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Beverly Cleary(ベバリー=クリアリー)

  1. Ramona Quimby, Age 8 By Beverly Cleary P190 アマゾンへ
  2. Dear Mr. Henshaw By Beverly Cleary P134 アマゾンへ

    ・Beverly Cleary "Ramona Quimby, Age 8"(Avon Books 1981 P190)
    ISBN:0-380-70956-2 アマゾンへ
    
    【あらすじ】
    
     ラモナ・クインビィ、八才。この夏、今まで通っていた学校が小学校上級学年用の
    学校となるため、ラモナは少し離れたセダーハースト小学校に通うこととなる。歩い
    て通うには少し遠いのでバス通学。ラモナは大人になった気分を味わう。そこの小学
    校は最上級学年が三年生なので、彼女は最上級生。姉のベアトリスと離れる不安はあ
    るもののこれもまた大人になった気がすることのひとつである。
     小学校が変わるのもそうだが、新学期からは家庭の状況も変わる。レジの仕事をし
    ていた父親が教師になるため大学へ通い出すだすことになった。母親は医院の受付の
    仕事をしてその間の家計を助けなくてはならない。両親共に忙しいため、ラモナは学
    校が終わるとケンプ家に預けられることとなる。ケンプ家にはウイリィという四才に
    なる女の子がおり、ラモナは彼女と遊ばなくてはならない。それが悩みの種である。
    幼稚な遊びには興味がないが、ケンプ家のおばあさんの目があり無視することもでき
    ない。姉のベアトリスも学校の帰りにケンプ家に寄るのだが、彼女は中学二年という
    こともあってかウイリィの相手を免除されている。自分は小さいからこんな目にあう、
    不公平だと感じるラモナ。しかし自分がしっかりしなければ、ケンプ家は自分たち姉
    妹の面倒をみてくれない。面倒をみてくれなければ父親は大学へいけない。つまりは
    すべてが自分にかかっているのだ、とラモナは考える。
     学校にはちょっと苦手で対抗意識もあるダニーという男の子がいる。登校初日から
    彼とは父親にもらった消しゴムでひともめする。彼が広めたクラス内の流行にゆで卵
    を持ってくるというのがあった。昼食のときに食べるのだが、その食べ方、つまり割
    り方も様々。なかでも人気なのが頭で割るというもの。それにも二通りあり、一気に
    割るか、少しずつ割るか。ラモナは一気にゆで卵を頭で割る。するとゆで卵と思って
    いたのが実は生卵だった。忙しい母親が間違えてしまったのだ。怒りにふるえるラモ
    ナだが、居合わせた生徒と教師の反応は様々で、ダニーの意外な面を知ったり、好き
    になりかけていた教師に裏切られたと感じたりする。
    
    【感想】
    
     子供の大人に対する無知と大人の子供に対する無知。これが実にうまく書かれてい
    る。読み書きも計算もできる父親が教師になるために何をこれ以上勉強しないといけ
    ないのかとか。担任の言っている内容は分からないままに、そこで使われる言葉から
    深く傷ついてしまうことなど。またケンプ家ではラモナが八才になるのに、四才のウ
    イリィといい遊び友達と考えたりする。あるいは大人は子供の存在を忘れて、まるで
    そこに居ないかのように本人のことを話したりするのである。
     いくつかのエピソードが書かれているのだが、どのエピソードをとっても、子供が
    読めばやっぱりね、と思うだろうし、大人が読めば、子供ってそんなことを考えてる
    の、と思いを新たにするのではなかろうか。いずれにせよ、大人にとっては何でもな
    いような出来事を通してラモナが少しずつ成長していくのを読むのは楽しい。
    
    【作者】Beverly Clearly:オレゴン州マクミンヴィルという小さな町に生まれる。小
    学校に上がるまではYamhillという農場に住んでおり、そこの町には図書館もなかった。
    そこで母親が州立図書館から本を送ってもらい青空図書館のようなものを開いていた
    のだが、彼女が本を好きになったのはまさにこうした環境からであった。
     この作品は1982年ニューベリー賞次席作品となっている。これ以外にもラモナ
    たちを主人公にした作品は数多くあり、ラモナと共に喜び悲しみを分かち合うことが
    できる。
    
    
    2000.3.20〜2000.3.23: 1回目
    2000.4.07〜2000.4.18: 2回目


    ・Beverly Cleary "Dear Mr. Henshaw"(Avon Books 1983 P134)
    ISBN:0-380-70958-9 アマゾンへ
    小学生から作家であるHenshaw氏への手紙という形態をとった本。その後
    日記の形式となる。
    手紙及び日記を書くのはBotts、小学高学年。両親は去年離婚し、彼は今
    母親と暮らしている。離婚したためか、学校は転校。あまり友達もいな
    い。目下の悩みは、学校で弁当の中身を誰かに食べられること。それと
    父親からの連絡がほとんどないこと。
    
    手紙で、さらに日記に不満や悩みを書き、離婚と転校という変化によって
    生じた精神的な不安定さを克服していく。ちょっと小学生にしては文章が
    上手すぎるのが気になるけど(^^;
    
    お薦め度 ★★
    難易度  ★
    
    2000.6.9〜2000.6.11: 1回目