第二次大戦が勃発したとき、ハンガリーに住んでいた9歳になる少女ピリの話。 徐々に、極めて徐々にだが情勢が変化していく様子が描かれている。突如郵便 が届かなくなったり、男たちが軍隊に取られたり、その給料が払われなかった り、また、スロバキアのユダヤ人が逃げて来たり。ピリの知っているところ、 また知らないところで事態が動いている。 始めの3分の1ほどはこういう具合に変化に乏しい描写が続き興味を失いそう になるが、そのうちいつのまにか緊迫した情勢となり息をのんで事態を見守る こととなる。 戦争が起きた当初、少女ピリの年齢が9歳だったということ。9歳の少女が 周りの状況を認識するのは恐らくはこの程度のことだったのであろう。だが、 彼女が成長し周囲の状況をより認識できるようになるのと、戦争が深刻化して いくのとが相俟ってこの物語は牧歌的状況から急速に緊迫した状況へと変化し ていく。 2000.3.13〜2000.3.19: 1回目