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大意
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語彙
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BY CHARLES KRAUTHAMMER
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スーパーボウルのクリストファー・リーブが歩いている CM にすっかりだまさ
れた、麻痺に苦しむひとたちが、どうやって治ったのか知ろうと某麻痺者擁護
団体に問い合わせの電話をかけている(連合通信、2000年2月1日付)
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Super Bowl : スーパーボウル,米プロフットボール王座決定戦、
advocacy group : 権利擁護団体
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私は長い間クリストファー・リーブを避難することにはためらいを感じていた。
あんなにひどい障害を受けながら元気にがんばっている人を攻撃するのは容易な
ことではない。特に、大変な不運に見舞われたお仲間をを冒涜するのは気がすすま
ない。 (私自身22歳の時脊髄損傷となり、それ以来車椅子の生活を送ってい
る。)
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reluctant : しぶしぶの、
devastate : 大打撃を受ける、
carry one with :を携える、
keen to : 〜することを切望する、
spinal cord : せき髄,脊髄、
wheelchair : 車椅子
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だが彼のスーパーボウルのCMはいきすぎだった。何故あんなことをしたのだろ
う?意識を高めるためだったと彼はいう。もうすぐ良い治療法ができると確信し
ているので、その朗報をテレビを通して出来るだけ多くの人と分かち合いたかっ
たというのだ。だが私はあと2、3年もすれば良い治療法ができる、という話し
はもう28年間も聞いてきた。たまたま私は医者だから、そんなばかげた話はう
のみにはしてこなかった。だが脊髄損傷患者のほとんどは医者ではないのである。
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consciousness : 意識、
imminent : 差し迫った,目前に迫った、
discount :割引して聞く
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実状はこうだ。確かに脊髄の再生に関する研究はされているし、動物実験では
時折肯定的な結果が報告されている。だが脊髄再生の研究はまだ予備研究の段階
であり、まあよくいって再生できる可能性のきざしがみえるというところだ。そ
こには、どうすればニューロンを再生できるのかという極めて難しい問題の他に
も解決しなければならない多くの科学上の問題が残されている。もちろん研究は
いつかは実を結ぶだろう。だが不幸なことに、それは近い将来のことではなく、
まだ何年も先のこととなる可能性の方が圧倒的に強いのである。
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regeneration : 再生、
preliminary : 予備的な,予備試験、
at best : よくて(も)、
suggestive : 示唆的な,示唆に富む、
neuron : 神経単位、
regrow : 再生する、
bear fruit : 実を結ぶ,成就する
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第二に、その時がきたとしても、その恩恵に浴するのは主として損傷を受け
て間もない人たちなのである。損傷後時間がたつと、損傷部位には瘢痕組織が形
成されてしまう。また損傷部位より下の脊髄でも、ニューロンが死滅してしまい
駄目になってしまうこともよくある。長い間脊損に苦しんでいた人たちがこの研
究によって救われるということはありそうもない。もしあるとしてもそれは万
に一つだろう。結局 '新しい治療法' は、たぶんポリオワクチンのようなものに
なるのだろう。それは麻痺を防ぐことはできてもなくすことはできないのである。
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scar tissue : 瘢痕組織、
distal :末梢の,末端の、
spinal cord : せき髄,脊髄、
mush : ボロボロに砕ける、
neuron : 神経単位、
polio vaccine : 小児まひワクチン
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第三に、万が一、現在麻痺に苦しんでいる人のための治療法ができたとしても、
それはよくても部分的なものになるだろう。完全に脊髄をやられた人が実際に歩
けるようになるという、スーパーボウルのCMで劇的に示された考えは、現実離れ
している。歩行は運動器系がフィードバックしながら、協同して働くことによっ
て起こる極めて複雑な作用なのだ。赤ん坊をみるがよい。神経系は全く問題ない
のに、歩けるようになるまで何と時間のかかることか。歩けるロボットの研究を
みてみるがよい。もう何十年か研究しているのに、まだ原始的であり、へんてこ
なものも多い。長い間脊髄損傷に苦しんできた人たちも、多少は研究の成果を享受
するだろう。手や胸が少し動くようになるとか、うまくすれば足だって動くよう
になるかも知れない。確かに大きな恵みといえる。だがそれはリーブが宣伝する
幻想とは全く異なる。それは、歩行、すなわち、損傷前の状態への回復とはかけ
離れている。
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dramatize : 劇的に表現する、
sever : 切断する、
cord :脊髄、
farfetched : こじつけの、
complex : 複雑な、
intact : 完全な、
nervous system : 神経系、
comical : 滑稽な、
boon : 恩恵,恵み、
far from : ほど遠い
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リーブは回復の日はそこまできていると信じている。それはそれで良い。回復
を信じたいと思っている者といい争う気は毛頭ない。彼が回復を信じなければ
やっていけないということなら、私には、彼の幻想を破る権利などない。
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around the corner : 間近に、
get through :切り抜ける,生き抜く、
disabuse : 迷いを覚ます
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だがリーブは、みんなに信じこませようとの明確な目的をもって、回復の幻想
をひけらかしているのだ。さまざまな公式の場や、今回の人を欺く恥ずべきスー
パーボウルのCMで、救いの日は近いと福音をといている。そして福音を信じない
者たちを避難さえするのだ。
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in public : 公に,公開の席で、
express purpose : はっきりとした目的、
convert : 転向させる[改心, 改宗]させる、
disgracefully : 不名誉にも,卑劣にも、
evangelize : 福音を説く、
redemption : 救済,解放、
go so far as to do :〜しさえする
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「一番問題なのは、実は車椅子生活が長くなっている人たちなのです。という
のも、そういう人たちは心の平成を保つため、'まあいいや、 一生車椅子でやっ
ていくさ' という具合に現状を受け入れてしまっているからなのです。」と、リ
ーブは、CMの放映が始まった翌日'おはよう、アメリカ'で語った。
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psychologically : 精神的に
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リーブの考えでは、現実はバラ色の心の支えだ。だがそれは偽りの支えであり、
彼の宣伝は、有害だ。特に、事故直後で、どうにか現実と直面し、受け入れ、乗
り越え、自力で車椅子で生きていこうとしている若者には有害だ。
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crutch : (精神的)支え、
propaganda : 宣伝,主張、
to that effect : その趣旨の,その趣旨で、
undermine : 台無しにする、
wheelchair : 車椅子
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もっと奇妙なことに、リーブは車椅子の人たちが車椅子から解放されることを
十分には夢見ていないと信じている。それで200万ドルのCMとなった。)だが
事実は全く逆で、回復への夢から離れられない人たちがいるということが問題な
のである。そしてこれもまた特に障害直後でうちひしがれた若者に多い。
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on the contrary : 逆に、
devastate : 立ち直れないほどのショックを受ける
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私は事故にあった時4人部屋の病室に入ったが、そこには、学校を続けようと
もしなければ、新しい職業を考えようとも全くしない人がいた。ある日、その人
がその理由を話してくれた、「治療して回復するのを7年間待ってみるよ。それ
で駄目なら自殺さ。」
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ward : 病棟、
new career : 新しい職
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リーブが吹聴してまわっている楽観主義は、いたずらに希望を抱かせるだけで
残酷で心によくない。だが問題は心理面にとどまらず実際的でもある。最近麻痺
したばかりの若い人たちは、リーブを手本とし、まるで千年至福説を信奉する者
が、家をすて世俗的財産を売り払い山頂でキリストの再臨を待つように、奇跡的
な治療により歩けるようになることだけを夢み時を無為に過ごしてしまうことに
なってしまうかも知れない。本当はその時間に彼らは、本を読み、勉強しハイテ
クのおかげで長い歴史の中、初めて障害者にも様々なことが可能になった新しい
世界で、その機会を生かす準備をしなければいけないというのに。
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false : 誤った、
peddling : 売り歩く、
emulate : 見習う,まねる、
on end : ぶっ続けで、
miracle cure : 妙薬、
much like : そっくりの,酷似の、
millenarian : 千年至福説信奉者、
worldly : 現世の、
rapture : 狂喜,歓喜
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障害があっても仕事につき、自立し、キャリアをつむことは可能だ。だがその
ためには非常な努力が必要になる。それはまさにリーブが断固として無視しよう
としている現実を、精神的に受け入れることから始まるのである。
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start with : 始める、
acceptance : 承認,容認、
undermine : 密かに傷つける,台無しにする
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もし私の方が間違っているとしても、起こり得る最悪の事態は、リーブを信じ
なかった者が、過剰に教育されたくましくなりすぎたということくらいのものだ
ろう。だがリーブのいうことが間違っていたら、彼を信じた者たちには何が残さ
れるのだろうか?
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nonbeliever : 信じない人、
overtrain : 過度に訓練させる
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