「ガープの世界」映画にもなったらしい作品。 母親のちょっと変わった世界観から産まれたガープ。そのガープの世界だが、 これもまたちょっと変わった世界といえる。 読後感はなんとも(^^; ただ不思議なのはガープの年齢が低いこと。読んでる うちに彼はかなりの高齢だと感じるのに、実際は若いのですね。 難易度 ★★ 2001.3.18〜2001.5.9: 1回目・John Irving "The Cider House Rules"(Ballantine Books 1985 P587)
時には違法な堕胎手術を施し、時には産まれた子供を孤児として預かり 養家を探すLarch医師。売春婦たちが粗雑な堕胎手術により命を落すこと を憂いこの道を選んだのだった。つまり堕胎を望むものには堕胎を、既に 時を逸したものには子供を産ませて孤児として預かる。 その孤児の一人がHomerであり、またMelonyである。この物語は主とし て、LarchとHomer、それにMelonyの3人の人生を描いたものといえる。 Irvingの他の物語同様、ここでも主役の3人は少し変わっている。恐ら くはそれがIrvingのスタイルなのであろうか、主人公に特異な性格を付 与することにより、Irving独自の不思議な世界が形成されている。この 世界の形成にはIrvingの文体も一役買っているのだろう。人々の会話は 余りなく、地の文が多い。そのために主人公と読者との間には常にある 距離感が感じられるようになっている。 この特異な世界を読者は不思議な感覚を感じつつ覗き見ることとなる。 なるほど、と賛同するわけでもなく、またそれは許されないと忌避する こともない。実に淡々と鑑賞しつつも、最後にはなぜか満足感も得られ るという不思議な本である。 登場人物 Homer Wells: orphan Wilbur Larch: doctor of boys Nurse Angela: Nurse Edan: Melony: Wallace Worthington: Olive Worthington: Alice Bean Wally: son Candice: daughter 難易度 ★★ お勧め度★★★★ 2003.2.24〜2003.3.16: 1回目・John Irving "A Widow for One Year"(Ballantine Books 1998 P592)
本書は3部、1958年、1990年、そして1995年の話から構成されて いる。物語の発端は1958年、Eddieの夏休みのアルバイトから始まる。 アルバイトとは児童文学者Tedの手伝い。しかし実際には運転手とし て働くこととなる。そしてTedが意図したことはEddieと妻Marionの 不倫を密かに望んでいたのであった。 Marionは息子二人が亡くなる以前からいずれはTedと離婚するつも りであったが、息子が亡くなり、さらにはその代わりとなることを 期待した子供が娘であったこともあり、Tedのもとを去る。 まず第1部、1958年は物語の発端となるのであるが、それは別に しても、Tedの本の素晴らしさが目にとまる。児童文学もこれぐらい であれば大人も存分に楽しめるのだがね。 それに比べて第2部は意外につまらないのだが、それはなぜでしょ う。Ruthが大人になり作家となる。そして取材などをするのだが、 それ自体はさして面白くもない。ただそれらすべてが第3部の結末へ と続いているだけに、振りかえってみれば無駄ではないようにも思 う。 目の前から姿を消した人物がここまで影響すること。亡くなった 子供への思いがこれほどまでに強いこと。一人の女性を37年間も思い つづけること。読み終えてみればやはり面白いと言わざるを得ない 作品。 登場人物 Ruth Cole: Ted Cole: father, children's book author Marion Cold: mother Thomas: dead brother Timothy: dead brother Edward O'Hare: Eddie, mother's lover Minty O'Hare: Eddie's father 難易度 ★★☆ お勧め度★★★★ 2003.1.27〜2003.2.9: 1回目