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大意
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語彙
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By ANTHONY SPAETH
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3人の過激派を釈放することで、インドにおける緊迫したハイジャックのドラマ
は幕を閉じた。だがこれは危険なメッセージを残すことにもなる:テロは効果
があると。
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precedent : 前例,先例、
militant : 過激派
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手りゅう弾を積み、悪臭ふんぷんたるハイジャックされた飛行機に閉じ込め
られることほど運の悪いことはない。おまけにスティンガーミサイルはその
飛行機に狙いをつけているし、特殊部隊がいつなだれ込んでくるかわからな
いのだ。とはいえ、クリスマス直前にカトマンズでハイジャックされたイン
ド航空814便の乗客と搭乗員にとり、大晦日は信じられない幸運をもたらした。
機内での1週間というのは、亜大陸から中東への恐怖に慄く飛行、乗客の一
人が殺され、狂気に満ちたハイジャック犯からは繰り返しイスラムの教義を
聞かされるという苦痛に耐えたものであったが、その後、人質は突然に自由
の身となった。テロリストたちは機を去り何台かの車に乗って立ち去っていっ
た。残された155人の乗客は機内から這い出て、アフガニスタン南部のカンダ
ハルを取り巻く丘陵に沈むオレンジ色の太陽を眺めた。真夜中には、初期の
目的地であるニューデリーに戻り、愛するものたちと再会を果していた。「死
から戻ってきたのだ」と語るのは、ニューデリーの実業家、アショク・シャウラ。
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fetid : 悪臭のする,臭い、
grenade : 手榴弾、
stinger :スティンガー《携行用肩撃ちの防空ミサイル兵器》、
commando :特殊部隊、
storm in : 怒って乱入する、
inconceivable : 考えも及ばない、
hostage : 入質、
whisk away : サッと立ち去る、
clamber : よじ登る、
Kandahar :カンダハル《アフガニスタン南部の通商都市, 24 万》、
destination : 目的地
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シャウラたち人質の運命が好転した対価:インド政府はテロリストに屈服し、
彼らの要求──投獄されているイスラム戦士を一人釈放──を飲んだだけで
なく、他に二人の過激派も釈放した。インド外相ジャスワント・シングは、
釈放した三人をハイジャッカーに引き渡すため、大晦日にカンダハルに飛ん
だ。(アフガンのタリバン政府は、このときテロリストと三人の釈放犯に、
アフガンの地を去るのに10時間の猶予を与えた)疲れきった乗客を連れてニ
ューデリーに戻ったシングは、そこで、みごとなまでに真面目な顔でこう発
表した:我々のテロに対する容赦ない戦いは続く。
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capitulate : 屈服する、
yield to : に屈する、
weary : 疲れた、
impressively : みごとに、
straight face : 真面目くさった無表情な顔、
relentlessly : 冷酷に
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多分それは、痩せることを誓います、といった新年の決意みたいなものだっ
たのだろう──だが、それは、なすすべもなくテロ行為を放置しておいて、
南アジアという地域を世界のテロ供給源として中東に取って代わるままにま
かせてきた後での決意だったのだ。(インド航空というのは国有の国内線で
あり、どうみても世界でもっともハイジャックされている航空会社である。
ハイジャックされたのは1971年以来11回だ)テロリストの攻撃理由となる重
要問題というのは、カシミールをめぐるインドとパキスタンとの争いである。
今回は、アタル・ビハール・バジャイ政府が814便の乗客を救う道を選んだ。
ハイジャッカーが嬉々として飛行機を爆破するとインド首相が確信していた
のは間違いないところ。(乗客もその可能性を予期していたと言明。ハイジャ
ッカーは、カンダハル周辺の山腹にあえて飛行機をぶつけようとしていたと
いうものもいる)しかし、バジャイの譲歩は、テロ行為は亜大陸では効果的
だという明白な印象を与えた。政治評論家のバルビール・アロラはこう言う:
「カシミールの戦いにおけるインドの成果がこれによって大幅に後退した」
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indulgence : 放縦,意のままにさせること、
supplant : に取って代わる,〜を追い越す、
airlines : 航空会社、
state-owned : 国有の、
domestic : 国内の、
carrier : 航空会社、
tussle : 激しい取っ組み合い、
blow up : 爆破する、
contemplate : 沈思黙考する,もくろむ、
deliberately : 故意に、
mountains : 山地,《名》乳房、
concession : 譲歩、
unambiguous : 明白な,はっきりした、
political analyst : 政治評論家、
setback : 逆流,失敗、
militancy : 交戦状態,好戦性,闘志,闘争性、
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814便の事件は文字通り紆余曲折したのであるが、地政学的にも複雑怪奇なも
のであった。ハイジャック犯は、カシミールをインド支配から解放すべく運
動しているイスラム過激派、ハルカト・アル-ムジャヒディンのメンバーでは
ないかとインド政府は疑っている。(以前そのグループはハルカト・アル-
アンサーとして知られていたが、米国務省がそれをテロ組織と烙印を押した
あと、名前を変更した)このグループは事件への関与を否定しているが、ハ
イジャック犯の要求にはこのグループの書記長モーラナ・マスード・アザの
釈放が含まれていた。がっしりとした、元教師のこの活動家アザは、1994年
インドの地で逮捕され、ポルトガルの偽造パスポートの使用と脱獄を計画し
たかどで拘留されていた。アザのグループは過去3回西洋人を人質にとって
彼を釈放させようとしたことがある。(無傷で逃げ延びたものもいるが、
1995年にはノルウェー人が首をはねられ、そのとき一緒に人質になった
4人の行方は今もわからない)クリスマスイブ、ナイフ、手りゅう弾、拳銃
で武装した男5人がカトマンズのトリビュバン国際空港の抜け穴だらけの警
備をかいくぐり814便に搭乗。離陸後40分で機を掌握した。
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twists and turns : 紆余曲折、
literal : 文字どおりの、
geopolitical : 地政学的に、
liberate : 解放する、
State Department : 国務省、
brand : 汚名を着せる,焼印を押す、
outfit :部隊,集団,組織、
stout : 頑丈な、
detain : 拘留する、
fake : 偽造の、
unscathed : 無傷の、
behead : 首を切る、
grenade : 手榴弾、
evade : 回避する、
porous : 穴だらけの
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かくして安全な場所を探すドラマが始まった。パキスタンは飛行機の着陸を
拒否。そこでこの飛行機はインドの都市アムリツァルに着陸。そこで当局は
引き留めようとしたの。ハイジャック犯はそれに気づき、飛行機を急襲する
ために送り出された大勢の特殊部隊に先んじて、20分間分の燃料で飛び立っ
た。燃料タンクがほぼ空の状態で飛行機は暗くなったラホール空港の滑走路
に着陸──パイロットは隣の照明で照らされた道路に着陸することを考えて
いた──そして、ドバイの軍基地まで飛ぶのに十分な燃料を手にした。この
とき、ハイジャック犯はさらなる燃料を要求し、26人の乗客と引き換えに
それを手に入れた。(彼らはルピン・カチャル(25歳)の遺体も解放した。
自分たちを見るなというハイジャック犯の命令を無視したために刺されて亡
くなった男である)タイムが知るところによると、ドバイ基地自身も飛行機
を急襲する特殊部隊を配置していたという。しかし、武装したハイジャック
犯が二人コクピットに座っていたため、空港当局が指示したように飛行機を
滑走路からそらすことはできなかったのだ。
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safe haven : 安全な避難所,安全な場所、
fuel : 燃料、
ahead of : 〜に先んじて、
nearly empty : ほぼ空っぽ、
runway : 滑走路、
Lahore : ラホール,パキスタン、
military base : (軍用)基地、
Dubai :ドバイ、
stab :を(突き)刺す、
en route to : 〜へ行く途中で、
defy : 反抗する、
veer :変える、
cockpit : 操縦室
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飛行機はカンダハルに引き返した。テロリストたちはそこで熱烈な歓迎を受
けると確信していたのだ。ハルカト・アル-ムジャヒディンはアフガニスタン
を支配するタリバン政府によく知られている。というのも彼らはアームド・
シャー・マサード将軍に対する内戦ではタリバン政府側に味方していたからだ。
しかし、タリバン政府にとり、814便は突如訪れた絶好の好機だった:しば
しば非難的であり、特に女性の待遇に関して非難的であった国際社会にタリバ
ンの文明的な面を示すこと。「私たちはすでに悪いイメージを持たれていま
す」とタリバン政府指導者であるモハメド・オマール師は言う。「無関係な乗
客を乗せた飛行機のハイジャックを認めることで、事態を悪化させたくありま
せん」
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double back : 引き返す,逆戻りする、
warm reception : 激しい抵抗,熱烈な歓迎、
on one's side : 〜のサイドについて,〜に味方して、
civil war : 内戦,内乱,南北戦争,スペイン内乱,清教徒革命戦争、
warlord : 将軍、
drop from the skies :天下る,突然現れる、
mullah : 宗教的指導者
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タリバン政府は飛行機の着陸を許可し、平和の仲介者の立場をとった。アフ
ガニスタンがハイジャック犯の亡命を拒否し、国連関係者を招き、ハイジャッ
ク犯にためらっているインド政府と接触をもたせた。週始めには、7人の仲
介者──それに密かに特殊部隊も──を乗せたインド機をカンダハルのハイ
ジャック機から1キロのところに着陸させた。だがこの飛行機が着陸する前
に、ハイジャック犯は武器を補充。12月26日午前2時頃、手りゅう弾な
どの武器を貨物室から持ち出してきた:明らかにカトマンズで積みこんだ破
壊兵器だ。
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mediator : 調停者,仲介者、
asylum : 避難所、
foot-dragging : のろさ,遅滞、
in contact with : 接触して、
replenish : 補給する,補充する、
weaponry : 兵器、
cargo hold : (航空機の)貨物室、
payload : 爆撃機の搭載爆弾,打上げ荷重
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タリバン政府は事態収拾の手助けをした。ハイジャック犯が新たに2億ドル
と掘り返された同志の遺体を要求したとき、タリバン政府はイスラム的では
ないとしてその要求を取り下げるように説得。テロリストたちが再び乗客を
殺害すると脅したとき、タリバン政府自身の特殊部隊が機を取り囲んだ。ハ
イジャック犯は弱腰になった。
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defuse : 緩和する,中和する、
exhume : (死体を)墓から掘り出す、
back down : 降伏する
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日がたつにつれ、タリバン政府は、ハイジャック犯、インド政府の両者に圧
力をかけつづけた。12月30日、バジャイは譲歩。インド政府は、殺人及
び誘拐で告発されていたアザ他2名の過激派の解放に同意。タリバン政府は
過激派の自由を手配したが、アフガニスタンの地からは去るように命令。彼
らはパキスタンが占有しているカシミールにいると思われている。乗客は機
から足をふらつかせながら降り、ニューデリーへと飛び立った。彼らの待遇
は全くひどかった、というわけでもなかった。プージャ・カタリアという乗
客は、ハイジャック犯の一人からもらった誕生日の贈り物をもって返ってき
た:好きな言葉が書かれたショールである。
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give in :譲歩する、
militant : 過激派、
command : 命令を出す、
stagger : よろめく,ふらつく、
shawl : ショール、
inscribe : 刻み込む,記す
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無論、最大の勝利者はテロリストと解放されたその同志である。タリバン政
府も得をした。タリバンは誰も相手にしない国家を統治し、世界はタリバン
をアフガニスタン政府としてではなく、クリンゴン国家のような強奪者グル
ープとみなしていた。こういった事態は変わるのかもしれない。以前は極め
て非難的であったインドが、今ではタリバンについては誉めることしかしな
い。もっとも、インド政府は、タリバン政府認知に前向きに対処することが
カンダハルでの交渉に含まれていたかどうかは明らかにしていない。一番の
敗者は、亜大陸近辺で飛行機に乗る人であろう。テロ行為は常に危険を伴う
ものであった。今ではなおさら危険なものである。
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pariah : 南部インドの最下層民,社会ののけ者、
usurper :(権力・地位の)強奪者、
disclose : 明らかにする
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