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| P35 | 黄金の米、さらに遺伝子組替えによる穀物は農業に革命をもたらし、世界の 飢餓を救うことになるかもしれない。だが環境をも破壊する恐れがあると反 対する人もいる | genetically engineered : 遺伝子組み換えの revolutionize : に革命を起こす protester : 抗議する人 |
| 1 | 最初は、Ingo Potrykusが指でより分けた米粒はなんら特別のようには見えな かった。だが、その暗くカサカサした殻を取り除き、中身をつやが出るほど 磨くと、Potrykusはその米粒の黄金の謎をじっくりと見ることができた。こ の米粒の真中は、普通の米のように真珠のような白い色をしているのではな く、淡い黄色だ──ベータカロチンのせいであり、ビタミンAを作る栄養素 のせいである。 | grain of rice : 米粒 sift : ふるい分けをする crinkly : カサカサ鳴る,皺の寄った husk : 《穀類などの》殻 glossy : 光沢のある,つやつやした sheen : 光沢 behold :じっくり見る,見る,見守る、 pearly white : 真珠のように白くて光沢のある ordinary rice : うるち米 courtesy of :のせいで、 beta-carotene : 《名》ベータ・カロチン nutrient : 栄養素 serve as : 〜としての機能を果たす |
| 2 | Potrykusは得意だった。10年以上もの間、世界の多くの貧しい人たちの生活 を改善するような黄金の米を作り上げることを夢みてきたのだった。ビタミ ンA欠乏症にかかり、少なくみても100万人の子供たちが毎年死亡し、350,000 人が新たに失明する。Potrykusは控えめにこの米を新緑の革命の始まりと考 えている:市場に出回るまで腐ることのないバナナ;自分で肥料をまかなう 穀物;干ばつに悩む土壌でも元気に育つ小麦。 | elate : 得意がらせる deficiency : 欠損症,欠乏症 go blind : 失明する green revolution : 緑の革命 fertilizer :肥料 thrive in : 元気に育つ,成長する drought :干ばつ,渇水 |
| 3 | しかしながら黄金の米を考えることと、実際に作ることとは全く違うことに Potrykusは気がついた。Potryskusと同僚たちは、スイスアルプスのふもと近 くの温室に米を移植したのだが、毎年毎年その米の厄介な発育の習性を初め として、予想もしない障害に出会った。そして1999年初頭についに成功し、 65歳になるPotrykusがチューリッヒのスイス連邦技術研究所の教授として退 職しようとしたとき、恐るべき抵抗に直面した。彼らが開発した黄金の米は 遺伝子組替え作物、すなわち反対論者に言わせればフランケンフードだとい うこと。従って、それは希望と恐怖、それに政治的思惑が絡み合ったものと なった。厳しい特許の問題が多数あるのはいうまでもない。 | quite another : 全く違った ran into : ひょっこり会う unexpected obstacle : 予期しない障害 beginning with : 〜を発端に finicky : 気難しい,細かい transplant : 移植する formidable : 恐ろしい as such : そういう次第なので,従って,だから entangle : もつれさせる ironclad :厳しい,不利な環境に耐える patent : 特許(権) |
| 4 | 発表して1年──Potrykusと協同研究者であるドイツフライブルグ大学のPeter Beyerがその成果を発表してから──ほど経ったが、その間、黄金の米は、遺 伝子組替え作物に関する論争がますます両極化するなかで、その論争の的となっ てきた。先月PotrykusとBeyerが、国際米研究所(IRRI)にもっていくための黄 金の種と遺伝物質をフィリピンに運んできた。IRRIの科学者の目標は、Potrykus が温帯用の米に用いた技術を基にして熱帯版黄金の米を開発すること。だが これは出発点にすぎない。2つの企業──スイスに本社のあるSyngentaとアメ リカソルトレイクシティのMyriad Genetics──が、先週米ゲノムの全容を解 明したことを明らかにした。これは新たに劇的発展への道を開くもの。実用 的な遺伝子組替え(GM)米はこれから何年もの実験が必要だが、アジアの科学 者も間違いなく、イギリスやドイツ、スイスそれにブラジルでこうした穀物 の商業化の禁止につながったものと同じような、敵意ある疑惑や調査にさら されるだろう。 | collaborator : 合作者 illuminate : 照らす polarize : 分極する public debate : 公開討論,立会演説,公の論議 genetically engineered : 遺伝子組み換えの genetic material : 遺伝物質 bound for :〜行きの、 for short : 略して variety : 品種 genome : 生物の生活機能を維持するための最小限の遺伝子群を含む染色体の一組 breakthrough : 進歩,前進 viable : 実行できる subject to : 〜の対象になる curb : 抑制する,制限する commercialization : 商業化,商品化 |
| 5 | 遺伝子組替え作物に関するいよいよもって過激になる論争は、1990年代半ばに これが商業用としてお目見えした瞬間から始まった。ヨーロッパの環境論者や 消費者擁護団体がまず主なる反論を展開し、それが全世界に広まっていった。 インドの環境論者は遺伝子組替え綿の実験を中止するようモンサントを訴えた。 フィリピンでは、大手種子会社モンサントとデュポンが行っているBt穀物の現 地試験に反対して農民がデモをした。現地の活動家たちは、奇跡の米──60年 代の緑の革命の結末──を教訓に挙げる。それを東南アジアで大規模に採用し たために、米が単一品種となり、害虫や病気に弱くなり、ますます農薬に依存 することになった。 | acrimonious : 辛辣な erupt : 噴出する environmentalist : 環境保護主義者 consumer advocacy group :消費者擁護団体、 file suit : 訴訟を起こす Monsanto : モンサント《米国 St. Louis にある大手総合化学メーカー Monsanto Co. (1933 年設立) の略・通称, そのブランド; 同社傘下には New York に Monsanto Textile Co. があり, Monsanto は同社のナイロンやポリエステル繊維のブランドでもある》 field test : 現場試験,現地試験 cautionary : 警戒的な monoculture : 単一栽培 vulnerable to : 〜に弱い insect pest : 害虫 pesticide : 農薬 |
| 6 | 人々が敵意を抱くのはわかる。これまで導入されてきた遺伝子組替え作物の ほとんどが常に2つの目的のためにわずかに変更されたものである:2つの 目的とは、害虫への抵抗力、それと雑草の成長を抑制するための除草剤への 抵抗力。また市場に出回っている遺伝子組替え作物は、農民が畑に散布して いる農薬を作り販売している巨大多国籍企業の製品。マンサントのラウンド アップブランド除草剤に対して遺伝的に抵抗力をもつようにしたマンサント のラウンドアップレディ大豆のような穀物を農民が喜んで受け入れているが、 消費者はそれらに疑惑をつのらしている。そうした技術の恩恵はたいしたこ とがないのに、なぜ生物圏に害するような奇妙な新しい技術に頼ろうとする のか、と彼らは尋ねるのである。 | hostility : 反対 so far : これまでは variation : 変異 resistance to : 〜に対する抵抗 insect pest : 害虫 herbicide : 除草剤 growth of weeds : 雑草の茂み multinational corporation : 多国籍企業 agricultural chemical : 農薬 roundup : 手入れ resistance to : 〜に対する抵抗 resort to : 手段として〜に訴える biosphere : 生物圏,生活圏 |
| 7 | 実際、恩恵はたいしたものではなかった──黄金の米が出現するまでは。黄 金の米は、農民のみならずそれを食べる消費者にも利益となる可能性のある、 始めての魅力ある遺伝子組替え穀物の例だ。 | compelling : 説得力のある |
| 8 | 貧困と飢餓を心配する人の中に、この穀物が世界の食料事情に重大な役割を 果すと確信する者が非常に多いのも無理はない。中国は始めて遺伝子組替え タバコと綿を商業ベースで育てた国のひとつだが、そこでは、慢性的な自国 の食料問題との戦いの一手段としてこの技術に投資している。アラバマ州タ スキーギ大学のPlant Biotechnology Researchセンターの科学者、C.S.プラ カシュは、先ごろ反GM活動家を、貧しい人々の利益となる技術を中断させよ うとして「世界をジェット機で飛び回る」「太った」奴と非難。プラカシュ に言わせれば:「バイオテクノロジーは一番期待のもてるものなんだよ、問 題解決には。。。60億人になったときの食料需要、そして、今後30から50年 後には間違いなく地球には90億人がいることだろうし」 | no wonder : 無理もない concern about : の心配 critical : 重要な feed the world : 世界の人々に食糧を供給する commercially : 営利的に,商業上 invest heavily in : 投資を行う chronic : 慢性的な domestic : 国内向けの,自国の biotechnology : バイオテクノロジー,生物工学 Tuskegee University : タスキーギ大学 well-fed : 栄養の十分な,太った disrupt : 中断させる |
| 9 | 実際2020年までには、人間と家畜の飼料合わせての穀物需要は5割近く増え る見とおしだ。加えて、極限状態の水資源の貯蔵と、汚染化学物質の使用削 減の必要性など、問題が山積しているのは明らか。 | for human consumption : 食用に供するため animal feed : 動物の飼料 projected : 見積もられた conserve : 貯蔵する,保存する water resource : 水資源 chemical : 化学薬品 enormity : 巨大さ |
| 10 | 黄金を求めて | |
| 11 | 1980年代後半、Ingo Potrykusがスイス連邦技術研究所の植物学正教授になっ てからのことだが、彼は米の栄養成分を改善するために遺伝子工学を利用し ようと考え始めた。米を主食とするおよそ30億人の人のうち10%前後の人々が ある程度ビタミンA欠乏症とかそれによる健康上の問題を抱えている。その 問題がPotrykusの注意を引いたのには多くの理由がある。まず、既に多くの 科学者がしたように単一の遺伝子を組みかえるのではなく、重要な生化学的 酵素触媒反応を表す一群の遺伝子を組みかえるという科学的挑戦に興味を抱 いた。また共感できることも動機のひとつである。戦争で破壊されたドイツ で子供の時代を過ごしたPotrykus兄弟は、あまりにお腹がすいたので、盗め るものなら何でも食べたことがあった。 | full professor : 教授,正教授 Institute of Technology : 技術研究所 nutritional : 栄養上の staple :主食 degree of : ある程度の deficiency : 欠乏症 health problems : 健康上の問題 for starters : 手始めに,まず第一に gene : 遺伝子 biochemical : 生化学的な pathway :(生化学)一連の酵素触媒反応 empathy : 感情移入,共感 war-ravaged : 戦争で破壊された |
| 12 | 1990年前後、Potrykusはロックフェラー財団の食料安全取締役であるGary Toenniessenと提携。Toenniessenは、Potrykusのような遺伝学者が取り組む のに適した目標として、白米にはベータカロチンが欠けていることを確認し た。妥当だという理由は、それが従来の品種改良では不可能だからである。 というのも、米は他の緑黄植物同様に外皮に光の受容体であるベータカロチ ンを含んでいるが、内胚乳(人々が食べている、米のでんぷん質の部分)に はベータカロチンはできない。 | hook up with : 〜と組む Rockefeller Foundation : ロックフェラー財団 beta-carotene : ベータ・カロチン polished rice :白米,精米、 tackle : 果敢に取り組む plant breeding : 品種改良 green plant : 緑色植物,青い物 beta-carotene : 《名》ベータ・カロチン external : 外側の tissue : 組織 endosperm : 内乳,内胚乳 starchy : でんぷん質の |
| 13 | ロックフェラー後援のある会議で、Potrykusは水仙のベータカロチン経路の 専門家であるフライブルグ大学のPeter Beyerと出会う。二人はお互いの専門 知識をもって協力することした。1993年、ロックフェラー財団からの着手金 100,000ドルほどを元にして、PotrykusとBeyerは、後にスイス政府と欧州連 合から援助を受け、7年間に渡り260万ドルのプロジェクトとなるものを発足 した。「幸運な状況でした、というのも、業界からの援助なしで運営できま したから。そうした状況でなければ、自分の仕事を無償で譲ることなど考え られません」とPotrykusは振りかえる。 | daffodil : 水仙 expertise : 専門(的)知識 seed money : 元金 European Union : 欧州連合 privilege : 特権を与える give away : ただで与える for free : 無償で |
| 14 | しかしながら、この二人の科学者は、黄金の米を譲るのは簡単ではないこと がまもなくわかった。彼らが組替えた遺伝子と、その遺伝子組換えに用いた バクテリアは特許及び所有権に保護されていたのだ。黄金の米を作り出すの に二人が用いた技術はシンジェンタ、モンサント他4社が独占特許権を持っ ていたのだが、広範囲に渡る交渉の末にようやくこの二人の科学者は彼らと の合意に至った。アメリカなどの生活水準の高い市場での商業権の見返りに、 彼らは開発途上国にこの技術を無償で提供することに合意したところである。 | bacteria :細菌 encumber : 妨げる proprietary right : 所有権 negotiation : 交渉 strike a deal with :〜と合意する,〜と合意に至る exclusive license : 独占的ライセンス commercial marketing : 商業マーケティング,営利マーケティング affluent : 生活レベルが高い,裕福な donate : 寄付する developing countries : 開発途上国 |
| 15 | それでもやはり、農業におけるバイオテクノロジー非難が噴出。「人々の信 頼をだましとろうとするものだ」と不満をもらすのは、RAFIというカナダの ウィニペグに本拠を置く権利擁護団体。Potrykusはそうした否定的な反応に 落胆した。「道義に反するとは言わないまでも、この問題解決にバイオテク ノロジーを利用しようとしないのは無責任だろう」と彼は声高に言う。 | agricultural : 農業の erupt : 噴火する rip-off : いんちきな,食い物にすること Rural Advancement Foundation International :Nongovernmental organization in Winnipeg, Canada, addressing the conservation and improvement of agricultural biodiversity、 advocacy group : 権利擁護団体 dismay : うろたえさせる irresponsible : 無責任な immoral : 道義に反する |
| 16 | 危険度を検討 | |
| 17 | フランケンフードが大げさに語られる背後には、本当に懸念すべきものがあ るということを、農業バイオテクノロジーを擁護する人々ですら認めている。 まず初めに、遺伝子工学によって作り出された遺伝子組替え食物を含むすべ ての食物がアレルギー源となる可能性があるということ。というのは、組替 えられた遺伝子はたんぱく質を作る命令をもっているが、たんぱく質──例 えばピーナッツのたんぱく質──の中にはアレルギー反応を引き起こすもの もあるからだ。また、バイオテクノロジーに反対する人たちが言うところの 「遺伝汚染」の問題もある。風を媒介とする花粉粒、たとえば穀類のような ものは広くかつ遠くにまで運ばれる。Bt穀類や綿──通常の土壌バクテリア (Bacillus thuringiensis)は自然の殺虫剤であるが、それが植物に移植さ れている──に関する恐慌状態がまた論争を煽りたてる。こうした作物を広 範囲に植えれば、Btに抵抗力のある害虫が増えるだろうし、またBtは有機栽 培農家に人気があるのを生態学者は心配している。 | hyperbolic : 誇張した proponent : 擁護者 transgenic : 遺伝形質を転換した genetic engineering : DNA技術 allergens : 過敏症 protein : 蛋白(質) allergic reaction : アレルギー反応 pollen grain :花粉粒、 wind-pollinated : 風媒の flap : 羽ばたく,騒動,恐慌 soil bacteria : 土壌中のバクテリア Bacillus thuringiensis :バチルス・チューリンゲンシス,土壌細菌 insecticide : 殺虫剤 fodder : 食物,素材 ecologist : 生態学者 resistance : 抵抗 pest : 害虫 organic farmer : 有機農家 |
| 18 | さらに気にかかるのが生態学的問題だ。1999年、コーネル大学の昆虫学者ジョ ン・ロージーは、「直感的」で挑発的な室内実験を行った。オオカバマダラが 生息する植物にBt穀類の花粉を振りかけたのである。蝶の多くが死んだ。ロー ジー自身は、Bt穀類が北アメリカのオオカバマダラに多大な危険を及ぼすと確 信しているわけではないが、この問題は注目に値するとは考えている。他の人 たちもこれには賛成だ。「遺伝子組替えの問題というのはそこに危険が内在す るからだ」と話すのは自国の生物多様性を保護するインドの環境団体Kalpavriskh のAshish Kothari。「他の植物や有機体にどう働くかまだわかってないのです」 | worrisome : 心配な ecological : 生態学の Cornell University : コーネル大学 entomologist : 昆虫学者 provocative : 挑発的な seat-of-the-pants : 勘と経験による laboratory experiment : 室内実験 pollen : 花粉 populate : 住む monarch butterfly :オオカバマダラ《北米の移動チョウ》 deserve attention : 注目に値する transgenics :遺伝形質転換,遺伝子導入、 hazard : 物につきものの危険 biodiversity : 種の多様性 organism :有機体 |
| 19 | 思いがけない危険となりそうなものもある。中でもありそうなものは、花粉 の組替え遺伝子が風にのって移動するとき、それが野生植物に受精し、処理 するのがますます厄介な雑草となって現れること。栽培している植物とその 野生種が実際にどれほど遺伝子交換をするのかは誰にもわかっていないが、 それを調査すべきときだと考えるのは、農業とバイオテクノロジーを懸念す る科学者同盟の会長であるマーガレット・メロンだけではない。彼女は次の ように語っている:「関係者はこうした心配に対して、安全を請け負うだけ ではなく実験でもって応えるべきです」 | potential pitfall : 落とし穴になるかもしれないもの pollen : 花粉 fertilize :受精させる wild plant : 野生植物 weed : 雑草 respond to : 〜に応答する |
| 20 | こうした状況は起こり始めている、もっとも──予想に反して──入ってく る情報はそれほど恐ろしいものではないけれど。アリゾナ大学の昆虫学者ブ ルース・タバシュニクは、農家がアリゾナ州に植えたBt綿の畑を観察して3 年目になる。少なくとも今回は、「環境への危険は最小であり、利益は最大 だ」と話している。まず第一に、綿は風によって受粉するのではなく自家受 粉するので、Bt遺伝子の拡散はあまり心配がない。また、Bt遺伝子による効 果は非常に高いため、アリゾナの農家は科学殺虫剤の使用を75%削減した。 今のところ、ワタキバガの幼虫の個体数が再び増えるということはなく、恐 れていたBtへの抵抗力はまだついていないようだ。 | scary : 怖い entomologist : 昆虫学者 monitoring : 監視 in this instance : この場合 minimal : 極小の self-pollinate : 自家受粉する wind-pollinated : 風媒の insecticide : 殺虫剤 pink bollworm : ワタキバガの幼虫 rebound : 跳ね返る resistance to : 〜に対する抵抗 |
| 21 | 可能性の評価 | |
| 22 | 農業のバイオテクノロジーを非難する人たちは正しいのだろうか?バイオテ クノロジーが約束するものは、企業の誇大宣伝にすぎないのか?ハワイ、プ ナ地区でパパイアを栽培している人たちはそうではないと強調する。1992年、 パパイアの輪紋病が流行し、この州のパパイア産業を壊滅の淵に追いやった ;1994年には、ハワイのパパイア畑の半分近くが感染していたため、農家は 外に働きに出ることを余儀なくされた。だがそのとき助けがやってきた。助 けとは、コーネル大学植物病理学者デニス・ゴンザルベスが開発した、ウイ ルスへの抵抗力をもつように遺伝子を組替えたパパイアだ。 | overblown : 誇張された,大げさな hype : 誇大宣伝 papaya : パパイア clamor : 強く要求する epidemic : 流行病 ring spot :輪紋(病) acreage : エーカー数,地所 infected : 汚染した employment : 仕事 pathologist : 病理学者 |
| 23 | 1995年、科学者チームが2つの遺伝子組替え種──UH SunUPとUH Rainbow── の野外実験を行い、1996年にはその結果が答申された。遺伝子を組替えてい ない種は、この野外実験では発育不良の失敗作、遺伝子を組替えた種は健全 に育った。1998年、特許権を所有する4人と交渉したのち、パパイア栽培農 家は一斉に遺伝子種に変更し、再び自分の果樹園を開墾した。「消費者が受 け入れてくれたのがおおきかった」とプナ近くでパパイア園を経営するラス ティ・ペリーは語る。「消費者が気にするのは、果物が遺伝子を組替えたも のかどうかよりも、みかけとか味なんだとわかりました」 | team of scientists : 科学者のチーム field trial : 現地試験 verdict : 決定,答申 render : 提出する stunted : 発育不良の mess : 失敗 patent holder : 特許所有権者 en masse : 集団で,一斉に orchard : 果樹園 consumer acceptance : 需要者承認 |
| 24 | バイオテクノロジーが元来環境とは相容れないという考えが広まることに、 ロックフェラー財団を率いる農業生態学者、ゴードン・コンウエイは戸惑っ た。彼は遺伝子工学を、自ら「緑の倍増革命」と名づけた計画を達成するの に重要な道具とみなしている。この技術によって植物が雑草やウイルスに対 する自然な抵抗力をつけるとしたら、最小限の化学肥料で穀物が立派に育つ なら、地域の水の供給を圧迫することなく乾燥地域の農業の生産力をあげる ことができるなら、なぜそれが悪いのか? | perception : 認知 intrinsically :元来 inimical to : 〜の敵 perplex : 〜を当惑させる ecologist : 生態学者 marshal : 先導する,導く chemical fertilizer : 化学肥料 |
| 25 | 無論、この飛躍的な躍進はまだ起きてはいない。しかし、Potrykusがみるよ うに、農業におけるバイオテクノロジーは人類の利益に利用できるのは間違 いない。ただ問題は、全体の総意が得られるかどうかだ。アジアの人々が、 黄金の米の将来を検討するときその答えは得られるだろう。 | breakthrough : 躍進 see it : 分かる,了解する harness : 利用する collective : 全体的な may well : 多分〜だろう emerge as : 〜として現れる |
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