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S.J.Rozan(S.J.ローザン)

  1. China Trade P263 1995
  2. Concourse P287 1995
  3. Mandarin Plaid P275 1996
  4. No Colder Place P288 1997
  5. A Bitter Feast P308 1998(頂東野さん) アマゾンへ


・S.J.Rozan "China Trade"(St.Martin's Paperbacks 1995 P263) ISBN:0-312-95590-1
未亡人が、無くなった夫の愛蔵品を美術館に寄贈しようとする。しかし、
その品物のなかで、保険に入っていないものだけが盗まれてしまう。盗
まれた品物は陶器、場所はチャイナタウン。盗品の捜査及び回収を依頼
されたのがLydia Chinという女性私立探偵。中国系アメリカ人である彼
女も無論チャイナタウンに家族とともに住んでいる。
さて、捜査はチャイナタウンにおけるギャングの抗争に関わりを持って
くる。Lydia Chinはこれにどう対処するのか?また、これに絡んでか、
2人も人が殺されてしまう。事態は深刻さを増し、それとともに複雑さを
増していく。
アメリカ国内のおけるチャイナタウンの独特の雰囲気は読んでてなんだか
懐かしいような不思議な気持ちがするのは、同じ東洋人だからでしょうか?

チャイナタウンで盗まれた陶器、とするとTradeの意味するものは何か?
それを考えながら読むのもまた楽しい(^o^;もっとも推測が完全に外れる
ことも結構多いのだが。

99.8.14〜99.8.28: 1回目


・S.J.Rozan "Concourse"(St.Matin's Paperbacks 1995 P287) ISBN:0-312-95944-3
Lydia Chinシリーズ第2巻。Chinシリーズとはいえ、今回は彼女の相棒
Bill Smithが中心です。
老人ホームのガードマンが殺される。彼を派遣したのはその叔父Bobbyであり、
その捜査をSmithに依頼する。潜入捜査を依頼されたSmithは、ホームに
ガードマンとして入り込むが、初日から地元のギャングと揉め事を起こし、
その翌朝には、同僚のガードマンがまたもや殺される。
警察は、これを単なるギャングの殺しだというが、Bobbyは納得しない。
年老いたBobbyの妄想にすぎないのか、それともこの周囲から孤立した
老人ホームには何かの謎があるのか?

今回Chinは、老人ホーム周辺の調査に回ってます。
Billの趣味はクラシック音楽、それもピアノを弾くとはね。探偵とピアノ
は組み合わせが妙なるものがあるけれど、所々にピアノ曲が出てくるのも
意外にいいものです。

99.10.12〜99.10.22: 1回目


・S.J.Rozan "Mandarin Plaid"(St.Matin's Paperbacks 1996 P275) ISBN:0-312-96283-5
Lydia Chinシリーズ第3巻。
主役が今回はChin。新進デザイナーからの依頼を受けたChin。デッサンが
盗まれたと言うのだが、その奪回が目的ではなく、身代金というか、賠償
金支払いの役目を依頼されたのだ。デッサンは既にコピーがあり問題はな
いのだが、自分のデッサンしたものが安売り店に出回ることを恐れてもの。
つまり、犯人が金と引き換えに、盗んだデッサンを破棄してくれることを
期待。
金の入った封筒を指定のゴミ箱に入れたChinだが、直後に銃で狙われ、
当たりは騒然とする。その間、別の何者かが金を奪ってしまった。
犯人内の仲間割れか、それとも?常識とは異なるデザイナーの世界が
Chinを待ちうける。

今回のストーリーはかなり入り組んでますね。ちょっと混乱するほど
でした。また今度の依頼もChinの兄弟がらみ。そのため、Chinと兄との
口論。兄は妹を気遣い、妹はそれをうっとうしく感じるというパターン
ですが、これがなかなかに良い味付けを加えてますね。Billが主役の場合
は本格的ミステリーとなるのですが、Chinが主役の場合はアメリカにおける
中国人社会を垣間見る、といった楽しみ方ができます。お薦め品です。

99.10.28〜99.11.3: 1回目


・S.J.Rozan "No Colder Place"(St.Matin's Paperbacks 1997 P288) ISBN:0-312-96664-4
Lydia Chinシリーズ第4巻。

タイトルの"No Colder Place"についての描写が最初にあります。
ビルの建設現場のことなんですが、ビルディングのこういう見方って
面白いですね。ユニークな導入です。

さて、ビルの建設現場に内偵として潜入したBillですが、初日から
墜落事故、2日目にもまた死体が発見されます。依頼した事件との関連
は果たしてあるのか。Billに与えられた依頼とは現場監督の調査なの
だが、この現場監督、ギャンブルの元締めのごときことにまで関与して
いるのですよね。「摩天楼はばら色に」に出てくる、「俺のことを神と
呼べ」といった通信輸送関係の現場のボスでしたか、それを思わせる嫌
な性格。
そのボスも殺され事件は複雑さを増していきます。

今回特に印象に残ったのは、ストーリーのあちこちにさりげなく挿入
される、風景描写。ストーリーを引き締めるようでもあり、ふっと
息を抜いているようでもあり、またそれ自体の文章を楽しむこともで
きるようで、Rozanの筆がますます冴えてきているような気がしました。

99.11.4〜99.11.13: 1回目


・S.J.Rozan "A Bitter Feast"(St.Matin's Paperbacks 1998 P308) ISBN:0-312-97011-0A Bitter Feast(アマゾン)
Lydia Chinシリーズ第5巻。
舞台はニューヨークのチャイナタウン。レストランで働く中国人
が失踪。Lydiaの幼なじみであり、Maryの婚約者であるPeterが
Lydiaの助言を求める。失踪したのは4人、いずれも労働組合の
運動に参加していた者たち。まず疑いはレストラン経営者で、
チャイナタウンの実力者Yangに向けられる。捜査が始まろうかと
いうとき、失踪した中国人の一人が時限爆弾で殺され、一緒にい
たPeterも負傷。事態は一気に危険な様相を呈し、MaryもPeterも
Lydiaを止めようとするが、彼女の性格からして、一旦関わった
事件から手を引くことはしない。

今回の事件、全体としてみると、極めて複雑に入り組んでいます。
中国本土から逃れてきた違法民、そして昔アメリカにやってきて
必死に働き今の地位を築いた人たち。

興味を引くのはチャイナタウンの社会です。伝統がしっかりと残っ
ていますが、これは現実のチャイナタウンでもそうなのでしょう
か?

登場人物
Lydia Chin: 
Bill Smith: partner
Peter Lee: Chinatown lawyer
Mary Kee: Fifth Precinct detective, Peter's girlfriend
H.B.Yang: restaurant owner
Duke Lo: new guy
Choi: three-finger
Warren Tan: leader of Union
Chi-Chun Ho: disappeared
Song Chan:
Yuan Lee:
Gai-Lo Lu:
Ed Deluca: State Department Security
Jim March: State Department Security
Jayco Realty: 

気になる表現

難易度 ★★
お薦め度★★★☆

2004.05.03〜2004.05.10: 1回目