93年度ノーベル文学賞受賞
1941年、オハイオ州ロレーンを舞台に、黒人の生活特にその子供 たちの目からみた世界を描いたもの。 その中心となる人物はPecolaという名の醜い黒人少女。彼女を 友人の目から、また本人から、さらには母親と父親などの目から 描き出している。 当時の黒人差別もさることながら、ここで問題にされているのは 差別されるものが行なう更なる差別。大人の子供に対する無関心。 貧困。宗教。無教養。これらすべてが相俟って、醜いPecolaの人 生が決定され狂っていく様子が書かれている。Pecola本人の感情 は余り書かれておらず、そのため彼女への感情移入が起きるとい うこともない。それが返って、どうしようもない状況、改善とか の入る余地すら考えることができない状況をかもし出していて、 暗澹たる気持ちになってしまう。 この本自体は、作者のある種の実験ではないかと思われるがどう でしょうか。 登場人物 Pecola Breedlove: Cholly Breedlove: father Pauline Breedlove: Claudia: Frieda: sister 難易度 ★★★ お薦め度★★★ 2002.4.23〜2002.4.28: 1回目