山小屋建設日誌(2)  1986.1〜1989.7


屋根の棟木

【1986年】
(屋根造りへ)
・1/18〜19
 四畳半の床を張り直し、快適にする。屋根の測量、ホゾ切りの一部(6人)

・2/1〜2 棟木の一部(3人)

・3/22〜23 大雪で作業できず(3人) ※夜8時半過ぎから降り始めた雪は、翌朝8時半に起きたときには30センチに達した。降りはますます強くなり、1時間後には37センチに。ほうほうの体で逃げ帰ることにする。日野からタクシーで秩父へ。西武線田無の電車事故のため、飯能で3時間足止め。帰宅は午後6時になってしまった。

・4/12〜13 屋根の垂木3分の1終了(6人) ※梅が満開、桜はツボミで来週が見頃か。3月下旬の大雪のため、スギの倒壊が痛々しい。倒れた木の先のスギ花粉が、ちょっとゆすると煙のように飛び散るのには驚いた。この頃は花粉症ではなかったのに、いまは…。夜は寒かった。

・4/26〜27 屋根の垂木全部終了。玄関の垂木もやる(5人) ※夜、久々にたき火をする。駅前の桜は、残念ながらほとんど散ってしまっていた。

・5/24〜25 屋根の断熱材張り、トラス、玄関床の張り直しなど(3人) ※4月下旬以来なので、屋根の進行具合の速さに驚く。5月上旬にはすでに、アスファルト材でルーフィングが終了しており、雨の日でも心強い。早めに来た2人が断熱材を下の部分を残して張り終えていた。床も張り直してある。快適さに気分よく、少々飲みすぎ翌朝8時半起床。断熱材の残りを受け持つ。打ち付けるとき繊維がここぼれ落ち、チクチクする。完全防備して作業すべきだ。村上はトラス(2本)、NAGASAKIは玄関の床の張り直し作業。雑草がはびこりはじめている。玄関の上にハチの巣ができている地主ののオヤジさんが、トイレのことで「水洗かよー」とイチャモンをつけたらしい。沢にタレ流すとでも思ったのだろうか。

・6/7〜8 屋根垂木、水切り、アスファルトシングル材打ち付け(6人) ※1時就寝ながらも6時半に起き、7時には作業開始。いよいよ屋根完成に近づいた。垂木を打ち付け、トタンの水切りを付けるのに午前中かかる。アスファルトシングル材を玄関屋根から打っていく。末端部分で作業するのは少々こわい。南面の半分ほど終えたとき、激しいにわか雨で中断。中途半端なので南面だけでも、と頑張って6時に終了。帰宅は10時となった。この日、ABEはトイレの間仕切り、電気屋の阿部は玄関裏に配電盤をつける丸太を建て、屋内の配線をしてくれた。

(屋根完成)
・6/21〜22
 屋根完成(6人)※前回に比べると虫がいないので快適。北面のシングルを張る。前回の張り方の間違いに気付いていたので、今回は正しい張り方にする。やはりきれいだ。タールを釘の塗っていくが、衣服がよごれる。ABEはトイレのドア枠作り、午後は1人で穴を掘り浄化槽を入れる。3時ごろシングル張りを終えた。トタンカバーをどうつけるかでスッタモンダしたが、5時までには屋根が見事にでき上がった。

(窓枠作り、天井板張り)
・8/2〜3
 窓枠作り、天井板張り(8人) ※ABEと組んで窓枠作り。ほかは天井板張り。北面は全部張り終わる。クロカミキリが多い。

・8/10〜11 天井板張り(南面)(6人) ※南面の天井板をやる。MURAKAMIは黙々とトラス作りに励む。夜はすでに涼しい。8時起床。南面の残りを1時間半ほど片付けてやめる。

・8/16〜17 窓枠とはめ板、天井板張り(完成)(3人) ※西、東側の窓枠とはめ板作り。天井板の残りをやって完成。

・8/23〜24 窓枠、南側ドア、トイレの壁、入り口天井板(6人) ※朝6時半頃からすでにABEがトイレのパイプを通す穴を削岩するのでうるさい。しょうがなく7時起床。それぞれ作業分担し、ぼくは西側の窓枠を担当。全部完了し、充実した一日だった。東側・西側の窓枠がそれぞれ1本ずつ紛失している。誰かがいたずらで持っていったとしか考えられない。また、トイレの浄化槽、道路脇の水場の近くにウンコがあった。車で来た2人組の釣り人に「この沢には魚はいないよ」と、あまり近辺をウロウロされたくないので言ってやった。連中が沢から帰って来たときには何と17、8センチのヤマメ2尾を下げて来たではないか。完全装備の彼等は「下の方がもっと大きいのが釣れる」と言っていた。チョクチョクこの沢に入るらしい。午後には水場の出が悪くなり、3時ごろついに止まってしまった。今日は久しぶりにハリガネムシを見たり、ナナフシもいたりで、このあたりは変な生き物の宝庫ではないかと思えた。

・9/6〜7 四畳半の窓の溝切り・窓枠作り、入り口正面の板壁(6人)※N、Hは入り口正面の板を張る。ほかは四畳半の窓の溝切りと枠作り。

(入り口ドア作り)
・9/27〜28
 入り口ドア、中2階の引き戸の窓、三角窓枠作りとガラス入れ(5人) ※暗くなった道を行くと、集落を過ぎたあたりから、ホタル?がいっぱいいる前回持ち帰った窓枠にガラスが入る。どうせ28日は台風が来る、と半ばあきらめもあったが、翌日は何と快晴だった。ABEは入り口のドア、OONOとぼくは中2階引き戸の窓、NAGASAKIとその友人は中2階の三角窓の枠作りとガラス入れ。夜、ノネズミが小屋の中に入ってきたがつかまえそこなった。

・10/10 (1人)入り口ドアの枠が仕上がりかかっていた。道具を引っぱりだし、さて台所か四畳半の天井板でも張ろうとやりかけて止めた。あとはブラブラ、室内のカンナくず、オガクズを片付けていたら、だんだん曇ってきて何やらポツポツ落ちてきた。雨具を持って来ず、退散。

・10/18〜19 三角窓ガラス入れ、四畳半・台所の天井板張りなど(3人) 西側窓・三角窓内側及びハメ殺し内側の枠作りを18日20時までやる。翌日、ガラス入れ(三角窓のみ、ハメ殺しのほうはガラスケースがなくて、運べなかったとのこと。次回、ガラス屋から借りる)後、四畳半・台所の天井張り。材料が足りず、一部やり残す。ABEの友人の電気屋は持ってきた室内照明具を取り付けと配電盤の移動を終える。天井板を丸ノコで切っているとき、不安定な態勢でやっていたらブレて、左手クスリ指を木の角でえぐってしまった。

・11/2 四畳半・台所の天井張り(完了)、入り口ドアなど(4人)※四畳半・台所の天井張りで残った部分を完成させ、トイレの窓のスキ間に断熱材をいれて板をふさぐ。ABE、OONOは入り口ドアをほぼ完成、取り付けた(ガラスはまだ)。2階の窓ガラスは前夜のうちに、寒いので入れたという。ガスが切れて小屋の中でたき火をしたという。どうりでスス臭かったわけだ。地主のオヤジさんがバイクで久しぶりに現れる。次回は、窓のサンづけ、壁の掃除とボイル油塗りだろう。小屋の周辺は紅葉の真っ盛りであった。

(階段作り)
・11/16
 踊り場の階段、手すり(5) ※11月の空気はさすがにヒンヤリと感じるが、足早のためかすぐ汗ばんできた。紅葉は終わりかげんだが、まだまだ見られる。9時45分、現地着。ABE、NOGUCHI、ぼくが階段踊り場作り。OONO、NAGASAKIはじゃまな杉の木の伐採と小屋の突き出た丸太落とし。作業は午後4時まで。ABEは粘って踊り場の手すりも作り上げた。

(外壁にボイル油塗り)
・12/6〜7
 ボイル油塗り(4人) ※ガスストーブを焚いても室内は10℃。OONOが買ってきたボイル油(1斗缶2缶)を薄め液と2:1の割合で混ぜる。ほうきで外側のゴミを払い、油を塗る。浸透性はよい。ハケよりもスポンジを板切れの先に固定して塗ると早い。昼食前に外壁のほとんどを塗り終わる。その間、屋根から突き出していた棟木を切って落とす。午後はカマド周辺中心に片付け。15時40分、作業終了。

・12/21 内部ボイル油塗り(4人) ※今年最後の秩父行き。それほど寒いとは感じはないが、氷は張っている。内部のボイル油塗りも半分以上終わっている。2階と台所、梁を塗る。内部の板材など整理する。

【1987年】
(床張り)
・5/31
 (1人)床張り ※床張り15枚ほど。ノウハウが分からず、すき間ができる。

・6/27 床張り(6人)※台所までの床張りがほぼ終了。仕事があったので14時ごろ帰る。

・8/1〜2 四畳半の床張り、ゲタ箱作り(5人)秩父からは、熊倉山方面はどんよりと曇り。雨が降り出しそう。集落を過ぎると、三井林業の「高級別荘地を売ります」のノボリがやたらと目立つ。タクシーを降りると湿気がすごく、めがねが曇るほどだ。入り口右の窓ガラスがひび割れていた。昼メシを食って、内部の大掃除をする。先週、AらがH家の廃品(ステレオ、フロオケ、キッチン)と冷蔵庫(ABEの家から)などを運んだらしい。午後から、やはり雨となる。Nとカマドを北側に移す。HAGIWARA、ABEはゲタ箱を作る。夜は新カマドの回りで、霧雨の中、花火大会をやり、午前0時まで飲んでブラックニッカ・デカボトルを空けた。翌日、8時起床。四畳半の床張りをする。カンナかけ、材料切りともっぱらぼくがやり、HAGIWARAとTAKAYANAGIさんが張り方。

(排水穴を掘る)
・10/10〜11
 台所の排水穴(5人)※草ボウボウで、草刈りに1時間かかる。ガスボンベ交換に手間取る。夜は0時過ぎまで、たき火をしながら飲んだ。カマドにいたガマガエルは逃がしてやった。翌日は、台所の排水穴を掘る。クイを四隅に打ち、板で囲う。フタ作り(ぼくとNAGASAKI)をして、HAGIWARA家の風呂釜を利用して貯水タンクにする。道をはさんだ山の斜面(国有林)を伐採中で、ワイヤーが沢に向けて伸びていた。

・11/21〜22 水道管配管(6人) ※道具小屋の整理をする。不用品が出るわ出るわ。運動靴、地下足袋、長靴、作業衣などを次々に燃やす。洋服ダンスもお払い箱に。小屋の床は雨漏りで腐っていた。星がきれいな夜だった。翌朝9時起床。すばらしい晴天。不要のマキなどを燃やす。ABEは水道管の配管。ついに水が出る。たき火を5時間連続、午後3時まで行う。

【1988年】
(ベランダ残し、ほぼ完成!)
・4/23〜24
 ベランダなど残し、昨年末でほぼ完成。山小屋ライフを楽しむ段階に(4人)※日野駅で30分ほど雨やどり。小屋に15時ごろ着く。誰もいない。小屋は特に変わったこともない。21時ごろ、ABEが来てにぎやかになる。翌日は特に作業ということもなく、対岸の別荘地を見にいく。タラノメをいくつか摘む。上の原っぱで大きなヤマカガシをつかまえ、大ちゃん(Hの長男)にプレゼント。ガマガエルもつかまえたらしく、東京まで持っていくという。天気もさわやかで、のんびりとした一日を過ごした。連休には八甲田に山スキーに行くため(5/3〜5)完成式には参加できないと言ったら、「またか」と言われた。ザゼンソウが一つだけ咲いていた(水場の下)。

・6/4 (1人)ベランダの材料が業者から明日(4日)届くが、誰も行かないので立会を頼まれる。正午に現地入り。前日までの雨がやんだが、むし暑い。地主のオバさんに会うと、材料はもう置いて行ったという。材木にシートをかけると、きょうの役目は終わり。連休にやったらしく、ベランダの基礎が仕上がっていた。なにも用意してこなかったが、熊倉山をピストンして帰った。下りの笹平手前で姿は見えなかったが、目と鼻の先にいたシカが驚いて逃げていった。

・8/7 (2人)N一家がきている。前日、荒川サイクリングコースでバイクトレ40キロ、午後は有明でテニスをやって疲れていたので、作業はせず、のんびり過ごす。

・10/23 寺沢川左俣から熊倉山へ登る。下りは城山コースにとり白久へ。寺沢川のゴルジュに大滝(実際は10m位か)を発見。

【1989年】
(ベランダ完成、芝植え付け)
・4/27〜28
 (5人) ※27日は単独で谷津川本谷から熊倉山を経て入荘。カマド周辺の整理、芝植え付けを行い、敷地が広く感じられる。帰りは、この4月から直通の西武電車で帰る。

・7/8〜9 ベランダがほぼ完成(5人)ベランダ作りの最終段階だったが、8日に基礎をすこしやっただけで、9日は寺沢川の沢下りに出かけノータッチ。

主な作業が終わり、以後は快適な山小屋ライフといきたいとこだが、今や年2回くらい山岳会のお祭りや忘年会で使う程度が現実。現在はあちこちの痛みが激しく、補修合宿が必要な状況になっている。造っているうちがネコなのであった。



 
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