1983年、ニューベリー賞受賞作品。 母親は病気で入院、父親は生きているのか死んでいるのかよくわからない。 そういった複雑な事情でこの夏から祖母と住むことになった4人兄弟。一 番上の姉であるDiceyは13歳。これまで兄弟の面倒を一手に引き受けてい たのだが、祖母と暮らすようになってから、他の兄弟は自分よりも祖母に 頼るようになってくる。責任がなくなってきたことを喜ぶべきだと思いな がらも、なぜか寂しく感じる いつの時代なんでしょうね。ちょっと見当がつきません。暮らしはかな りの貧乏。今のアメリカからは想像できません。アルバイト1時間1ドル。 ピアノレッスンを受けるのが1回5ドル。新聞配達は月12ドル。 時代は別にして、これはお薦めの作品だと言えます。訳本がでても、 今の日本で売れるとは思えないけど、一応訳されてはいるのですね。 難易度★★ お薦め度★★★★★ 2000.5.19〜2000.5.26: 1回目
ジェフ、7歳半。学校から帰ると自分当てに母からの置手紙があった。世界を よくするために出ていくと書いてある。そして父親と2人の生活が始まる。 何年か後、母親から会いにくるように連絡があった。記憶にあるように母親 は美しい。ひと夏を母親の実家で過ごしたジェフは、母親に手紙を書くが全 く返事は返ってこない。いつしか期待することも止めてしまった。そして、 また夏がやってきて、彼は再び母親の元に行く。 教授と自分の子どもからもそう呼ばれる父。感情を表現するのが苦手な男な んですね。研究一筋といってもいいでしょう?一方、母親はというと、一見 優しそうな人なんですが、実はすべてを思いのままにしないと気が済まない タイプ。子どもであるジェフは、そうした母親の性格には気づくはずもなく、 ひたすら母親の気持ちを害さないように務めている。母親に対する甘い感情 がいつしか痛みに変わっていくのにどれほどの時間がかかるのだろうか? 2000.5.30〜2000.6.4: 1回目
Henryには親友がいた。いつでも一緒にいる友。他に友人らしきものは いない。その親友Jonathanの家に従兄弟のDavidがやってきて一緒に暮 らすようになる。JonathanとDavidはそれまでのHenryとJanathanと同 じように、いつも一緒にいる。おまけに同じ屋根の下で暮らしている から四六時中一緒にいるわけだ。 JonathanもDavidもユダヤ人であり、DavidはDeath Campを経験し奇跡的 に生き残ったが、そのためか精神的に少しおかしくなっている。自殺願 望が強いというのだろう。 ある種の疎外感、友人から見捨てられた気持ちを感じていたHenryだが、 JonathanもDavidに対して危険を感じていることを知り、Henryは彼を守 り、Davidから引き離そうとする。 HenryとJonathanは16歳、Davidは20歳。Death Campを経験しその後 精神病棟に入っていたDavidは、周囲の人間に対し同情心とともに、ある 種の不安、嫌悪感を抱かせる人間。そのDavidの影響をJonathanは徐々に 受けていくのを、やりきれない気持ちで見ているHenry。 暗い話でした。 登場人物 Henry Marr: doctor Jonathan: David Steintodt: 難易度 ★☆ お薦め度★★★☆ 2002.7.23〜2002.7.27: 1回目