第9回「森と泉に囲まれて」サントリー白州蒸溜所 

山梨県北巨摩郡白州町、南アルプスの雄峰、甲斐駒ヶ岳山麓。花崗岩に覆われるこの山は大自然の濾過装置とも言え、一帯に降った雨や雪は、長い年月をかけて地中に染み込み、やがて美しい湧水となる。また、森の冷気はウイスキーが長い眠りにつくための子守歌でもある。この地で、人と自然と年月が響きあい、理想のウイスキーが生まれる。


広大な森の中にその蒸溜所はある。
日本で最初にウイスキーをつくったのは1923年、京都市郊外のサントリー山崎蒸溜所である。それから半世紀、サントリーは第2の蒸溜所をこの地に誕生させる。甲斐駒ヶ岳は花崗岩質の山であり、その表面を流れる雨水は麓に白い砂の扇状地をつくる。それが白州の地名の起こりである。花崗岩の土壌はまた、天然の濾過装置となり、有機物をほとんど含まない名水を湧き出す。

神秘の琥珀が生まれる場所。
サントリー白州蒸溜所の面積は約83万平方メートル。水源地の環境を守るため、広大な森を自然のままに守り続けている。敷地内にはバードサンクチュアリもあり、一歩足を踏み入れれば、みずみずしい木々の香りに満ちている。この自然が、世界に誇るモルトウイスキーを生みだしている。芳醇な香りと神秘的な琥珀色の秘密は、この森のなかに眠っている。

どこが神秘の場所やねん。
てなこと言っても、この日はGWの真っ直中。いやー、すごい人でしたわ。駐車場に入りきれない車の列。入りきれないオイラたちは配送トラック用の駐車場に誘導され、そこからシャトルバスで見学ツアー受付まで連れて行ってくれるとのこと。しかし、やって来たのは黒煙をまき散らして走るオンボロのワンボックスバン。どこがシャトルバスやねん。ボディにはサントリーのロゴがあったけど、森の神秘や琥珀の輝きや芳醇な香りはどこにあるんや!

南アルプスの天然水工場を見学。
見学コースは、ウイスキーの製造工程見学と、ここ白州の地の水を掘り出して詰めただけの「南アルプスの天然水」の工場見学コース。8年ほど前に、ウイスキーコースは見たことがあるので、今回は天然水コースを選んだ。子ども連れなので、アルコールよりミネラルウォーターの方が良いだろうという判断。両コース共に見学の最後にウイスキーやジュースの試飲もある。見学を終えて帰る人は、やっぱり酒臭かった。

ドライバーは飲酒禁止です。
見学コースの集合場所に、次回見学時間のお知らせ。ここからバスに乗って、各工場を廻る。受付時にドライバーは、「お酒飲みません」を意味する赤いシールを貼らされる。ドライバーはオイラだが、もちろん妻が貼った。時間になるまで、ここで待つ。やがて、ガイドのお姉さんがやって来た。さすが、天下の上場一部企業、サントリー。美しい中にも知性を感じさせる好感度の高いお姉さんガイドだった。

子ども指数、意外と高し。
ホントは、この日はここに来る予定ではなかったのだ。八ヶ岳方面で遊ぼうと出かけてきたが、小淵沢のI.C出口ですでに渋滞に巻き込まれ、八ヶ岳・霧ヶ峰へ向かう道路はピクッとも動かない。しかたなく、反対方面に走り、以前に来たことがあるこの工場を思い出したのだ。まあ、GWは遠出するなかれということを改めて確認した点では有意義であった。ウイスキー工場にもかかわらず、子ども指数高し。きっと、同じように行くところがなかったんだろうな。

だって、ただの水なんだもん。
バスに乗って、「南アルプスの天然水」工場へ。見学時間約20分。工場ではガラス越しに、タダの水がペットボトルに詰められ、箱詰めされ、出荷されるところを見学。つまんない。ウイスキー見学コースの方が、蒸溜や樽の貯蔵庫など見どころが多い。子ども連れでも、そちらのコースを選ぶべき。バスに乗ったり、階段を歩いたりするのでベビーカーはやめた方が無難。この建物はウイスキー博物館。ウイスキーの歴史や、過去のサントリーの広告などを展示していて、面白し。

白昼堂々飲めるのが良し。
で、結局、良かったのはウイスキーの試飲だったりする。大人には、サントリーの「白州10年モノ」を、南アルプスの天然水割、またはストレートかロックで。子どもには「なっちゃん」のジュースを。15分以内なら何杯でもお代わり可。ただし、3杯以上はイヤな顔をされるかもしれない。きれいなお姉さんがカウンターで作ってくれて、白昼堂々飲むから、これが美味しい。と帰宅後も言い続けていたら、妻が「娘をトイレに連れて行く時ちょっと見たけど、カウンターの裏ではおばちゃんたちが大量に水割り作ってたで」とのこと。おつまみも付きます。


〈ご案内〉
中央自動車道 小淵沢I.Cより車で15分
※ドライバーの方のご試飲はご遠慮ください。
ウイスキー製造工程は2名様以上よりご案内
10:00〜最終回15:00(30分ごと)

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