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大意
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語彙
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BY JESS CAGLE
| P54 |
ニコール・キッドマンにとって人生は現実のものとは思えない。彼女の新作映
画は大胆な、さらにもっと現実離れしたミュージカルである。
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今はトム・クルーズ夫人をそっとしておいてあげてほしい。彼女は一〇年間有
名人の妻として立派につとめた。スケジュールが許せば映画に主演し、『デイ
ズ・オブ・サンダー』(カーレースを描いた一九九〇年の作品で、二人が出会
うきっかけとなった)、『遙かなる大地へ』、『アイズ・ワイド・シャット』
で夫と共演した。クルーズの手を握って赤い絨毯を何度も歩いた。常に彼の傍
らに寄り添い、二人の子どもを育て、タブロイド紙を相手取って訴訟を起こし
た。しかし今後は彼女のこうした姿は見られなくなるだろう。先だっての金曜
日クルーズは、二人の結婚は破綻していると発表した。「とてもショックでし
た」と、今やただのニコール・キッドマンとして生まれ変わらなければならな
いこの女性は言う。しかし彼女はこれまでの人生を嘆いてはいない。先月の流
産と二人の思いきった離婚をめぐるスキャンダラスな噂(彼がサイエントロ
ジーに入れ込みすぎたのか? それとも彼女が他の男性のもとに奔ったのだろ
うか?)にもかかわらず、キッドマンはこのところ『ムーラン・ルージュ』
(先週のカンヌ映画祭の幕を切って落としたすばらしいミュージカル映画)の
プロモーションのため、精力的に駆け回っている。
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celebrity:著名人、名士、名声、有名人
with honors:優等で
flick:映画
come to an end:終わりになる
allegation:(十分な証拠のない)申し立て、(誰かが悪いことをした[犯罪
を犯した]という十分な証拠のない)主張、陳述◆通常法律用語として用いら
れる
high-stakes:一か八かの、賭け金の高い
scientology:サイエントロジー
in force:大挙して、大勢で、力を充実させて
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「現実のこととは思えません」と三三歳のキッドマンは言う。「流産したこと
については、まだ気持ちを吹っ切ることができていません」。離婚について
は、「二人の子どもにも関わることですから、会見に持ち込むことは適当では
ありません……私はこう言うこともできたのです、『この映画の記者会見は行
いません。さようなら。完全に癒えるまではみなさんの前に姿をあらわさない
つもりです』と。しかし本当に傷が癒える時が来るのかどうか、私にはわかり
ません」。後から考えてみれば、このカップルがずっと続かなかったのはそれ
ほどびっくりするようなことではない。二人が結婚したとき、彼女はまだ二三
歳だった。それ以来彼女は、ガス・ヴァン・サント(『誘う女』)やジェーン
・カンピオン(『ある貴婦人の肖像』)といった非常に独立心に溢れた監督と
一緒に仕事をしたり、デイビッド・ヘアの『ブルー・ルーム』の舞台に立った
りして、自分の持ち味を出すよう努め、そうして批評家たちにも認められるよ
うになった。
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in hindsight:後から考えると、後で分かったことだが
onstage:舞台の上の
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クルーズというスターは彼女を有名にしたが、二人の結婚は女優キッドマンに
とってはマイナスだった。『プラクティカル・マジック』のような商業映画に
出演することはあまりなかった。キッドマンは悔しそうなそぶりも見せずに言
う、「私はほとんどの場合、誰か他の人のスケジュールに合わせて仕事を選ん
でいました」。ここで大きな疑問が生じる――彼女は一人でも輝くことができ
る星なのだろうか、それとも新たな太陽系を求める見捨てられた惑星なのだろ
うか。その答えはこの夏の二本の映画ではっきりするだろう。八月公開のミラ
マックス・ディメンション・フィルムの『The Others』は、この夏のホラー映
画のヒット作となるかもしれない。しかしそれよりもはるかに見通しが不明の
『ムーラン・ルージュ』がその前に公開される。このミュージカルが五月一八
日に全米で一斉公開されれば、これは芸術かそれともただの芸術もどきかと
いった議論が、おそらく批評家や観客を巻き込んで起こるだろうが、この夏の
他の超大作と互角に渡りあえるかもしれないではないか。ともかくこれだけは
確かだ、「こんな映画は観たことがない」。バズ・ラーマン監督(『ロミオ&
ジュリエット』)の『ムーラン・ルージュ』は、(名前だけはパリ風の、二〇
世紀初頭に作られた)ナイトクラブで繰り広げられるポストモダン時代の、ア
ブサンで活気づけられた人生模様を描いており、二〇世紀半ばから後半のポッ
プ・ソングが散りばめられている。キッドマン演じるSatineは、ツキに見放さ
れてはいるが野心満々の娼婦で、一文無しの作家(ユアン・マクレガー)とパ
トロンの公爵(リチャード・ロックスバーグ)の間で揺れ動いている。「彼女
は歌い、踊り、死に、そして滑稽でもある」とラーマン。「これほどいろいろ
な要素を要求される役はないだろう」
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foray:侵略、(本職以外の分野への)進出
fall short:不足する
jettison:投げ捨てる、投げ荷する
sleeper:のちにヒットする商品[映画]
arty:芸術品まがいの
blockbuster:大成功、ビッグヒット、大ヒット、超ベスト巨額の製作費を投
じた映画[小説]/blockbuster movie : 超大作映画
absinthe:アブサン(酒)
titular:肩書の、名だけの、名義上の、有名無実の
Parisian:パリっ子の、パリの、パリ風の
set to:〜へ向かう、〜と向かい合う、本気でやり始める
doomed:運の尽きた、不運の、消える運命にある、絶望的な
courtesan:売春婦
sugar daddy:パトロン
duke:公爵
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試練が始まったのは二年前、結婚生活の終幕の頃のことだった。キッドマンが
ブロードウェイで『ブルー・ルーム』の舞台に立っていたとき、オーストラリ
アの古い友人であるラーマンから楽屋に花束が届いた。「茎の長い赤いバラを
箱一杯いただいたのは初めてでした」と、彼女は思い出に顔を輝かせる。
「カードには『君のためにすばらしい役を用意した』と書いてありましたが、
私はオーディションを受けなければなりませんでした」
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Aussie:オーストラリアの
long-stemmed:すらりと脚の長い、茎の長い
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千秋楽を迎えると、キッドマンは飛行機でシドニーに向かった。「ラッキーな
ことに私はシドニーに家を持っていて、トムがそこで『ミッション/インポシ
ブル』(の続編)を撮影中でした」と彼女は言う。「何もかもがどうにかうま
くいくように思えました」。『ムーラン・ルージュ』の出演者たちは、ラーマ
ンのシドニーの拠点であるだだっ広いだけの古い建物(かつては精神病院とし
て使われていた)の仕事場で、何ヶ月も頑張った(キッドマンによれば、二〇
世紀フォックス社がこの映画にゴーサインを出すまではただ働きだった)。み
んなこの映画に夢中だった。キッドマンは、ラーマンのディナーの席でアブサ
ンを飲んだり、監督のミレニアム大晦日パーティで蛇と踊ったことを思い出
す。しかし時には役者たちでさえ、ラーマンがどういう映画を作ろうとしてい
るのか思い描くのに苦労することもあった。「ユアンも私も時には監督を疑い
ました」とキッドマンは言う。「『こんな悲劇的な上流喜劇なんて作れっこな
い』と私たちは思ったものです。……でも誰だってそうでしょうけど、やはり
冒険したいという気持ちがありましたから」
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sequel:後編、続編
toil:長時間)骨折って働く、骨折る、精を出して働く、目一杯やる
get into the spirit of the Christmas:クリスマス気分になる
envision:心に描く、想像する
high comedy:上流喜劇
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キッドマンは、歌に関してはすぐに上達したが(「彼女の歌声は最初から美し
かった」と、音楽ディレクターのMarius De Vriesは言う)、踊りの方はしば
しばジンジャー・ロジャースというよりジェラルド・フォードだった。リハー
サル中にキッドマンは肋骨を折り、シドニーの自宅で回復までの数週間を過ご
した。クルーズが何かと世話を焼いてくれ(「彼は私にとてもよくしてくれま
した」と彼女は言う)、キッドマンはソファーで歌の練習をしながらしばしの
休息を取った。撮影が終盤に近づいたときには、『the Diamonds Are a
Girl's Best Friend』の曲を撮影中、膝の軟骨を折った。
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outset:手始め{てはじめ}、発端
tend to:〜に気を配る、〜につきあう、〜の世話をする
downtime:ダウンタイム、休止時間、中断時間
cartilage:軟骨、軟骨組織
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「実際以上に強いと思ってしまうことが私の問題です」とキッドマンは言う。
彼女はステロイドと痛み止めで仕事を続けた。「私の元夫は言ったものです、
『君は自分が肉体的に強いと思っているが、実際はそうじゃない』」。彼女は
こんな例をあげる、「とてもひどいパパラッチがロンドンにいました。彼は子
供たちにフラッシュを浴びせたので、私はこんなふうに言ったのです、
『ちょっと、あなた! あっちに行ってちょうだい!』。トムが『尻を蹴飛ば
されるぞ』と言うので、私は『いいえ、私の方が蹴飛ばしてやるわ』と言いま
した。トムからは『現実を見ろよ、ニコール。そんな調子じゃいつか本当に叩
きのめされてしまうぞ』と言われました」。彼の言うことにも一理あった。膝
を痛めて数ヶ月後、傷が再び悪化し、キッドマンは肉体的にハードな演技を要
求されるスリラー映画『パニック・ルーム』を降りなければならなくなり、彼
女の役はジョディー・フォスターが演じることになった。
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flat on one's back:寝たきりの、病臥して、病床について
have a point:それもそうだ、一理ある、言えてる
flare-up:急激な再燃、再発
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『ムーラン・ルージュ』は、撮影初日にラーマンの父親が死去したことで、さ
らに遅れることになった。フォックス社は最終的に、当初クリスマスに予定さ
れていたこの映画の封切りを延期しなければならなかった。「この映画は私に
とって大きな意味を持っていました」と、最終的に五千万ドル以上かかったこ
の映画について、キッドマンは言う。「この映画がバズにとってどれだけ大事
かがわかっていたからです。これがミュージカル映画だということも理由の一
つです。これが興行的に成功すれば、観客は違ったものを喜んで受け入れてく
れるのだということになります」
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hell of a lot:大いに、大変に
embrace:(考え・コンセプト・計画・申し出など)に喜んで応じる、取り入
れる、(主義・思想などを)受け入れる
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キッドマンは確かに新しいものを喜んで受け入れている。彼女の次の作品は
ラース・フォン・トリアー(『ダンサー・イン・ザ・ダーク』)のためのもの
になるだろう。彼女はまた、メリル・ストリープやジュリアン・ムーアとの共
演作『The Hours』で、ヴァージニア・ウルフを演じる予定だ。これはマイケ
ル・カニンガムの小説の映画化で、『リトル・ダンサー』のスティーヴン・ダ
ルドリーが監督する。離婚したことで出演作品の選択に変化が生じたかと質問
されると、彼女は笑う。「生活費を稼がなくてはならないから? いいえ」と
彼女は言う。「私は芝居が好きだし、芸術的な映画が好きです。今では自由に
デンマークにも行けるし、ラースと仕事をすることもできる。今までと違うこ
とが可能になったのです。私は今までとはまったく違った人生を歩んでいま
す」
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adaptation of a novel for the movies:小説の映画化
opposite:〜の相手役となって
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クルーズと共有の太平洋岸パリセイドの家に住んでいるキッドマンは、これか
らは離婚弁護士のWilliam Beslowとの相談に多くの時間を費やすだろう。彼の
過去のクライアントには反逆者のヨーク公爵夫人サラ・ファーガソンも含まれ
ている。(クルーズも二億五千万ドルをかけて、Dennis Wasserという大物を
雇った。ジェイムズ・ウッズの離婚訴訟も手掛けた人物である。)いったん片
が付けば、キッドマンはおそらくより多くの時間を、両親と姉が住んでいる
オーストラリアで過ごすだろう。
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Palisades:パリセーズ、パリセード州間パークウェイ
hunker down:しゃがみ込む
renegade:背教者、脱党者、変節者、裏切り者、反逆者
big gun:お偉方、奥の手、重要人物、大物
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しかし八月には、キッドマンとクルーズは再び一緒に仕事をすることになって
いる。ただしその関係は仕事上のものに限られる。『The Others』でキッドマ
ンは、二人の子どもを抱え、幽霊の出る田舎の荘園に住む一九四〇年代イギリ
スの戦争未亡人を演じる。クルーズは共演者ではなく、この映画のプロデュー
サーである。「この映画に出演して心痛む経験をしたような気がします」と
キッドマンは言う。彼女は『ムーラン・ルージュ』の直後にこの映画の撮影に
入った。「完全燃焼しました。よい作品に仕上がっているといいのですが」。
背筋の凍りつくような上品な『The Others』は、(たとえ身の毛のよだつよう
な気味の悪い音楽だったとしても)クルーズとキッドマンが一緒に奏でれば、
いまでも美しい愛の音楽になることを思い起こさせてくれるだろう。一方
『ムーラン・ルージュ』は、キッドマンが一人でもやっていけることを見せて
くれるだろう。
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manor:荘園
bleed:泣き出す、心痛する、嘆き悲しむ
creepy:気味悪く、ゾクゾクする、気味悪い、ゾッとする
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