第6回「秋を探しに二人旅」飯田街道 国道153号線 
オイラの住む愛知県から、現在両親の住む長野県飯田市までの約120km。国道153号線は素敵なドライブコースだ。春には新緑が、夏には高原の風が、そして秋には美しい紅葉が日常に疲れた心と体をやさしく癒してくれる。しかし、お転婆やんちゃなわが娘と二人だと、これが大変なドライブになる。

どうしても豊田スタジアムを見たい。
サッカーファンにとって、スタジアムは特別な意味がある。しかも、国内最大級でありながらW杯にもグランパスのホームとしても使われない豊田スタジアムは出来の悪い息子のように愛おしい。国道153号線は豊田市から足助町を通り、飯田市まで。途中、無理矢理スタジアムの横を通過する。前方にうっすらと巨大な姿が見えてくる。この日の夜は、ホセ・カレーラスと谷村新司のコンサートが開かれた。利用価値があって良かった。
ここのリンゴケーキは美味しいぞ。
愛知県稲武町の道の駅「どんぐりの里いなぶ」で休憩。山々は美しい紅葉に彩られていた。混雑が予想される足助を迂回して裏道を通ったのが正解。ここまでの所、順調なドライブ。ここに立ち寄るたびにパウンドケーキ風の「リンゴケーキ」を買う。美味い。温泉も併設されている。この先、約50kmに渡って、同様の道の駅が3ヶ所もある。各自治体がふるさと創生資金で造ったのだろう。旅行者には便利だが、地元にはどれほどの恩恵があるのだろう?
母を訪ねて三千里旅行。
娘と二人で出かけると、よく「まあ、お父さんと2人でほほえましいわ」という視線に出会う。特に、おばちゃんたちからほほえましいわ光線をびんびん感じる。近頃では、被害妄想気味になり、「まあ、お母さんがいないのに感心ね」「お母さんがいなくて大変ね」「奥さんと離婚して、娘さんと二人で大変ね」という目で見られている気がしてならない。まあ、この写真の雰囲気だと、母を訪ねて三千里旅行に見られても仕方ないか。
根羽村だから、ねばーらんど。
車は快調に進み、長野県根羽村に入る。2つ目の道の駅、「ねばーらんど」で昼食。ここのレストランはそばが美味い。わさびのくきと山菜入りのそばに、ご飯と揚げ出し豆腐がついたランチセットが1,200円。豆腐も名物で田楽500円也を注文。娘と食べるが、遊びモードで食は進まず。揚げ出し豆腐に田楽豆腐。大量の豆腐を前に途方に暮れる。キミが食べると思ったから注文したのに。絶好の行楽日和のランチタイムだが訪れる人は少ない。来るたびに寂れている気がするのだが…。
ウッドデッキにヨーグルト。
根羽村の名物であるヨーグルトを購入。4個入り、特価240円。外のウッドデッキに出て、秋の日差しを受けながらベンチに座り娘と食べる。いわゆる正統派のヨーグルトで、甘みがない。3口ぐらい食べて娘の動きが止まる。酸っぱいか、やっぱり。そのうち、飽きたのか、美味しくなくて怒ったのか、ヨーグルトを下に落とす。ウッドデッキにぶちまけられる白いヨーグルト。オイラはテッシュで一生懸命掃除する。まったく、なんてこった。
りんごの町、長野県飯田市。
その後、車に戻った娘はお昼寝。寝てくれたおかげで、とっても快適なドライブ。紅葉の山間ルートを満喫しながら、車は長野県飯田市に。写真はJR飯田線の飯田駅。リンゴをモチーフにした駅舎が可愛い。南信州の中心都市である飯田市だが、過疎化・高齢化は深刻な問題のようだ。バブル期には郊外にバイパスが走り、巨大なショッピングセンターなどもいくつかできた。それ以来、中心部は元気がない。おまけに近年の不景気で、郊外のお店も元気がない。
駅前メインストリートを歩く。
駅前のメインストリート。2軒あった土産物店も1軒は閉店した。ユニー飯田駅前店も店内の売り場や品揃えが縮小傾向にある。来るたびに立ち寄る駅前の平安堂書店も2階のCD売り場を撤収。小売店も次々に潰れている。親父に言わせると市長が悪いとの説明。利用者がいないような公園ばっかり造って、真の街の活性化につながるような施策がまったくないと怒る。地元では「公園市長」というあだ名で呼ばれているらしい。
歓迎ムードはすぐに吹き飛ぶ。
元気に祖父母の家に到着! 歓迎を受ける。初孫だから可愛いのだろう。父親のオイラも少し得意げ。しかし、歓迎ムードはすぐに吹き飛ぶ。娘のあまりのお転婆、わがまま、言うこと聴かなさに祖父母は唖然、呆然。「この前来た時は、いい子だったのに」という嘆き。翌日、すっかり評判を落とした娘と、「あんたが甘やかして育てるからよ」とのお叱りを受けた父は、そそくさと中央自動車道で帰宅の途につく。やれやれ。

〈ご案内〉
国道153号線は愛知県名古屋市から長野県塩尻市までの総延長約220km。その間、紅葉で知られる愛知県足助町やスキー場を多く抱える長野県下伊那郡、南信の小京都である飯田市を始め伊那谷の町を走る観光ルートでもある。
Visited 01.11.17 (C)YAJIKITA NET

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