Gama-Zogoiby家4代を通して、インドの歴史、家族の葛藤、インド 独特の文化などが語られていく。全体としては、この家系に現れた オーロラという画家、妻であり、母であるこの女性に周囲の人々の 人生が左右され翻弄されていく様子を描いたとも言える。 いずれにせよ、読み終えたあとは不思議な感覚を覚える。ストーリ ーはある対象に対して過去から現在へと時間を行き来し、対象が変 わると、再び過去から現在へと話しが流れていく。また、事実は直 接語られることはなく、比喩的かあるいは遠まわしに語られ、時に はそれが嘘だとわかったり、嘘かもしれないと仄めかされたり。こ のため読者は時間の感覚を失い、現実には何が起こったのかわから なくなり、呆然と立ち尽くすしかない。 それでいて、読み終えた後満足感を得るのはなぜか。ひょっとして 人生とはこのように過去も現在もなく、虚実が相俟っていると心の 奥底では肯定しているからかもしれない。 難易度 ★★★★★ お勧め度★★★ 2002.8.27〜2002.9.5 : 1回目