然起こさせる、 come to an end :終わりに近づく,終わる、 toss out : 〈不要なものを〉捨てる,どんどん出す
32 日本の経済が不振に陥る前、タイムがある記事に載せたように、ジェイムズ・ ファロー(More Like Us)やクライド・プレストビッチ(Trading Places)や カレル・ヴォン・ウォルファレン(The Enigma of Fapanese Power)などの 西洋の学者は、「日本は経済においても文化においてもアメリカとは根本的に 異なったままであり、不公平な規則によって輸出に差をつけることに全力を注 いでいる、と述べていた。だが1980年代の日本の成長は目覚しいものがあった ので、バブルがはじけた(日経平均株価は依然として、1989年のピーク時の 39,915円の約60%安である)ことが1992年に明らかになったときでさえ、 日米の専門家のうちで破滅を認めようという人はほとんどいなかった。事実、 これに対する認識をちらりと見せたのは、日本の政治家小沢一郎であった。 彼の話題になった本、新日本建設の青写真の中で、経済、政治、教育に 対する日本式方法は致命的な欠陥があると小沢は断定した。1995年のタイム にその抜粋が発表されたのだが、その中で、「日本型民主主義はもはや 国内外に起きている変化に対応できない」小沢は書いている。「我々は 孤立し続けることはできないのだ。」 tailspin : 混乱,意気消沈、 unfair : 不公平な、 discriminate against : 不公平な取り扱いをする、 Nikkei stock average : 日経平均株価、 pundit : 専門家,博学者、 acquiescence : 黙認、 blueprint : 青写真,設計図、 fatally : 宿命的に,致命的に、 flawed : 傷のある、 take place : 生じる、 excerpt : 抜粋,抄録、 seclude : 隔離する
33 その時から小沢の政治力は急落した。だがここ2年間のタイムの記事は、長引く 日本の問題を考える際に、彼の論点が再吟味されていることを示している。 無論、日本株式会社を形成してきた慣習や伝統も再吟味されている。失業率は 3.6%過去最高でありなお上昇中。銀行は負債でアップアップしており、かつて は自分達がバックアップしてきた企業も道連れにしようとしている。大蔵省は、 汚職調査に打撃を受け信用を無くしているし、日本の経済を立て直すのに必要 な指導力も無くしてしまった。Sakaiの靴屋の主人Yukio Suzukiは:「みんな、 将来が不安なのです」と言っている。 plummet : 急落する、 in light of : 〜に照らして、 persistent : しつこい,永続性の,永続的な、 woes : 苦痛,災難,問題、 all-time high : 史上最高,最高記録、 drown : 溺れる、 debt : 負債、 Ministry of Finance : 大蔵省、 buffet :打ちのめす、 credibility : 信頼性、 agenda : 議題
34 1年前、タイムは「新日本」と名づけたもう一つの特集記事を載せた。そこには 既に、アジアの経済大国は世代交代の縁にあり、それにより21世紀に向かって 日本が変わるだろう、ということが既定の事実として捉えられていた。その 記事が答えることができなかった問題の中に以下のものがある:日本はどこに 向かうのか?どのように再建されるのか?今明らかなことは、恐らく過去 75年の歴史の中に提示されている−−つまり、この国には、日本的なものと 21世紀へに向かうべく変化との絶え間ない緊張があるだろうということ。 言い換えれば、日本は過去を振り返ってそこから未来を知ることがますます 困難になるかもしれないである。 premise : 前提,既述事項、 economic giant : 経済大国、 foreshadow : 予示する


疑問
1 第9段落
after the Gilbert and Sullivan musical
By 金野さんから
ギルバートが詩や台詞を書き、サリバンが曲をつけていたようです。彼らの作品 の多くはロンドンのサボイ劇場で上演されたのでサボイオペラとも呼ばれるそう です。みたことないから、詳しいことはわかりませんがストーリーは軽快で奇想 天外なものらしいです。今なお広く愛好されているそうです。ミカドは1885 年初演で代表作の一つに数えられるようです。 かなり有名だったのでしょう。。


dispatches on the Japanese made regular reference to short, toothy natives

4 第11段落
Japan has never really turned her centuries forward to 1936.

By つくちゃん
1936年に、HitlerとMussoliniが手を結びます。
この時点では、日本は、仲間ではないですが、1940年9月に日本も加わります。 この事でしょう。百科事典と年表にありました。

5 第14段落
breath-sipping

By つくちゃん
にやにやと不敵な笑いをし、下品に息をするにもすするような音を立てる 要するに、下品で野蛮なと言いたいのでしょう。
それと出っ歯だから、こう表現したのではないでしょうか?(^◇^;)

6 第17段落
business establishment:財閥?

7 第28段落
its design

By つくちゃん
単純にデザインでは?
ここで意味する範囲がどこまで及ぶかわかりませんが、 70〜80年代は、日本のファッションデザイナーがパリコレに進出、 ニューヨークにもブティックを開くようになった時期ですし、 工業デザインでも、建築でも海外で認められた人がいたように思います。
アートに含まれるかもしれませんが、日本人イラストレーターで 海外の雑誌や広告の分野で活躍した人もいたし。 (広告などは、アートというよりも、industrial work、commercial workと 考えると思うので。)
先端技術とも関係するけれど、ウォークマンが当り前になったのも この時代ですし。一種のデザインのように思うので。


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