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大意
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語彙
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By SACHIKO SAKAMAKI Hakui
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余り知られていない日本の町が異星人大歓迎──観光客も歓迎
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obscure :辺鄙な、
put out the welcome mat :大歓迎する
extraterrestrial : 地球外の,宇宙からの
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能登半島、日本海に突き出たこぶし状の棚田、そこは本当に辺鄙な場所に思
われる──が実は異星人が来るのを待っているのだ。なぜかと言えば、ここ
羽咋では彼らを公式に出迎える建物が建てられた。人呼んでコスモアイル羽
咋。国のお金4,800万ドルで建設された巨大な金属製のドームだ。そこには滑
走路はない:ガランとした駐車場がそれに代わる。
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Noto Peninsula : 能登半島
knuckle : ナックル,げんこつ
terrace paddy field :棚田
jutting : 突き出た
wait until : 今に見てろ〜だからな
dome : 丸天井,丸屋根
government money : 政府資金
airstrip : 滑走路,小空港,空港
parking lot : 駐車場
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この道の向こうにあるマクドナルドではなく、その場所に着陸すればいいの
を異星人はどうやって知るのだろう? UFO博物館と市立図書館らしきものが
中心部にあり、その外側に長さ26mの1960年代のアメリカのロケットがある。
ドームの中にあるのは、アポロ宇宙船の複製、月及び火星の試運転に使用さ
れたローバーの試作品、1967年、ソビエト宇宙飛行士が乗船した現物のヴォ
ストーク号。異星人がハリウッドに詳しい場合も考えてか、トム・ハンクスが
アポロ13号という映画の中で宇宙服をしまっていたトランクもある。「UFO
を歓迎する場所が地球上に1箇所ぐらいあっても悪くはないでしょう」と
ここの館長Josen Takano(44)は言っている。
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touch down : 接岸する,着陸する
technically : 厳密に
municipal library : 市町村立図書館
replica : レプリカ,複製
command module : 司令船
rover :ローヴァー《英国 BL 製の中上級乗用車》
prototype : 試作(品),見本
practice run : 試運転
actual : 実際の
Vostok :ヴォストーク《ソ連の一人乗り有人衛星船;第1号は1961年打上げ》
cosmonaut : 宇宙飛行士
prop : 小道具
space suit : 宇宙服
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注意、ロズウェル空軍基地。羽咋はマチュピクチュとかデヴィル山ほどはUFO
の出現場所として知られているわけではないが、なんと言ってもこの町は政
府基金で大きなUFO博物館を建てているのだ。なぜ羽咋かって?UFOマニアを
惹きつけるほど知られてはいない。5年前、空に青い火球が発見されたのは
確かで、地元の新聞にも載りはした。しかしこれは北は秋田東は水戸でも見
られた現象であり、その後天文学者によって隕石と断定されたもの。問題と
すべきは、このようなプロジェクトが日本の片田舎でなぜ持ちあがったのか
──これに対する答えがまったく地球的、極めて政治的、そして非常に日本
人的なのだ。
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Roswell :米国 New Mexico 州南東部の都市;Walker 空軍基地の所在地
Machu Picchu :マチュピクチュ《ペルー中南部のインカ都市遺跡》、
Devil Mountain :デヴィル山《AUYN-TEPU の別称,アウヤンテプイ 《ベネズ
エラ南東部, Caroni 川の東にある 約 32 km にわたる台地》
government money : 政府資金
magnet : 引付けるもの,磁石
fanatic : マニア,熱狂的信者
fireball : 火柱,火球
local newspaper : 地方紙
phenomenon : 現象
astronomer : 天文学者
meteorite : 隕石
wholly : 完全に,全く
terrestrial : 地上の
distinctly : 際立って,はっきりと
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博物館はTakanoの発案だ。彼はもともと技術者だが僧侶でもなんでもこなし
てきた。早稲田の学生だったとき、Takanoはテレビの科学番組の台本を書き、
それがUFOに興味をもった最初である。また羽咋出身の彼は、興味をそそる
羽咋伝説を詳しく述べる。武士の時代に、奇妙な乗り物が町の外の山の上
を舞っていたという話だ。その伝説によれば、僧侶の使うシンバルの形、後
に円盤と言われる形状であったという。Takano自身はUFOを目撃したことは
ないが、徐々に地球外知的生命体の存在を信じるようになってきた。1983年、
主なる繊維産業が絶えようとしているこの活気のない故郷に、宇宙人が活気
を与えてくれるのではないかと彼は考えた。東京でのテレビの仕事を辞め、
博物館の話を町の人々に持っていき資金獲得の活動を始めた。1993年に資金
は集まった──半分は東京の自治省から、残りは市の財源からである──そ
して1996年博物館はオープン。大当たり:毎年70,000人の人が訪れている。
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brainchild : 案出されたもの,発案物
by training : 教育を受けた
jack-of-all-trades : 《名》よろず屋,何でも屋
by experience : =from experience,経験から
monkhood : 修道士
Waseda University : 早稲田大学
script : 台本
recount : 列挙する,数え上げる
intrigue : 興味をそそる
legend : 伝説
craft : 航空機
hover : 空中に舞う
cymbal : シンバル
flying saucer : 空飛ぶ円盤
extraterrestrial intelligence : 宇宙人
give life to : 〜を活気付ける
main industry : 主要産業
textile : 繊維
townsfolk : 町の住民
funding : 資金調達
come through :成功する
Home Affair Ministry :《組織名》自治省、
coffer :金庫,財源
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Takanoが展示する物は、マニア向けのものではない。「ここは知的にUFOを扱っ
ている、世界でも唯一の博物館です」と強調する。展示にエイリアンの遺体が
欠かせないのはもちろんだが、目玉品のひとつにビデオを流すブースがある。
そこでは真面目な顔をした科学者が、地球外知的生命体探求、いわゆるSETIと
して知られる国際的な試みを述べている。それでもなお、この建物の2階の
小さな図書館には、真面目なものから軽いものまで、Takanoが集めた何千も
の英語で書かれた資料がある。
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exhibit :展示品
lunatic fringe : 熱狂的支持派
lowbrow : 教養のない(人)
requisite : 必須の
corpse : 死体,死骸
booth : ブース,展示会・ショーなどの1区画
video screen : ビデオの画面
sober : 真面目な
extraterrestrial : 地球外の
assemble : 集める
documents : 文書
lighthearted : 気楽な;楽天的な
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日本にはかなりのUFOマニアがいる。ラエリアンというのは1970年代にエイリ
アンと接触を持ったと言われているフランスのジャーナリストにちなんで名
づけられた名称だが、日本には熱烈なラエリアン信奉者が4,000人いるという。
(彼らの揺るぎ無い信念:遺伝子改変により、人類はエイリアンが創り出し
たもの)Takanoの友人の一人は、90年代初頭、UFO公認で参議院選挙に出馬し
た。地球を他の惑星に解放しようというのが彼の公約であった。しかしなが
ら、概ね日本人がUFOを信じる理由は他の国の場合と似たようなものだ:一時
の熱狂とか、Xファイルとか未知への期待が混ざり合ったもの。「若者たちの
多くが、UFOや超常現象を信じていると言います」と国学院大学の宗教学教授
のNobutaka Inoueは言う。「だけど、単に神秘的なものが欲しいだけなんです」
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fair share : 公正な取り分,正当な分け前
freak : 奇人,変人,〜が大好きな人1》その,例の,《定冠詞-2》《特許》前記〜
name after : 〜にちなんで名付ける
allegedly : 伝えられるところでは
adherent : 信奉者,支持者
genetic : 遺伝子の
national parliament : 国会
party ticket : 公認
platform :政治要綱
blend : 混合
faddishness :一時的流行[熱狂];気まぎれ,酔狂、
X-Files : 人気テレビドラマ,主役はスカリー(Scully)捜査官
paranormal : 科学的に説明できない,超常現象
professor of religion : 宗教学の教授
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ある意味で、4,800万ドルかけたUFO歓迎は能登半島ならではのものである。
飛騨と白山がこの地域を本州の他の地域から切り離している。能登の人々は
孤立には慣れているし、また海岸に変わったものが打ち上げられるのにも慣
れている。「能登の人たちは長らく外国の人を歓待してきたのです」と家政
学院で能登伝説を研究しているTadao Kobayashi。「戦士のヘルメットといっ
た外国の品物を神社に納めているのですよ。他の世界からの訪問者があって
もすぐに信じるかもしれません」
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make sense : なるほどと思える
wash up : 浜に打ち上げる
folklore : 民間伝承,民俗学
warrior : 戦士,武士
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能登半島、エイリアン、UFO:論理的なつながりは薄いけれども、この道の向
こうにある似たような話ほど荒唐無稽ではない。Oshimizuの近くには、聖書
に現れるモーゼの墓があり参拝できる。ガイドを頼めば、68歳になる農夫
Hiroshi Kashinoが丘の上まで連れていってくれるし、モーゼの墓の記念銘板
を見ることができる。Koshinoはたまたまその丘の持ち主だった。モーゼのザ
クロワインやモーゼザクロジャムが町で買える(ザクロは地元産)モーゼが
Oshimizuに埋葬されているとどうして信じられるのかと尋ねれば、1930年代
に出版された本がその典拠だと返答されるだろう。そこには、シナイ山を
「空中に浮揚する船」で立ち去った預言者はOshimizuに落ち着いたと書かれ
てある。(この同じ著者は、キリストが日本の北部である青森県に埋葬され
たとも言っている。そう、イエスの観光センターがあるのだ)モーゼが中東
を離れたなんてOshimizuのひとはこれっぽっちも信じてなくてもかまわない。
「これは町の復興のためなんですから」とKoshino。
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logical : 論理的な,道理にかなった
tenuous : (関連・関係が)薄い
grave : 墓
biblical : 聖書の,聖書に現れる
prophet : 予言者
plaque : 額,飾り版
resting place : 墓,墓場
pomegranate : ザクロ(の実)
chapter and verse : 典拠
prophet : 予言者
depart : 立ち去る
revival : 復興
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そう、これがこのプロジェクトのすべてを言い表している。日本政府は、消
えゆく地域の経済活性化にはポンと資金を出すし、おまけに羽咋は現森善朗
首相の選挙区に近いということもある。日本ほど巨大なポークバーレルを持っ
ていれば、ときとして思いもかけない人がスペアリブを食べていたりする。
羽咋にUFOが実際着陸すればそれこそ驚きだろう。もっとも──商売には悪
くはないがね。
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easy touch : 金儲けに利用されやすい人
constituency : 選挙区
pork barrel : 豚肉保存用の樽,特定の議員[選挙区]だけに利益がある助成金[国庫
地方交付金・政府事業・地方開発補助金]
unlikely : 思いもよらない
sparerib :スペアリブ《豚の肉をほとんどそぎ取ったあとの肋骨》
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