・Devorah Crombie "A Share in Death"(Berkley Prime Crime, New York 1993 P197)
ISBN:0-425-14197-7
キンケイドシリーズ第1巻
スコットランドヤードの警視Duncan Kincaidはのどかな休暇を楽しんでいた。
たまたま従兄弟が都合が悪く、予約していたホテルをキャンセルするのも
もったいないということで、キンケイドが代わりに休暇を享受することに
なったわけだ。イギリスのホテルとか場所はよくわからんからそれはおいと
くとして、設備も景色も素晴らしいところらしい。
そこのassitant managerが感電死する。明らかに殺人だが、ここはヨーク
シャー、管轄外である。地元の担当刑事の横柄さと鈍さに苛立つキンケイド。
またもや殺人が起こってしまう。
殺人といえば最近は残虐なシーンが多いのだが、これは本格的なミステリー
ですね。かなりのお薦め品です。
2000.9.4〜2000.910.: 1回目
・Devorah Crombie "All Shall be Well"(Berkley Prime Crime, New York 1995 P259)
ISBN:0-425-14771-1All Shall be Well(アマゾン)
キンケイドシリーズ第2巻。
事件も解決したKincaidは久し振りに不治の病に冒されている
Jasmineを尋ねようとする。そこで待っていたのはドアをノッ
クしている通いの看護婦。Kincaidがヘアピンで鍵を開け、部
屋に入ってみると、Jasmineがひっそりと亡くなっていた。
一見自殺と思われるのだが、Jasmineは常にドアには鍵とチェ
ーンなどもしっかりかけていたのに、今日に限って鍵だけしか
かけていない。遺書もなく、几帳面な彼女が死に際しておかし
いと思うKincaidだった。
さすがにイギリスを舞台にしたミステリーです。暴力もレイプ
もありません。警察の尋問も静かにためらいがちに行なわれま
す。関係者の過去がひとつずつ明らかになり、最後は意外な展
開に終わります。
ミステリーとしての謎解きは今ひとつですが、人生を描いたと
いう点では評価されるでしょう。
登場人物
Duncan Kincaid: Detective Superintendent
Gemma James: Sergent
Jasmine Dent:
Major: Harley Keith
Margaret Bellamy: Meg
Roger: Leveson-Gower, Meg's boyfriend
Felicity Howarth: home-help nurse
Theo Dent: Jasmine's brother
難易度 ★★★
お勧め度★★★☆
2002.6.25〜2002.28: 1回目
・Devorah Crombie "Leave The Grave Green"(Berkley Prime Crime, New York 1995 P291)
ISBN:0-425-15308-8Leave The Grave Green(アマゾン)
キンケイドシリーズ第3巻。
テームズ川の閘門に水死体が見つかる。川の上流に住む
Connorだと身元はすぐにわかったものの、首には締めら
れたあとが見られた。
義理の父であるGeraldはDuncanに捜査を依頼する。犠牲
者Connorは誰にでも好かれると聞かされるが、妻のJulia
とは別居中。彼女は夫を最低の男だと言う。
実はこの作品は20年前、Juliaの弟が川で溺れて亡くなる
シーンから始まります。そしてこの事件が起こる。読者は
否応なく、20年前の事件と今回の事件との関係を考えさせ
られますが、意外な展開を示します。
警視ダンカンと刑事ゲンマの関係が、事件の進展と共に変
化していくところも読みどころでしょう。次回、2人の関
係はどうなっているのでしょう。
登場人物
Duncan Kincaid: Detective Superintendent
Gemma James: Sergent
Connor Swann: murdered, son-in-law of Sir Gerald
Julia Swann: Connor's wife
Sir Gerald Asherton: conductor
Dame Caroline Stowe: singer
Trevor Simons: gallery owner
Tommy Godwin: Wardrobe Manager
Sharon Doyle: Connor's girl friend
Hicks Kenneth:
Matthew: younger brother
難易度 ★★★
お勧め度★★★☆
2002.10.21〜2002.10.24: 1回目
・Devorah Crombie "Mourn Not Your Dead"(Berkley Prime Crime, New York 1996 P289)
ISBN:0-425-15778-4Mourn Not Your Dead(アマゾン)
キンケイドシリーズ第4巻。
郡の警察署長が何者かに殺害される。捜査を依頼されたKincaid
だが、調べるうちに署長は村人たちには好かれていないことを知
る。
Kincaidの捜査手法は相変わらず単純といえば単純、現実的といえ
ば現実的。実際の警察はこういう風にひたすら聞き込みと会見に
終始するのだろうね。クリスティとかにある謎解きの部分はほと
んどない。
この作品ではKincaidとGemmaの関係がおかしくなります。深い関
係になったらしい二人ですが、しょっぱなからGemmaは二人の関係
を否定してしまいます。びっくりしたのはKincaid。一歩も二歩も
関係が深まったと思っていたのですからこれにはショックを隠し
きれません。さてどうなるのか、というのが今回のミステリーと
絡まってくるのですね。被害者と犯人、それを取り巻く環境と
KincaidとGemmaの関係が重なりつつGemmaに生きていくべき方向を
示す、という筋立てになっております。
登場人物
Duncan Kincaid: Detective Superintendent
Gemma James: Sergent
Nick Deveney: Chief Inspector
David Ogilvie:
Alastair Gilbert: division commander, killed
Claire Gilbert: wife
Lucy Penmaric: daughter
Malcolm Reid:
Valerie: Malcolm's wife
Brian Genovase:
Geoff Genovase:
難易度 ★★★
お勧め度★★★☆
2003.04.19〜2003.04.24: 1回目
・Devorah Crombie "Dreaming of The Bones"(Berkley Prime Crime, New York 1997 P389)
ISBN:0-553-57931-2Dreaming of The Bones(アマゾン)
キンケイドシリーズ第5巻。
Duncanの元妻Vicから電話がかかってくる。彼女は詩人Lydiaの自伝
を書こうとしているのだが、そのLydiaの死に不信を抱き、彼に相談
をしたのだった。管轄違いではあるが、無碍に断れもせずLydiaの
ファイルを調べてみる。確かに自殺とは言いがたい点がある。
中途半端な状態のまま何日かが過ぎ、新たな事件が起きる。今度は
管轄違いと言ってはおられない。
これまでとは打って変わった構成で話が進んでいきます。ミステリ
ーそのものというよりは、文学的要素を相当取り入れている感じで
しょうか。最初の方は事件も起こらずどうなる事かと思いましたが、
この手法はかなり成功していると思います。
それにしてもKitが今後どうなるのか気になるところです。また、
彼を巡ってKincaidとGemmaの関係はどうなるのでしょう。
登場人物
Duncan Kincaid: Detective Superintendent
Gemma James: Sergent
Lydia Brooke:
Morgan Ashby:
Daphne Morris:
Victoria McClellan: ex-wife of Kincaid
Ian McClellan: husband
Kit: son
Darcy Eliot: faculty member
Dame Margery Lester: mother of Darcy
Iris Winslow: head of Department
Nathan Winter: Brooke's literary executor
Adam Lamb: vicar
難易度 ★★★
お勧め度★★★☆
2003.04.26〜2003.05.01: 1回目
・Devorah Crombie "Kissed A Sad Goodbye"(Bantam Books 1999 P369)
ISBN:0-553-57924-XKissed A Sad Goodbye(アマゾン)
キンケイドシリーズ第6巻。
前作からKincaidの本当の子供と判明したKitの関係が出てき
ます。父親とし彼はどう対処すればよいのか。そんなとき殺
人事件がおきます。現場に急行しなくてはならないKincaidは
息子との約束を破ってしまいます。
殺人はというと、過去とのつながりが強いのでしょう、しば
しば過去が語られる形で話は進んでいきます。被害者の生活
が明らかになるにつれ、なるほど殺人が起きても仕方がない
と思わせる人物なんですね。もっとも最後には被害者の生き
方とGemmaの生き方が重なってきます。
このシリーズ、段々よくなってきているような気がします。
事件の解明は重要なのですが、それよりも事件に絡んだ人々
の生き方考え方がうまく書かれてます。そして主人公である
DucanとGemma、彼の子供Kitとの難しい関係もいいですね。
登場人物
Duncan Kincaid: Detective Superintendent
Gemma James: Sergeant
Kit: Duncan's son
Jo Lowell: Annabelle's sister
Martin Lowell:
William Hammond: father
Annabelle Hammond:
Teresa Robbins: chief financial officer
Reginald Mortimer: fiancee of Annabelle
Lewis Finch:
Gordon Finch: busker
DI Janice Coppin: senior officer
難易度 ★★★
お勧め度★★★★
2003.08.29〜2003.09.7: 1回目
・Devorah Crombie "A Finer End"(Bantam Books 2001 P336)
ISBN:0-553-57927-4A Finer End(アマゾン)
キンケイドシリーズ第7巻。
超常現象か、Jcakは無意識のうちにラテン語で昔起きたことを
書いている自分に気がつく。昔といってもはるか昔、12世紀の
ことなので、それがなにか知る由もない。
その事件を中心として、様々な職業の人が絡んでくる。ミステ
リーなので殺人事件は起こるのだろうが、この作品では超常現
象を取り巻く人々の人間関係がまず語られていく。女性の牧師、
画家とその夫の画商、陶工、さらには妊娠して家出をしてきた
少女。
一体誰が殺されるのか?何のために殺されるのか?読者は被害
者となるものは誰か、と推測しながら読むこととなる。
超常現象を軸に話が進んでいく。何しろ小説だからそういった
ものが存在してもおかしくはないので、どこまで本当と考えて
いいのだろうかと思いつつ読んでいく。結局は一部が実際に起
きたことで、残りはというと超常現象とはあまり関係無いといっ
てもよさそう。落ちつくところに落ちついたというべきか。や
や不満が残るところです。
登場人物
Duncan Kincaid: Detective Superintendent
Gemma James:
Kit: Duncan's son
Andrew Catesby:
Winifred: sister, Anglican priest
Jack Montfort: architect, friend with Winifred
Fiona Finn Allen: painter,friend of Winifred
Bram: husband fo Fiona
Simon Fitzstephen:
Nick Carlisle: work in bookshop
Garnet Todd: ceramist
Faith Wills:
難易度 ★★★
お勧め度★★★☆
2003.09.13〜2003.09.24: 1回目
・Devorah Crombie "And Justice There is None"(Bantam Books 2002 P397)
ISBN:0-553-57930-4 And Justice There is None(アマゾン)
キンケイドシリーズ第8巻。
GemmaがDuncanとは別に事件を担当する最初の作品か、と思いき
や、Duncanが介入してきました。
Karlという富豪の若い妻がのどを切り裂かれて自宅の前で殺され
るという事件が起こる。Karlというのはあくどいことをして金を
儲けてきた成り上がりもの、敵も多いだろうし、妻は骨董品の露
天商といい仲になっていた。とすれば当然犯人はKarl本人か、彼
の周辺にいるものだろうとGemmaは思ったのだが、Duncanはこの
事件が過去の迷宮入りした事件に似ているとして捜査に絡んでく
る。結局二人は一緒なんだね。
今回の作品も、過去と現在が行き来しつつ語られていきます。事
件に絡んだ人々の人間性が巧みに語られつつ、GemmaとDuncanとの
関係も変化していく様子が書かれています。彼らはついにひとつ
屋根の下で生活することになります。
登場人物
Duncan Kincaid: Detective Superintendent
Gemma James: Sergeant
Kit: Duncan's son
Karl Arrowood: collector
Dawn Arrowood: wife of Karl
Alex Dunn: porcelain dealer
Fern Adams: Alex's ex-girlfriend
Gavin Farley: vet
Bryony Poole: assistant of Gavin
Mark Mitchell: boyfriend of Bryony
難易度 ★★★
お勧め度★★★☆
2003.09.25〜2003.10.04: 1回目
・Devorah Crombie "Now You May Weep"(Avon Books 2003 P385)
ISBN:0-06-052524-XNow You May Weep(アマゾン)
キンケイドシリーズ第9巻。
Gemmaの友人でありセラピストのHazelが、常にGemmaを支えて
くれた彼女が浮気?そして夫Timは妻の浮気に気づきなにやら
しでかしそうな気配。これはまた意外な出だしです。して、
冒頭の1898年の話はどうつながっていくのか。
憎しみというよりは、報われない愛の物語か。愛する人には
愛されず、興味のない人からは愛されるという関係がいくつ
も絡みあっている作品。キンケイドシリーズ絶好調かな。
登場人物
Duncan Kincaid: Detective Superintendent
Gemma James: Sergeant
Kit: Duncan's son
Toby: son of Gemma
Livvy Urquhart:
Charles: husband of Livvy
Will: son
Hazel Cavendish: friend of Gemma
Tim Cavendish: husband of Hazel
Louise Innes:
John Innes:
Martin Gilmore: Jone's younger brother
Heather Urquhart: cousin of Hazel
Pascal Benoit: French connected with the whisky business
Donald Brodie:
Alison Grant: Donald's girlfriend
Collum MacGillivray:
Alun Ross: detective chief inspector
難易度 ★★★
お勧め度★★★★
2005.01.09〜2005.01.17: 1回目