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Kazuo Ishiguro(カズオ・イシグロ)

1954年長崎に生まれ、5歳のとき英国に渡る。 「A Pale View of Hills」(1982年、Winifred Holtby賞)、 「An Artist of the Floating World」(1986年、Whitbread Book of the Year賞)、 「The Remains of the Day」(1989年、Booker Prize賞)、 「Unconsoled」(1995年、the Cheltenham Prize賞)

  1. The Remains of the Day P258 1989 アマゾンへ
  2. When We Were Orphans P313 2000 アマゾンへ


・Kazuo Ishiguro "The Remains of the Day"(faber and faber 1989 P258)
ISBN:0-571-15491-3 The Remains of the Day(アマゾン)
Darlington Hallの執事を務めるStevensは、昔の同僚である
Miss Kentonからの手紙を受け取り、休暇もかねて彼女を尋ね
ることを決心する。休暇らしい休暇を取ったことのない彼が
なぜ彼女にわざわざ会いに行くのか?主人の車を借りて道々
景色を楽しみながらも、旧主の回想をする。

執事たる者の資質は何か。dignty、すなわち品位、あるいは
尊厳だと彼は考え、彼のこれまでの一生はすべてこれにかかっ
ていたと言える。しかしながら旧主人は正しい事と思いつつ
判断を誤り、自分はその主人に忠実であり続けたが、果して
それは良かったのか?

今はもう遺物とも言えるこうした人物を回想という形で描いた
作品。ある種、人の行き方を問う作品でもある。

登場人物
Stevens: 
Lord Darlington:
Mr. Farraday: 
Miss Kenton: 


難易度 ★★★
お勧め度★★★★

2002.6.17〜2002.6.20: 1回目

・Kazuo Ishiguro "When We Were Orphans"(faber and faber 2000 P313)
ISBN:0-571-20516-X When We Were Orphans(アマゾン)
上海で生まれ育ったBanksは、両親の失踪によりイギリスに戻り
今は有名な探偵となる。しかし彼が常に思い出すのは上海のこと、
そして両親の失踪。記憶を辿りつつ当時の状況を反芻し、上海に
行き事件を解明しようとする。

1930年のロンドン、そして37年の上海。当時の雰囲気なのか、そ
れとも作者のスタイルなのか定かではないが、この本では文章に
独特の雰囲気が漂っているように思える。英国人ってこんな風に
物事を見るのだろうかとか、そこまでしなくてもいいのにと思え
るがそれこそが英国人なのだろう。その英国人たるBanksが感情を
露わにする個所がいくつかある。不自然さを感じつつ読んでいく
と、それがある種の伏線、あるいはあとの出来事を際立たせるこ
とになっているのに気づく。う〜ん、なるほどね、と感心。

両親失踪という事件の調査という個人的な事柄と、戦争というす
べての人々を巻き込んでいく事件が二重三重に錯綜する。主人公
は英国人という中立的立場から戦争にはやや鈍感であり、それを
もって失踪事件の核心に迫っていくが、実は戦争と深く関わって
いたという皮肉とも言える結末はこの本を読むものに深い衝撃を
与える。

登場人物
Christopher Banks: 
Jennifer: 
Sarah Hemmings: 
Sir Cecil: husband
Akira: friend in Shanghai
Philip: 
Wang Ku: warlord

難易度 ★★★
お勧め度★★★★☆

2002.5.6〜2002.5.10: 1回目