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大意
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語彙
By TIM LARIMER Tokyo
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小渕は保身のうまさでまたもや逃れる。これを経済に役立てることができ
ないのが残念だ。
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get away with it :処罰を免れる,罰せられずにやってのける、
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政治的激動とはこんなものである。つまり、本来なら小渕恵三内閣は危機的
状態だ。首相の公明党の取り込みは議論のあるところであり、国民の多くが
危惧している。公明党というのは宗教とみなされているある仏教組織を背後
にもっている。彼のケインズ的景気刺激策は日本を将来債務危機に陥いらせ
ると経済専門家は警告し心配している。思い切った改革をしようとはしない
彼に、大胆な指導者を待ち望んでいる国民は失望している。気になどしない
──彼の保身のうまさは生まれつきだから。日本経済の立て直し方はしらな
いかもしれないが、権力の座に居続ける方法は間違いなく知っている。「好
ましくない懸案はすべて先送りされてます」というのは北海道大学の政治学
教授Jiro Yamaguchi。「彼の指導力はロナルド・レーガンを思わせます。感
じのいい首相なのです」
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upheaval : 激動、
by rights : 正しくは,本来、
in jeopardy : 危険にさらされて、
embrace : 取り囲むこと、
cult : 宗派、
penchant : 傾向、
pump-priming : 呼び水、
enact : 制定する,成立させる、
put off : 延期する,延ばす、
feel-good : いい気分にさせる,満足感を与える
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最近の日本の政治劇のあとでは、小渕はむしろビル・クリントンのようにみ
えてきた──ノックアウトされるのだが、どういうわけか蘇ってくるのだ。
今月始め、国会が来年度予算の折衝の準備をしているとき、野党が突然国会
をボイコットすると発表。民主党、共産党、社民党、議席は合わせて752議席
中186議席、その3党が本筋を通そうとしているかにみえた。つまり、衆議院
の議席数削減法案を無理矢理通そうとしていると連立与党に抗議。珍しくも
行動を共にし、ようやく巨大な小渕政権脅かす兆候かとも思えたのだが。議
員たちは退出し、2週間国会を欠席、ホテルのダンスホールでシャドウ国会を
設立。
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political drama : 政治劇、
down for the count :ノックアウトされて、
inexplicably : どういうわけか、
rebound : 跳ね返る、
Diet : 国会、
take the highroad :本道を通って行く、
ruling coalition : 連立与党、
legislation : 法律,法律制定、
juggernaut : 威圧的な巨大なもの,怪物、
ballroom : ダンスホール,舞踏室
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しかし小渕たちは苦もなく前進。ボイコットを無視し、野党に対して提案も
妥協案も出さず、更なる法案を通過させた。テレビで放映されたその光景は
恐ろしいものがあった:去年の暮れ支持率が低下した首相は、半分空席の国
会で演説。彼の所信表明演説はほとんど無視された。小渕は、まだまだ権力
の座にとどまり、今年沖縄で開催されるG-7サミットでホスト役を務めたいの
だが、突然危うく感じられた。
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overture : 申し入れ,提案、
compromise : 妥協,妥協案、
ram through :横車を押す、
popularity rating : 支持率,人気率、
policy speech : 施政方針演説,所信表明演説、
vulnerable : 脆弱な
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みかけというのは人を惑わすものである。鉄壁の多数を要する小渕連立政権
は、野党側には気の乗らない選択を迫ることができると分かっていた:負け
ると分かっている無意味な討論に参加するか、それとも退出するか、だ。結
局首相の相手は、けちな政治家がずる休みをするかのように退出していった。
その間小渕は、日本が直面している重大な経済及び社会問題に果敢に取り組
んだ。国会の議席を減らすという問題がなぜ政治危機を引き起こすか、有権
者の多くが理解できないだろう。政治家が少なくなる? いいんじゃない、
と考える人が多いのだ。
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ironclad : 破ることのできない、
petty : 狭量な,下級の、
play hooky : ずる休みをする、
grapple with : 〜に取り組む、
social issues : 社会問題、
voter : 投票者、
eliminate : 排除する
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大阪府知事選が小渕政権信任を占うものとして行われた。長年の不景気に大阪
はひどく苦しんでいるのだが、そこの有権者は移り気でかつ独立心旺盛なこと
で知られている。東京の連立政権地元の政党を無視して独自の候補者を擁立。
負ければ、弱体化した小渕内閣はこの春総選挙を余儀なくされるところだった。
ところが結果はというと、彼が選んだ48歳になる東京出身キャリア組官僚太田
房江が楽々と勝利し、日本初の女性知事となった。小渕マシーンを壊すのに失
敗した野党には、コソコソと国会に戻るしか手がなかった。小渕としては、彼
らに譲歩する必要はほとんどなく、ただもう少し議論するよ、といって相手の
面子を立てるだけでよかったのだ。
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mandate : 委任統治,指図、
fickle : 気紛れな、
independent-minded : 独立心がある、
in defiance of : かまわず,無視して、
party hack : 金で動く政党、
bureaucrat : 官僚、
handily : たやすく,わけなく、
unhinge : 混乱させる,乱す、
slink : コソコソ歩く、
throw a bone :相手の機嫌を取るために譲歩する、
face-saving : 顔を立てる
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小渕手品のひとつであり、一連の考えられない勝利のうちでも最新のもので
あった。8月、彼は国歌を法案化に成功。国歌は天皇を称えるものと考えら
れているので論争の的だったのである。その後まもなく彼は、警察に立ち入
り調査権を与える法案を押し通した。昨年暮れには沖縄知事を説得して長く
宙に浮いていた沖縄内でのアメリカ空軍基地移転を是認させる。そして今月、
国会の議席を20削減したのである。これまでの首相は、こうしたことを口
にするだけで物議をかもしたものなのだ。
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official recognition : 公認、
national anthem : 国歌、
push through : (議案を)押し通す、
intrusive : 押し入る,立ち入った、
relocation : 再配置,移転、
slash : 削減する、
court :招く
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自分を卑下したり、あか抜けしないやりかたから考えると、小渕がどうやっ
てこうしたことをやりおおせたかはなかなかわかるものではない。しかしこれ
こそが彼の極意なのだ:過小評価されること。彼は滅多に自分の意見を言う
ことはなく、むしろ他の人の意見を長々と拝聴している。あまりにも多くの
委員会(「さらに1,000から10,000ほどの調査団を起用するかもしれません」
と先週発表)を起用しているので、もっと一人になって考える時間を取るよ
うにと勧めた地元の政治評論家もいるほどだ。「誰も彼を非難できませんよ。
なにしろ特定の立場をとることなどありませんから」と言うのは、大阪郊外
にある茨木市の31歳になる市会議員Mutsuko Katsura。
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readily : 容易に、
pull off : をうまくやってのける、
coup : 政変,大成功、
self-deprecating : 卑下する、
unpolished : あか抜けしない、
underrate : 過小評価する、
engage in : 〜に従事する、
protract : 長引かせる、
appoint : 指名する,起用する、
political commentator : 政治評論家、
councilwoman : 〜の女性議員
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小渕は経済を再生し改革するためにこの八方美人的やり方を採用した。つま
り昔からのやり方であり、誰も困らないもの:公共投資。1998年7月に就任し
てから、景気刺激策として4,100億ドル投じ、自民党を支える建設業に対し仕
事を次から次へと保証しうまみのある請負仕事を放置してきた。「経済を維
持するために彼は狂ったように公共投資を行ってきた」と語るのは、ワシン
トンに本部のある経済戦略研究所所長のクライド・プレストヴィッチ。「し
かし資金は昔からの後援者のところにいっている。日本を健全にするには、
自民党は自らの政治基盤に手をつけなくてはならない。だがそれは自殺行為
であり、そんなことはしたいとも思っていない」
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Teflon :いくら非難されても悪い評判が付かないですむ状態、
pump-priming : 呼び水、
take office : 就任する、
construction industry : 建設業、
commit suicide : 自殺する
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小渕の政策は日本をゆっくりとだが痛みの伴う終焉に導くことになるかもしれ
ない。何十億ドルもの赤字を出した結果がどうなったか? 経済は1999年には
わずかに1%成長はしたものの、不景気に戻りつつあるということが先週明ら
かになった。最後の2四半期はマイナス成長になるだろう。日経株価指数は小
渕政権下で50%もはねあがった。だがそれは外貨が新しい投資先を探してい
る結果であり、日本の企業がリストラをしている結果なのだ──政府の行動と
は無関係。
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doom : 運命づける、
demise : 終焉,消滅、
recession : 景気後退、
negative growth : マイナス成長、
Nikkei stock index : 日経株価指標、
tenure : 在職期間、
foreign money : 外貨,外国通貨
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1998年の日本の最低迷期に国を安定させたことでは小渕は少なからぬ称賛に
値する。この時は、日本経済が崩壊し世界的な危機を招くのではないかと
多くの経済評論家が恐れたのだ。しかしながらいつものように、政府が本当
に取るべき強硬手段は引き延ばされてきた。医療保険制度改革、法人税制改
革、貯蓄型保険を制限して銀行改革を速める枠組み:これらはすべて先送り
されるか骨抜きされた。そして助成金を求める法案が山積みとなっている。
国債は今ではGDPの1.3倍となり、先進国がかつて経験したことのない大きさ
となっている。「既得権益が安全に保証されていた時代に戻っている」と民
主党の経済政策担当、Katsuya Okadaは言う。
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credit for : 〜を認めて褒める、
stabilize : 安定させる、
meltdown : 炉心溶融、
global crisis : 全世界的危機、
tough measures : 強硬策,強硬手段、
health care reform : 医療保険制度改革、
corporate tax : 法人税、
tax reform : 税制改革、
scheme : 枠組み、
insured : 保険に入っている,保険付きの、
depositor : 預金者、
stall : 引き延ばす、
pork barrel :特定の議員[選挙区]だけに利益がある助成金[国庫地方交付金・
政府事業・地方開発補助金]、
bill : 法案、
national debt : 国家債務,国債,政府債、
GDP : gross domestic product,国内総生産、
unscaled :登頂されていない、
vested interest : 既得権,既得権益
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小渕に分かっているのは、バターを塗らなくてはならないパンが誰のものか
ということ。国債がバルーンのように膨れ上がって経済専門家が否定的なこ
とをいっても選挙の票が減るわけではない。民主党衆議院議員のMotohisa
Furukawaは、小渕のケインズ的計画をみていると、「親が自分の子供を食べて
いるゴヤの絵を思い出します」という。とはいえ、そんな非難はなんの効果
もない。首相はぬけぬけとこんなことを言って言い逃れるのである、「私は
世界一の借金王です!」と、去年の暮れ、日本の西南部にある松山市で集まっ
てきた人々に向かって自慢した。
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figure out : 理解する,見抜く、
butter : バターを塗る,お世辞を言う、
balloon : 風船のように膨らむ、
national debt : 国家債務,国債,政府債、
remind : に思い出させる、
get away with :〜をうまく逃れる、
boast : 自慢する
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最大の失敗でさえ彼の力を弱めることはできなかった。昨秋、国会で始めて
矢継ぎ早に質問を受けた。(これまでそうした集中放火を浴びるのは官僚に
限られていた)東海村の原子力事故のすぐ後のことであり、共産党議員が
ちょっとした質問をした:日本の核エネルギーを管理している機関の名前は
何ですか? 小渕は答えることができなかった。ばつの悪い間が延々と続き
側近が答えを書いたメモをそっと彼に渡した。「カンニングは駄目だ!」
と叫ぶ野党議員もいた。そうしたへまは、テレビで放映されると、並の政治
家であれば馬鹿のようにみえるのだが、小渕は違う。そんな程度では彼の防
具にわずかに引っかき傷をつける程度である。ほとんど誰も彼が賢いなどと
は思っていないからだ。
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flub : へま,失敗、
barrage : 集中砲火、
bureaucrat : 官僚、
nuclear accident : 原子力事故、
softball :ささいな,つまらん,どうでもいいような、
regulate : 規制する,統制する、
aide : 補佐官,側近、
cheating : カンニング,不正行為、
fiasco : 大失敗、
on television : テレビ放送で、
look foolish : 間の抜けた顔つきをしている
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この点では、小渕の回復に対する責任の一端は日本人にもあるかもしれない。
茨木市では、Terumasa Tsujiは会社から要らない人材を捨て去ることに怒り
を感じている。毎日のように、34歳になるこの商店主は自分の中流階級の生
活様式が崩れていくのをみている。一人またひとりと、友人が「リストラ」
されていくのだ。体のいいくびである。Tsujiの店でめがねを買う人が激減
したので、売上は2年前からすると50%減少した。「その当時も商売はひど
かったと思う」と彼は言う。大型安売りのチェーン店が来年少し先にオープン
する。「めがねのカウンターが5つあるのです。どう対処したらいいのか。
私のような中小企業のためには、地方の自治体はなんにもしてくれませんよ」
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to blame for : 責めを負うべきである、
resilience : 復元力,回復力、
bum :怠け者、
middle-class : 中産階級、
lifestyle : 生活様式、
slip away : こっそり去る、
euphemism : 婉曲表現、
eyeglass : メガネ、
lousy : お粗末な、
big discount : 大幅な割引、
discount chain : 廉売連鎖店、
local government : 地方行政,地方自治体、
small businesses : 中小企業
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とすると、Tsujiは選挙の日にはどこにいたのだろうか? 家だ。「いつも投
票はしているのですが、今度は選択の余地がありませんでした」と彼は言う。
こうも言うのである、「政治家ばかりのせいじゃありません。良い目をみた
のですから今は我慢の時期です」Terumasa Tsuji同様、脅え、不満を抱き、
怒りさえ感じている人が日本には大勢いる。だが首相は熟睡できるのだ。
こうした日本人は、自分たちの苦難を彼の責任にはしない。
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election day : 選挙日,投票日、
endure : を我慢する、
scare : を怖がらせる、
disgruntle : 不機嫌にする,不満を持たせる、
sleep well : よく眠る,熟睡する
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