アンナ、カレブそれに父の3人暮らし。お母さんは毎日歌っていたのかな、と 問い掛けるカレブの言葉で始まります。これだけどちょっとドキっとします。 母親はカレブが産まれた翌日に亡くなったのです。だからカレブは母親を知ら ないのだけど、母がどんな歌を歌っていたか分かれば、母が分かるかもしれ ないと考えます。 そんな日、父が妻・母求むという広告を出し、それに対してサラという女性か ら返事があったことを子供たちに伝えます。 不思議な世界です。児童文学ならではの独自の世界をかもし出しています。 騒がしさがないとでもいうのでしょうか、カレブの言葉もそれに答えるアン ナの返事もトゲがなく、ある種の雰囲気を出しています。何なのでしょう? 何か懐かしいような、今はなくしてしまったような、そんな気持ちを持って しまいます。サラのちょっとした言葉、later、our、winterなどから、サ ラがずっといてくれるのではと読み取る子供たちは、ため息がつくほど可愛 いです。 2000.7.7〜2000.7.7: 1回目
サラがこの地にやってきたのはパパと結婚するため。だが今年の夏は雨が 降らず、井戸が枯れ、川すら枯れて、この地を去っていく隣人たちもいる。 サラの家も例外ではない。井戸の水も底をつき、乾燥しているため火事が しばしば発生する。とうとうサラと子供たちは、サラの故郷であるMaine に避難することとなった。 裏表紙には、この作者の文章は抒情詩のようだとあるが、まさにその通り。 ひとつひとつの文が不思議な響きをかもしだし、それが連なるとMaclachlan の世界へいつのまにか引き込まれている。 それにしてもこの文体は一体どこから生まれてくるのだろうか。サラとい う人物と、子供たちの危うくしかももろい関係からくるのかもしれない。 実際はそんなもろさなどないのだろうが、読者は優しさがなぜかもろさに 思えその微妙なバランスがこの不思議な世界を作り上げているのかも。 登場人物 Jacob:Papa Sara:wife Anna:daughter Caleb:son Nick:dog Lottie:dog Harriet:Sara's aunt Mattie:Sara's aunt Lou:Sara's aunt 難易度 ☆ 2001.3.20〜2001.3.20: 1回目