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大意
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語彙
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By TIM LARIMER Taiji
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捕鯨は国際的な非難を浴びているが、誇り高い日本のこの村にとって捕鯨は
尊ぶべき生き方である
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outrage : 激怒
venerable : 尊敬するに足る,尊敬に値する
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太地という太平洋岸にある村で給油の仕事をしているMitsunori Sakaguchi
はいらついていた。そうしたある日、地元の水族館で見た──そして可愛がっ
た──のだ、イルカを。「あいつらは人懐こかった」とSakaguchiは言う。
「あいつらが歌うのも好きだった。まるで会話ができてるようだった。くつ
ろぐんですよ。そこで決めたんです。海の仕事をしようって」
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frustrate : イライラさせる
aquarium : 水族館
dolphin : イルカ
understand each other : 意思が疎通する,お互いに理解し合う
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こうして今33歳になるSakaguchiは3年前に捕鯨船員になった。イルカとのコ
ミュニケーションが、銛を使って捕鯨をする仕事のきっかけになるのは奇妙
に思われる。しかしマグロ漁の漁師の息子であるSakaguchiにとっては、1
日海に出た後雇い主の持ち舟ビクトリーの甲板を掃除しているときでも矛盾
は感じない。「もちろん、イルカは絶対殺しません」と言う。「だけど、鯨
は、ま、違うんです。仕事ですから」
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whaler : 捕鯨船員
harpoon gun : 捕鯨砲,銛撃ち砲
tuna : マグロ,鮪
contradiction : 矛盾
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太地の人たちにとっては、捕鯨をするにはそれだけで十分な理由である。大
部分の捕鯨は1986年世界的に禁止されたが、日本は捕鯨を続けている。ただ
し、研究目的だという日本の主張により、毎年ミンク鯨を500頭だけ捕獲し
てもいいとう国際捕鯨委員会の許可の下で行われている。捕鯨に反対の活動
家はこの「研究」──鯨の数を数え、その胃の内容物を分析する──はでっ
ちあげであり、日本の本心──商業捕鯨量を増やす──を正当化する試みで
あると主張。研究用に捕獲された鯨の肉は実際、IWCの規定に従って市場で売
られている。日本の捕鯨船は他に2種類、ごんどう鯨とツチ鯨も合法的に捕
鯨している。この2種類は絶滅の危機に瀕していないのだ。しかし近年、IWC
を無視し、絶滅しそうな2つの種──マッコウ鯨とブライド──を日本は少
しだけ捕鯨すると発表して捕獲量を増やした。アメリカはこれに抗議し、9
月、クリントン大統領は日本がアメリカの海域で漁をすることを禁止した。
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permission : 認可
International Whaling Commission : 国際捕鯨委員会
as many as : 〜するだけの数のもの
minke : ミンククジラ
antiwhaling : 捕鯨に反対の
contend : 強く主張する
analyze : 分析する
sham : ごまかし,でっち上げ
commercial whaling : 商業捕鯨
research expedition : 研究調査のための探検
as required : 必要数,要求に応じ
pilot whale :ごんどう鯨、
Baird's beaked whale :ツチクジラ (Berardius bairdii) (=giant bottle-nosed
whale) 《北半球産》
sperm whale :マッコウクジラ、
extinction : 絶滅
defy : 反抗する,平然と無視する
small number of : わずかな〜,少数の〜
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東京から450km南西に位置する太地村の住人4,000人にとってこれは明らかに
死活問題だ。ビクトリー号の船長Tsukasa Isone(42歳)はこう言う、「私とし
ては、アメリカ人が鹿を狩るのが不思議です。だけどアメリカ人に向かって
鹿を殺すなとは言いません。あの人たちはなぜ、私たちに鯨を食べないよう
に言うのでしょうか?」
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resident : 在住者
hunt deer : 鹿狩りをする
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クジラ目の種が絶滅する危険があるというのがその答えかもしれない。鯨は
沢山いるし、少しぐらい多めに捕獲しても種全体が危うくなることはない、
とIsoneは主張。捕鯨船を保有している共同組合の組合長Yoshifumi Kaiは次
のように言っている:「うちらバカじゃないよ。捕りすぎれば自分の首を絞
めるようなもんだ」おまけに捕鯨船員たちはこうも言う。鯨の頭数を抑制し
なければ、それに食べられる魚が多くなり生態系のバランスが崩れると。こ
れが日本政府の主張の根拠となるものだ:捕鯨は生態系を保護する。
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cetacean : クジラ目の,クジラ目の動物
wipe out : 絶滅させる
imperil : 危険にさらす
co-op : 協同組合,生協
whaling vessel : 捕鯨船
throat : 喉
ecological imbalance : 生態系の平衡失調
rationale : 理論的説明
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口には出されてないが、捕鯨の制限は漁師の収入も制限することになるとい
う事実がある。捕鯨漁師の年収は75,000ドルで、普通の漁師の3倍ほどであ
る。もちろん、太地に残っている捕鯨漁師は40人しかいない。2艘の船が5
月から10月まで海域をあちこちする;彼等は日本政府から銛で鯨を捕る許
可を得ている。そして10月、集鯨が始まる。15隻の船がネットを使って
鯨を捕らえ湾まで連れてくると、捕鯨船員が銛を打ち込む。それは余りに血
なまぐさいので、いつどこで鯨を囲い込むかは秘密だ。「この話題になると
神経質になるのですよ」と太地の村長、Setsuo Hmanaka(71)。
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on average : 平均して
prowl : うろつく
permission : 認可
harpoon : 銛
herder : 看守,牛飼い
take over : 引き継ぐ
bloody : 血なまぐさい
keep secret : 秘匿する
corral : 囲いに入れる,捕らえる
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昔は船員も隠れる必要はなかった。太地で彼等は崇拝の的だったのだ。1987
年までは捕鯨船員の400人ほどが毎秋妻子を後にして、シロナガス鯨やマッコ
ウ鯨を捕りに南極まで6ヶ月の航海にでたものだった。「一番大きな獲物は28m
もあったな」と、1日20頭の鯨を銛で撃っていたShimasaburo Hamaii(76)は
思い出す。「子供の頃はみんな捕鯨船の絵を描いたものだ」と語るのは村の
郵便局長Arata Wada。「Hamaiiさんのような砲手に誰もがなりたかったの
です」夢を持った若者は、1878年の嵐のときのような30隻の船隊が転覆し、
太地の男たち111人が亡くなった悲劇にも動じなかった。
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idol : アイドル
voyage : 航海
antarctic : 南極の,南極地方の
blue whale :しろながす鯨、
sperm whale : マッコウクジラ
whaling ship : 捕鯨船
postmaster : 郵便局長
unperturbed : 動じない
peril : 危難
capsize : 転覆する
fleet : 船隊
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だがその息子たちは捕鯨船員になる必要はなかった。息子を大学に行かせる
に十分なお金を父親が稼いでいたからだ。例えばHamaiiの一番下の息子は、
東京で為替トレーダーになっている。今は、鯨に関しては別の方法で利益を
あげることを太地は期待している:観光だ。マンホールのフタから村役場の
標示まで鯨が描かれている。鯨の肉は目玉料理。ソテーでも焼いても生でも、
魚よりも牛肉に近い味だ。村の鯨博物館の館長、Takeshi Saigaはこう言う
:「私ですが、私は鯨肉が好きですよ。だけど私の仕事は、鯨がどれほど可
愛いかをみんなに知ってもらうことです」彼の仕事はうまくいき過ぎている
のかもしれない。「若い人はね、こう言うのです、『まあ、なんて可愛いん
でしょう。どうしたら殺せるの?』」誰に分かるだろう?太地は別の鯨文化
を育てているのかもしれない。
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for one : 一例としては
currency trader : 為替トレーダー,為替投機家
profit from : 〜で利益を上げる
manhole cover : マンホールの蓋
town hall : 公会堂,市庁
cetacean : クジラ目の
feature : 呼び物にする
cuisine : 料理
saute :さっと炒める,ソテーにする、
roast : 焼いた
whale meat : 鯨肉
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