圧縮と簡易リークテスト


レジアス 3rz-fe 2400cc 。走行10万キロ。昨年中古車で購入。エンジンに振動が多いので調べて欲しいと依頼が有った。1本死んだ感じで常に振っている。試乗してみたが息つきなど無く街中では普通に走れた。アイドリングで不快な振動が続いている。息つきの無い結果から点火系ではないと判断し、排気ガスのテストから始めた。

結果はほぼ理論空燃比に近いが、近いでは今の車はだめである。10万キロ走った触媒にしても空燃比は理論空燃比を指さなくてはいけない。HC が190ppmと少し出ているがミスしてるほど出ていない。やはり点火系ではない。どの気筒がパワーダウンしているか調べたいが手の入る隙間も無い。1番2番のインジェクターカプラーに手が届きそうなので順番に外して排ガスの値を見ることにした。

2番を抜いたとき。HCがぐっと下がって10ppmほどになった。空燃比もさらに薄くなった

1番を抜いたとき。HCが少し下がって90ppmほどになった。空燃比は少し薄くなった

回転の落ち込みの差は解らなかった。しかし何度やっても上の結果になる。3番4番のテストが出来ないのが残念だが、2番に問題有りと思う。理由はこうである。

HCの190ppmは多すぎる。1番を抜いたときの90ppmも多すぎるのである。これはどういうことか? 2〜4にHCを多く出している気筒が有るのではないか。2番を抜いたら10ppmまで下がった。これが正常である。と言うことはHCを多く出していたのは2番と言うことになる。では原因は?

最初インジェクターの噴霧不良による薄すぎかと思ったが、薄すぎの場合ミスファイアを起こすのでHCはこんなもんじゃない。となると・・・。圧縮を測ってみた。

1番 14.5  2番 8  3番 14  4番 14.5  なんと! じゃあどこから漏れてるのか

シリンダーを圧縮上死点にしてエアーを送り込み漏れている個所を調べることにする。簡易リークテストである。結果、タイミングチェーン奥からシューと言う音が聞こえて来るのでピストンリングと言うことになる。又面白いことに1番はエアーを送り込むとクランクが回転してしまうが2番は漏れているからかクランクは回転しなかった。

プラグの焼けは1、3、4が白く、2番が薄茶にややすすけた感じであった。タペットカバーから出ているパイプからは、かなり強くガスの噴出が見られた。こんな所にもヒントが隠されていた。点火波形やパワーバランステストが出来なかった今回のエンジンは色々と頭をひねったが無事原因を探ることが出来た。最近のエンジンは独立点火で波形の観察が出来なかったり、失火させると噴射も止めたりするので今回のようなケースは診断が難しくなってきた。スキャナーでパワーバランスが調べられるモデルは良いがそうでないモデルが圧倒的に多いのが事実である。

バキュームゲージを使わなかったのが反省点である。

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