Mental Illness

Mental Illness
(1.22.P46.2001)

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今回は The Hunt for Curesから  原文はここ
  かなり医療は進んでいるようだけど、一筋縄ではいかないようです

精神疾患


語彙は主に『英辞郎』Ver.38から抜粋

By FREDERIC GOLDEN
 

大意

語彙

P46 脳内物質調査 probing : 厳密な調査 chemistry : 成分
1 どうすれば人は幸福になれるかと聞かれたとき、シグムント・フロイドはこ う答えた、「仕事と愛」精神分析学の産みの親にしては意外な答え?だが恐 らく彼の時代では、医者が不安やうつ病で悩む患者に言えることといえばそ れぐらいしかなかったのだろう。そして精神分裂病のような手におえない精 神疾患に出会うと、荒っぽい方法に頼らざるを得なかった:薬や電気ショッ クで発作や昏睡を誘導したり、患者をマラリアに感染させてその熱で脳を洗 浄したり、脳の前前頭皮質の一部を削除したりする。概して精神疾患の治療 は見込みのないまま行われた。 strange answer : 意外な答え psychoanalyst :精神分析学者 couch : ソファー,長椅子 suffering :苦しむこと depression : 憂鬱,鬱病 intractable : 手に負えない schizophrenia : 精神分裂病 resort to : 手段として〜に訴える brute force : 暴力 seizure : 発作 coma : コマ昏睡 chemicals : 薬品 electric shock : 感電,電撃 infect : 感染する prefrontal cortex : 前前頭皮質 desperation : 絶望 deranged : 発狂した
2 1950年代に始めて人工の精神安定剤、クロルプロマジン(ソラジン)が偶然 に発見され、精神薬理学は暴力的ではない時代を迎えた。他にも気分を安定 させる薬が続いた──うつ病にはトフラニール(イミプラミン)、精神病に はミルタウンやイクエニル(メプロバメート)、激しい不安にはバリウム (ジアゼバム)、躁病にはリチウム塩剤──これで治らない精神疾患はない と思われた。精神異常は治療可能だという前提のもとに、政府は精神病棟を 空き病棟にし始めた──何千人もの患者が病院を出ることになり苦しんでい るという事実を無視しているのである。 synthetic : 人工の tranquilizer : 精神安定剤,鎮静剤 chlorpromazine : クロルプロマジン usher in : 〜の到来を告げる psychopharmacology : 精神薬理学 feel-good : 満足感の pill : 丸薬,錠剤 Tofranil :トフラニール《スイスの Ciba-Geigy 社のイミプラミン (imipramine) 製剤; 1958 年発売》 Miltown : ミルタウン《meprobamate 製剤の商品名》 Equanil :エクワニル 《米国 Wyeth Laboratories 製の精神安定剤で, meprobamate製剤》 meprobamate :メプロバメート《神経症・不眠症用トランキライザー》 psychosis : 精神病 Valium :バリウム《diazepam 製剤の商品名;精神安定剤・骨格筋弛緩剤》 diazepam :ジアゼパム 《トランキライザーの一種,また骨格筋弛緩剤》 lithium :リチウム塩(剤)《躁鬱病薬》 ward : 病棟 inmate : 在院者,入院患者
3 1988年にプロザック(フルオキセチン)が一般に出まわったときには、こう した新薬が精神医学に革命をもたらしていた。じっくり話しをする治療は時 間を短縮されたり処方薬に取って代わられ、感謝する患者で診療室が一杯と なった医者もいる。「突然こう言われるようになっていたのです、『凄い、 ドクター、あんたは凄いよ』と、サンフランシスコのカリフォルニア大学で 精神医学と医学史を研究しているサミュエル・バロンデスは振りかえる。魔 法の薬がどうして効果があるのか、本当のところは誰も知らなかった。また 苦しい副作用──「ソラジンダンス」といった、精神分裂病の治療の際よく 起こるゾンビのような歩き方とかよろめき方──をいつも免れるとは限らな かった。 Prozac : プロザック(抗鬱剤の商品名) new drug : 新薬 psychiatry : 精神医学 long-drawn-out : 長ったらしい replace by : 〜と取り替える prescription : 処方箋,処方薬 grateful : 感謝している distress :苦しめる gait :歩きぶり,歩行
4 それでも薬によるメッセージははっきりしている:カウンセリングは忘れろ ;薬でコントロールできない精神病はないと。多動障害の若者ですら、有り 余るエネルギーを抑えるために毎日リタリンを服用するという風に、薬づけ 状態だ。トーマス・サックスのように、過剰に薬を服用し、依存する社会を 声高に心配し非難する人もいる。しかし、無数の人々が程度の差はあれ精神 疾患で苦しんでいる状況では、医療の最前線にいる医者としては考え得る最 良の武器を使用する以外に方法はないと感じている。UCSFにいるバロンデス の同僚で精神分裂病の専門家あるソフィア・ビノグラードフはこう言ってい る:「今は患者にとってはるかに強制的な武器をもっているのです」 chemically : 化学作用で,化学的に hyperactive : 異常に活発な pharmacological : 薬理学の,薬理的な whirlwind : めまぐるしさ,嵐 daily dose : 1日量,日用量 Ritalin : リタリン《methylphenidate hydrochlorideの商品名》《中枢神経刺激 薬,子供の運動過剰症の治療に用いる》 medicate : 薬で治療する trench : 前線,第一線 employ : (手段を)用いる schizophrenia : 精神分裂病 vigorous : 迫力ある,強制的な armamentarium : 全設備,器具
5 彼女の武器は今後増えていく。米国製薬工業協会によると103種もの精神活性 新薬がテスト中であり、臨床試験の段階まできているのもあるという。このう ちうつ病の薬だけでも26種ある。準備段階中の他の薬は精神分裂病、恐怖症、 様々なタイプの老人性痴呆症、とくにアルツハイマーをターゲットにする。 製薬会社全体では研究開発に年間60億ドルを投じている。2003年に特許が切れ るイーライリリー社のプロザックのような超大型新薬を期待してのことだ。 armamentarium : 器具 psychoactive : 精神に影響を及ぼす,精神活性の undergo : 受ける clinical trial : 臨床試験 Pharmaceutical Research and Manufacturers of America :《組織名》米国製薬工業協会 in the pipeline : 進行中で,準備中で schizophrenia : 精神分裂病 phobia :恐怖症 senile dementia : 老人性痴呆症 all told : 総計して,総計で blockbuster drug : 超大型新薬 Prozac : プロザック(抗鬱剤の商品名) Eli Lilly :イーライリリー(社) (〜 and Co.) 《米国の医薬品メーカー;1901年 設立;本社 Indianapolis》 expire : 有効期限が切れる
6 ばくちのようなもの。実験室から家庭の薬箱にやってくるのは、5,000の医薬 品のうちわずかに1つだけ(それも長ければ15年かかる)。しかしそれも、 鎮静剤の開発をひらめきとか推量に頼っていた時代よりも今はましになって いる。コンピュータ化された脳スキャンやDNAプローブ、あるいは科学技術の 妙技によって、製薬会社は、脳内の活動──さらに科学物質がどう影響するか ──を分子レベルで理解できる道具を新たに手にしたのである。 long shot : 大博打,大穴 make it : うまくやり遂げる medicine chest : 救急箱,薬箱 odds :勝算,公算 tranquilizer : 鎮静剤 guesswork : 当て推量 brain scan : 脳のレントゲン断層写真,脳スキャン DNA probe : DNAプローブ technological wizardry : 科学技術の妙技 molecular level : 分子レベル
7 精神分裂病を考えてみよう。これは世界の人口の1%から2%を襲い、ほと んどが10代後半から20代前半に罹る病気だ。長年、その痛ましい症状──幻 覚、幻聴、妄想、それに感情の鈍磨──は、魔法から邪眼に至るありとあら ゆるものが原因とされてきた。今の科学者には、精神分裂病というのはドー パミン、セロトニン、それに5-ヒドロキシプタミンなどを含む、様々な神経 伝達物質──神経細胞から神経細胞へと移動する化学伝達物質──が機能し なくなって起きる複雑な病理現象だということがわかっている。「はっきり しているのは、親が原因ではないということです」とビノグラードフは話す。 精神分裂病にどの神経伝達物質が関与しているかがわかれば、もっと効果的 な抗精神分裂病剤を作るために必要な対象物質を製薬会社は正確に知ること ができる。 harrowing : 痛ましい,悲惨な hallucination :幻覚,妄想、 persistent : 固執する paranoia : 妄想症 witchcraft : 魔術,魔法 evil eye : 凶眼,邪眼 syndrome : 症候群,病理現象 neurotransmitter :神経伝達物質 nerve cell : 神経細胞,神経単位 dopamine : ドーパミン serotonin : セロトニン《哺乳動物の血清・血小板・脳などにある血管収縮物質》 parenting : 親としての役割を果たすこと schizophrenia :精神分裂病、
8 プロザックは、特定の神経伝達物質を対象にしたもうひとつの薬である。気 分を高める物質を吸収するセロトニンと呼ばれる脳内化学物質を抑制するも の。競合するSSRIS(セロトニン再摂取限定抑制剤)には、リリー社のデュ ロケシンやソルベー製薬のフルヴォザミンなどがあるといわれている。いず れの薬も同じ生化学的経路に影響を及ぼすもので、はるかに正確にかつ副作 用は少なくなっている。しかしよりよいSSRISを見つけることだけが新しい手 法というのではない。Sanofi-Synthelaboは、ベフロザトンと呼ばれる、いわ ゆるMAO(モノアミン酸化酵素)抑制剤の可能性を検討している。モノアミン 酸化酵素は、セロトニン崩壊酵素の一つであり、セロトニンを抑制するもの はなんであれ脳細胞にとって気分を高める化学物質を役立たせるものと なる。 Prozac : プロザック(抗鬱剤の商品名) plug up :詰める,塞ぐ、 reuptake : 再取込み,再摂取 inhibitor :抑制剤,阻害剤、 biochemical : 生化学の pathway : 通路,経路 side effect : 副作用 monoamine oxidase : モノアミン酸化酵素 disrupt :崩壊させる enzyme : 酵素 brain cell : 脳(神経)細胞
9 新薬の多くは、旧薬を別の用途に振り向けたもの。国立薬物乱用研究所は抗 コカイン中毒薬を5種類検討中、これらはもとはパーキンソン病の治療用に 開発されたもの──神経疾患がかなり異なるものでも同じ生化学構造をもち うるといういい例である。研究者たちはまた、毎日服用したり注射をしたり しなくてもすむように、時間とか一日単位ではなく、数週間に渡って必要不 可欠な成分が効いてくる薬を作ろうとしている。それができれば、施設から 追い出された人たちや、リタリンを服用する子供たちの生活も楽になるだろ う。 under review : 調査の対象となって,(再)検討中,検討されて cocaine dependence : コカイン依存(症) neurological : 神経学的 disorder : 疾患 fashion :作る essential ingredient : 必須成分 eliminate : 排除する injection : 注射 deinstitutionalize : 施設から解放する
10 決定打は精神疾患の遺伝学の知識。遺伝子チップ技術を用いて、ピッツバー グ医大のチームが精神分裂病患者10人のDNAで同じ突然変異を発見した。問題 の個所はRGS4と呼ばれ、神経細胞内での信号持続時間を決定するもので1番 染色体にある遺伝子だった。興味深いことに、この突然変異は脳の視覚中枢、 運動中枢、それに認識中枢に現れている。精神分裂症の幻覚や注意力の問題 を説明できるものだ、とこのチームの指導者パット・レビットは話している。 genetics :遺伝学 DNA : デオキシリボ核酸 schizophrenic patient : 精神分裂症患者 flaw : 欠陥 chromosome : 染色体 duration : 持続期間,存続期間,任期,所要時間 nerve cell : 神経細胞,神経単位 intriguingly : 興味をそそって cognitive : 認識の hallucination : 幻覚,妄想
11 こうした発見でバロンデたちの意気は上がっている。「生化学的な経路と、 「これらの遺伝子によって制御される」仕組みが分かれば、そうした物質 を増強したり抑制したりできる薬を作ることが可能となるだろう」と言う。 さらに、個人の遺伝子欠陥を特定できれば、年齢、性別、人種の要素をも 考慮した個々の患者に適する処方もいつかは可能になる。 elate : 得意がらせる augment : 増す tailor : あつらえる regimen : 処方計画,投薬計画
12 このように進歩しているとはいえ、将来、治療が脳内物質をいじくりまわす だけになると考える専門家は少ない。依然として医者は、患者の対人関係、 仕事におけるストレス、それに情緒面の健康を考慮しなくてはならない。ア メリカ、ロチェスターにあるメイヨクリニックのキース・クラムリンガー博 士が言っているように、「ほとんどの場合、精神疾患は生まれながらの気質 と環境が複雑に混ざり合ったもの」だろう。言いかえれば、薬も必要だがお しゃべりも必要なのだ。だから昔ながらのフロイト派のカウンセリングも役 に立つのかもしれない。 tinker : いじくりまわすこと take into account : 〜に気を配る job pressure : 仕事の圧力 emotional well-being : 情緒面の健康 Mayo Clinic : 《組織名》メイヨ・クリニック,ボストンにある有名な医療機関 nature and nurture :氏と育ち、 palaver : おしゃべり,無駄話 Freudian : 《形》フロイト(派)の come in handy : 便利である,役に立つ


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