Why the West Wins

Why the West Wins
(1.14.P48.2002)

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今回は BOOKから  原文はここ
 

西洋が勝利する理由


語彙は主に『英辞郎』Ver.468から抜粋

BY ANTHONY PAUL
 

大意

語彙

P48 アメリカとイギリスのアフガニスタンでの勝利は古代ギリシャ人の戦争への 精神のお蔭だ chalk up ~ to :〜を〜の賜物とする ethos :気風,精神
1 ビンラディンへの覚書:ギリシャ人を非難せよ!この間のアフガン戦争録を 書くことになれば、歴史家を喜ばせるような疑問が間違いなくひとつはある。 およそ120,000のソビエト軍が10年かけてそこで勝利を得られなかったにも 関わらず、タリバンとオサマ・ビンラディンからこの国の支配権を奪い取る のに、それに比べれば一握りの西側兵士とわずかばかりの西側兵士の死傷者 を出すだけで、数週間しかかからなかった。なぜか? chronicle : 年代記 entertain : 楽しませる casualties :犠牲者 wrest :〜をもぎ取る
2 いくつかの答えが心に浮かぶ:大規模な空軍力と、タリバンの行き過ぎた残 虐行為に幻滅したアフガンの地元勢力との同盟。しかし新しい本──9月11 日のテロ行為の1ヵ月前に出版されたVictor David Hansonによる殺戮と文化 ──ではもっと根本的な理由を仄めかしている:欧米人が2,800年前ギリシャ の渓谷で始めて獲得した、殲滅という敏速な戦いの能力。 spring to mind : 心に浮かぶ massive : 大規模な air power : 空軍力,航空勢力 alliance : 同盟 exploit : を利用する disenchantment : 幻滅 carnage :殺戮 atrocity :非道,暴虐さ facility :腕前 annihilation : 全滅
3 フレスノにあるカリフォルニア州立大学の古典教授ハンスンは、1989年の研 究で初めて西洋軍隊の活力を分析した。それがThe Western Way of War: 古代ギリシャの歩兵戦である。西洋の軍の精神は相争うギリシャの都市国家 にまでさかのぼることができると彼は主張する。その都市国家では、戦いの 場を決め、徹底的に戦い、一方が破れるまではその場を引き下がらないこと を互いに契約しあっていた。その考えの根拠となるものは、戦争の主たる目 的は「戦争そのものをできる限り早く終わらせるために(敵)を見つけ戦う」 ことなのである。ハンスンの最新作で西洋権力の起源における転回点となる 戦いという副題がついた本では、この「容赦ない正面攻撃の考え」の発展を たどっている。彼の研究対象はギリシャがペルシャ艦隊を撃破したサラミス の戦い(紀元前480年)から1968年のベトコンのテト攻勢に対するアメリカの 勝利(厳密に軍事的な意味で:政治的に敗北したことは著者はわかっている) にまで及んでいる。 classics : 古典 infantry : 歩兵 traceable :遡って warring :交戦中の,戦争している yield to :明け渡す engage the enemy :敵と交戦する subtitle :副題 landmark :画期的な trace :の跡をたどる evolution :発展,進展 frontal assault :正面攻撃 case study :ケーススタディ,事例研究
4 ギリシャのファランクス──主に戦いの帰趨に重要な利害関係をもつ自由市 民の資産家からなる、槍を持つ軍団──が、ヨーロッパ軍隊の中核をなす歩 兵を形成した。ポアティエの戦い(紀元732年)では、ファランクスを最新式 に改良したフランク族の歩兵部隊がはるかに恐れられていたイスラムの騎兵 部隊に大勝した。ハンスンに言わせると、フランク族の勝利によって、「優 れた重装歩兵は隊列を維持し防御可能な陣地があれば、優れた騎兵でもたい てい打ち破ることができる」ことが立証された。 phalanx :ファランクス《古代ギリシアの重装歩兵密集隊形》 property owner : 資産家 stake : 利害(関係) infantryman :歩兵 centerpiece : 最も重要なもの military power : 軍事力 Frankish : フランク族の adaptation : 適応 rout :〜に^圧勝する cavalryman :騎兵、 defensible position : 防御可能な陣地
5 一旦銃が導入されると、「他の文化圏よりもはるかに容易に、ヨーロッパは 槍兵部隊を改変し」破壊力の大きい歩兵部隊にすることができた。彼らは 「これまで突き刺してきた──命令に合わせて一斉に、肩を並べ隊列を整え て」のと同じように銃を撃った。かくして恐るべき西洋軍隊の流血に満ちた 偉業が始まった:エルナン・コルテスは1,600人の部下を率いて100万人以上 のアズテク人を殺戮した(1519-21);神聖同盟艦隊が自分たちよりも大きい オットマンイスラム艦隊をレパントで撃破(1571)、1879年にわずか180,000人 しかいなかった英国軍が4第大陸にまたがる帝国を築き上げた。 firearm : 小火器 convert :切り替える stab :を(突き)刺す shoulder to shoulder : 肩を並べて feat : 偉業 Cortes :コルテス Hernando Cortes (1485-1547) 《メキシコの Aztec 王国を 征服したスペイン人》 slaughter : を虐殺する Aztec : アズテック人の crush : 砕く armada : 艦隊,大(編成)部隊 Lepanto :レパント《ギリシア西部 Corinth 湾と Partas 湾の間にある港町 Nvpaktos のイタリア語名; 1571 年神聖同盟艦隊がトルコ艦隊を破った地》
6 その間、西洋はハンスンが言うところの「機能する唯一の経済体制、物質と 技術的進歩を唯一許容する合理主義的伝統、個人の自由を保証するただひと つの政治機構、そして人類に最善のものをもたらす倫理及び宗教体系」を発 展させてきた。 economic system : 経済システム,経済体制 rationalist : 合理主義者,純理論者 technological : 技術の political structure : 政治機構 ensure : 保証する ethic : 倫理
7 これが西洋人の勝利主義のように聞こえるとすれば──事実そう聞こえるの だが──著者は急いで読者に次のことを保証する、西洋が個人の勇敢さや戦 略的な特質を独占していると信じているわけではないと。ただ、文化と歴史 によって西洋人は殺人という場において優れた技能を有するようになっただ けだ。そしてオサマ・ビン・ラディン(あるいは日本の軍国主義者)が得る ところがあった一節では、ハンスンはギリシャに端を発した西洋の倫理観に 基づく手法は死をもいとわない怒りを産み出すと指摘する:「私たち西洋で は、テロや奇襲による犠牲者が少ないときには『卑怯者』と呼び、おおっぴ らに直接攻撃加えて犠牲者が多数でるときには『フェア』だと言う」 hasten to : 急いで〜する monopoly : 独占 strategic : 戦略的な in a passage :一節に profit from : 〜で利益を上げる ethical : 倫理の indignation : 怒り casualties : 犠牲者 frightful : ものすごい inflict : 苦しめる,刑罰を課する
8 広範囲な歴史的研究を駆使したハンスンの見解は素晴らしいものがある。し かし、その分析も未来を推測するとき説得力が弱くなる。今日、「絶対的な 力を持つ西洋の軍隊は自分たち以外に恐れるべきものはほとんどない」と彼 は言う。彼の推論:西洋は、西洋の軍隊同士の戦争ほど、非西洋での戦闘 (例えば中東において)に関して心配する必要はない。 canvas : 研究調査,検討 analysis : 分析 speculate : 推測する corollary : 自然の結果,推論 not worry : 気兼ねしない flare-up : 勃発
9 ではどこが戦うというのだろうか?アメリカとヨーロッパだとハンスンは言 う。彼は不吉にも、「ヨーロッパ国家間に存在するアメリカに対する敵意と 妬みを集めることで団結すると思われる汎ヨーロッパ国家という亡霊」を指 摘する。 ominously : 気味悪く,不吉にも specter : 亡霊,妖怪 pan-European : 汎ヨーロッパ antagonism : 敵意


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