Pencey校を退学になり家に戻るまでの行動を描く作品。 退学になるのはこれで何度目かのこと。教科も生徒も教師も なにもかもが嫌いらしい。だから勉強もせず単位を落として 退学となる。 では社会そのものへの強烈な反抗か、というとそうでもない。 反抗としては消極的なもの。怒りをぶつけるといったことは なく、やりどころのない嫌悪感は結局自分に帰ってくること となり、孤独感に苛まされる。 しかし彼の唯一心の拠り所となるのが家族であり、妹のPhoebe。 これがこの作品の救いになっているのかもしれない。Phoebeが いなければ、彼はただただ落ちていくしかなく、落ちていく先 にあるものは想像すらできない暗闇の世界かもしれない。 思春期特有の不安定な心の揺れを扱っているが、彼の家庭が裕 福ではなく、貧困であれば、彼の反抗はどうなっていたのだろ うと思いつつ読んでました。 登場人物 Holden Caulfield: D.B.: brother, writer Allie: brother, dead Phoebe: kid sister 難易度 ★★ お薦め度★★★☆ 2003.05.10〜2003.05.26: 1回目