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大意
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語彙
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By J. MADELEINE NASH
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新たな研究によれば、石器時代の狩人たちは多数の大型動物を絶滅に追いやっ
た可能性がある
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woolly : 羊
Stone Age : 石器時代
extinction : 絶滅
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想像しがたいが20,000年前──最後の氷河期が最盛期であったころ──北米
のほとんどが獲物が豊富なアフリカのセレンゲティ平原に似ていた時期だ。
草原や森林を徘徊しているのは大きく反り返った牙をもつマンモスやマスト
ドンであり、差し渡し180cm以上はある鋭くとがった角を生やしたサイとか
バイソン並の大きさの地上生ナマケモノだった。熊ほどの大きさのあるビー
バーが森を徘徊していた。大きな頭のラマが岩の多い牧草地で草を食べてい
る。さらにはオオアルマジロが生ける重装甲戦車よろしく大地を縦横に走っ
ている。
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teem : 豊富にある
roam :うろつき回る
mastodon :マストドン《臼歯に乳房状突起がある巨象》
curved : 曲がった
tusk : 牙
ground sloth :地上生ナマケモノ 《アメリカ大陸の貧歯目に属する大型の絶滅哺
乳類》
rhinoceros :サイ
bison : バイソン,アメリカ野牛
beaver : ビーバー
llama : ラマ
graze : 牧草を食う
meadow : 牧草地
giant armadillo : オオアルマジロ
maneuver : 巧みに動く
armored tank : 重装甲戦車
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こうした大型動物に忍び寄るのは、これまた恐ろしそうな肉食獣:がっしり
したジャガー、剣歯虎、それに骨をかみ砕く歯をもつ巨大なオオカミ。なか
でも恐ろしいのは、ショートフェイスベアーという大型獣で、現代のグリズ
リーの2倍の重さがありマストドンの成獣以外はおそらくなんでも追いつめ
て殺すことができたであろう。しかし最初の人類が新世界に現れてまもない
13,000年ほど前、こうした珍しい動物──巨型動物類と総称される──は数
種をのぞいてほとんど絶滅した。
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stalk :〜に忍び寄る,こっそり追跡する
predator : 食肉動物
muscular :筋肉隆々とした
jaguar : アメリカヒョウ,ジャガー
saber-toothed cat : 剣歯虎
dire wolf :北米更新統の大型のオオカミ
bone-crunching : 骨までしびれる
short-faced bear :現生のクマ類では南米のメガネグマに近縁のこのクマは,
更新世晩期最大の捕食動物で,オス成獣の推定平均体重は610キログラムで,
肩高は5フィートに達しました(メスは25%程小型)。オスは立ち上がると11
フィートの高さになります。これまでに発見された最大の標本からの推定体
重は,何と1,000キログラム
full-grown : 十分成長した
megafauna :巨型動物類、
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理由は?気候変動が原因だという科学者もいる;病気が大発生したという人
もいる。さらにはオーストラリアの古生物学者ティム・フラナリーが「絶滅
のブラックホール理論」と呼ぶものに賛同する人たちもいる。この理論では、
フラナリーが最近出版したばかりの北アメリカにおける生態学的歴史、
The Eternal Frontierで皮肉混じりに説明しているように、ブラックホール
は石器時代の私たちの先祖の食欲にあった。
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climate change : 気候変動
subscribe to : 〜に同意する
paleontologist : 古生物学者
wryly : 顔をしかめて
just published : 最新刊,最新号
ecological : 生態学の
chin : 顎
Stone Age : 石器時代
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ほとんどの人にとって、原始の狩猟民が100種以上の大型獣を絶滅させたとい
う考えは長らくとんでもないことのように思われていた。確かに人類はマン
モスとかマストドンといった動物を殺して食べていたが、そういうことは非
常に注意深く行なっていたに違いないと、ニューヨーク市アメリカ自然史博
物館の哺乳類絶滅に関する専門家ロス・マクフィーは話している。彼はこう
言っている:「もし先のとがった棒だけでマンモスに向かっていけば、数分
もしないうちにペチャコンにされるのがいいところだろう」
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kill off : 滅ぼす
preposterous : 非常識な
Homo : ヒト属
mammalian : 哺乳類の
American Museum of Natural History :アメリカ自然史博物館
with great caution : はれ物に触るように
pointy : 先のとがった
road pizza :路上で車にひかれた小動物
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しかしサンタバーバラにあるカリフォルニア大学の進化生物学者であるジョ
ン・アルロイが巨型動物類に何が起きたかという疑問をコンピュータモデル
に与えたとき驚くべき答えを得た。先週サイエンス誌に発表したところによ
れば、過剰殺戮は実際あり得るということだった。それは、人間である狩猟
民が最後の1頭まで殺す必要は必ずしもないからだった。生まれてくる動物
よりもわずかに多くの動物を殺すだけでよかったのだ。アルロイのモデルが
示す状況は、1,000年以上の期間に渡って容易に起き得ただろう。気候変動と
か、流行病の発生による生態学的激変は、アルロイのモデルには組み込まれ
ていないが、絶滅の過程を速めたのかもしれない。
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evolutionary biologist : 進化生物学者
megafauna : 巨型動物類
hypothesis : 仮説
span of : 〜の長さ
ecological : 生態学の
upheaval : 大変動
epidemic disease : 流行病
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あるいはまた逆だったかもしれないと主張するのはマクフィーで、病気は絶
滅へのより確実な原因だったと信じている。病気を引き起こすなんらかの細
菌──新世界の動物が抵抗力がないもの──が、新世界に初めて入り込んで
きた石器時代の狩猟民にくっついてきたのではないかと彼は推測している。
ここでも同じく、この病原体(犬とか害虫によって運ばれたのかもしれない)
は絶滅への歯車を回し始めるのに1頭残らず殺す必要はなかった。例えば
19世紀後半のアフリカでは、アフリカ固有のアンテロープ、ウィルドビース
ト、また有蹄動物などが牛疫という輸入牛によってひろまった病気で大量に
死亡した。
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then again : しかしまた
other way around : 逆の
credible : 確かな
microbe :細菌,微生物
tag along :ついて行く
Stone Age : 石器時代
pathogen : 病原体
vermin :社会の害虫
antelope : アンテロープ,レイヨウ,カモシカ
wildebeest : ウィルドビースト
ungulate : 有蹄動物
decimate : 〜の多数の人を殺す
rinderpest : 牛疫
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長い間これら3つの互いに競い合う仮説──気候変動、過剰ハンティング、
猛威を振るった病気──は好奇心をそそる見解という以上のものではなかっ
た。しかしついに科学者たちは確固たるデータでその見解を裏付けだした。
例えば去年、マクフィーと彼の同僚である分子生物学者のアレックス・グリ
ーンウッド率いるチームは凍結したマンモスの組織と骨髄からウイルス性物
質を取り出すことができた。これまでは絶滅の原因としての最近を同定でき
なかったが、現在検討中の有力な原因としては狂犬病やデステンパーの原因
となる異種間で感染するウイルスも考えられている。
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competing : 競合の
intriguing :好奇心をそそる
at long last : ついに,やっと
buttress : 支持する
molecular biologist : 分子生物学者
isolate : 分離させる
viral : ウイルスの
tissue : 組織
bone marrow : 骨髄
microbial : 細菌による
culprit : 犯人,原因となるもの
candidate :候補者
under consideration : 計画中,検討中,考慮中に
rabies :狂犬病
distemper : ディステンパー,犬の伝染病
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デンバー自然科学博物館の古脊椎動物学者ラス・グラハムとしては、問題の
時代に起きた気候変動による居住環境の変化の証拠固めをしている。中でも
マストドンとマンモスが餌場としていた森林やサバンナが、氷河期が終わり
に近づくにつれ多様性がなくなってきただけではなく大きさも小さくなって
きたと指摘する。好ましい居住環境が減少するにしたがいこれら大型獣の数
も減少し、動物たちは病気や過剰な狩猟などあらゆる種類の悪しき影響を受
けやすくなった。
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for one's part : 〜としては
vertebrate paleontologist : 古脊椎動物学者
collect evidence : 証拠固めをする
habitat : 生息環境
critical : 決定的な
time frame : 期間
savanna : サバンナ
forage : あさる,探し回る
glacial : 氷河の
dwindle in size : 大きさが減る
preferred : 好ましい
render : にならしめる
vulnerable to : 〜に弱い,〜を受けやすい
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過剰殺戮の仮説の立場をとる人たちも研究に励んでいた。先週サイエンス誌
に発表されたもうひとつの記事でティム・フラナリーたちは、オーストラリ
アで起きた巨型動物類絶滅の時期を特定する新しい高度な年代測定法をどの
ように用いたかを記載している。彼らの研究によると、総計55種の巨型動物
類--その中にはオオカンガルーやGenyornis newtoniと呼ばれるダチョウほど
の大きさの鳥も含まれる--がおよそ46,400年前に絶滅したが、それは、人類
が現れたと思われる時期の5,000〜10,000年後のことだったという。人類の出
現と大型動物の絶滅とにみられる密接な相関関係は、ニュージーランドやマ
ダガスカルでも記録されている。
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proponent : 擁護者
hypothesis : 仮説
dating technique :年代測定法
pin down : 特定する
megafauna : 《名》巨型動物類
vertebrate : 脊椎骨のある
giant kangaroo :オオカンガルー
ostrich :ダチョウ
close correlation : 密接な相関関係
appearance of : 出現と同時に
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このように多くの点で進展がみられて希望がもてると考える人が多い。言い
かえれば、近いうちにいくつかの仮説を捨てたりまた支持したりできるとい
うことである。例えば化石の牙の成長輪からミシガン大学の純古生物学者ダ
ン・フィッシャーは暫定的だが次ぎのように言っている。気候変動だけでは
マンモスの絶滅の説明としては十分ではないだろうと。年代測定のために調
べられた牙には成長遅延とか成熟が遅れるといったものが識別できるほどの
ものはなかった。この2つは、気候変動によってこうした大型草食動物の餌
となる植物群落が崩壊すれば起きるはずのものである。
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rule out : 除外する
bolster : 支持する
growth ring : 年輪
tusk : 牙
paleobiology :純古生物学
tentatively : 暫定的に
climate change : 気候変動
demise : 死,終焉
discernible : 認識できる
growth retardation : 成長遅延
plant community :植物群落
herbivore : 草食動物
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少なくとも1つのことについてはすべての科学者が同意している。それは長
年にわたる謎を解決することがいかに重要かということである。巨型動物類
が地球規模で絶滅するというのは、「恐竜の時代以来最大の絶滅」にあたる
ものであり、ある意味ではそれよりも厄介なものであるとフラナリーは話す。
恐竜は結局のところ、彗星かアステロイドが地球に衝突したために消滅した
ものだ。巨型動物類の絶滅は、直接であれ間接的であれ私たち人類が引き起
こしたものだったかもしれない。
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long-standing : 長年にわたる
megafauna : 《名》巨型動物類
amount to : 結局〜ということになる
dinosaur : 恐竜
wipe out : 一掃する
comet : 彗星
asteroid : 小惑星
smash : 激突する
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