第20回「伊賀上野NINJAフェスタ」伊賀市 
伊賀上野と聞いて何を思い浮かべるか。まず、伊賀忍者であろう。戦国時代、数々の伝説の忍者を生んだこの街。長らく上野市という行政区分であったが、2004年11月に周辺の5町村と合併し、伊賀市になった。それでも、どうしても“伊賀上野”と言いたくなるのである。

忍者鉄道999、出発。
写真の電車は近鉄伊賀線。フロントに描かれているのは目。どこかで見たことがある。そう、『銀河鉄道999』のメーテルでおなじみ、松本零士先生のデザインだ。サイドを見ると車両まるごと忍者、それも“くのいち”になっている。さすが、忍者の街。この街で春、4月初旬から5月のゴールデンウィークにかけて行われるのが「伊賀上野NINJAフェスタ」だ。今年で4回目を迎える、知る人ぞ知る、マニア垂涎のお祭りだ。

いざ、忍者に変身するのだ。
約1ヶ月間、土・日・祝日を中心に街中で様々なイベントが行われる。街の財産である忍者による地域振興だが、最大の呼び物は観光客が忍者装束に身を包み街を歩けることだ。この期間は、街の商店の人や市議会の議員さんまで忍者装束を着てたりするが、それは忍者の末裔だから当然。だが、我々素人でもわずか500円のクリーニング代で本格的な忍者装束が1日楽しめる。口コミを中心に話題になり、今や関西・東海圏から大勢の観光客がやってくる。写真は忍者に変身する前のうちの子どもたちだ。
なりきり息子は壁づたいに走る。
うちの子どもたちは戦隊ヒーローの『忍風戦隊ハリケンジャー』が大好きだった。息子はそれ以来、忍者に目がない。京都の映画村など他の観光地でも、忍者に変身できる企画はあるだろうが、伊賀上野の面白さは、本格的な衣装を実際に街中で来て歩け、しかもみんなが着ているので恥ずかしくないところ。そんなわけで、忍者に変身! 土・日・祝日などは朝10時オープンの『忍者変身処(伊賀市ふれあいプラザ2階)』は大盛況。

黄忍、発見!
最初は変身といっても子どもたちだけだろうと思っていたが、街に繰り出すと、家族みんなで忍者軍団というケースも多かった。お父さん、お母さんからベビーカーの赤ちゃんまで。さらに、犬にも忍者風衣装があり、忍者犬になれる。忍者装束はカラーも豊富だ。ただ、恰幅のいいお母さんが真っ黄色の忍者だったのは、ちょっとひいた。わざわざ目立たなくてもいいだろうに。街中には写真のように忍者の人形があり、それを探して歩くクイズラリーも実施していた。
『まちかど忍者道場』で忍術修行だ。
さらに、街の5カ所に『まちかど忍者道場』なる場所があり、各道場を廻るスタンプラリーで賞品ももらえる。写真はそのひとつ『吹き矢道場』。上野天満宮の境内で、吹き矢ダーツ遊びができる。本来は参加費500円を払い、全道場を廻ってスタンプを集めるのだが、仕組みがよくわからなかった我々は、この道場にたまたま来合わせたところ、担当ボランティアさんがタダで遊ばせてくれた。ちなみに、参加費用500円と引換に、街の商店で使える商品券をくれるので、損はない。

手裏剣シュッシュ、シュッシュシュ。
参加費用500円必要という『まちかど忍者道場』を理解していなかった我々は(だって、『吹き矢道場』のボランティアさんも悪いんだよ。全部廻らなければタダで遊んでいいって言ったんだもん)、調子に乗って次の『手裏剣・足湯道場』にもやって来た。むろんタダで。結構重い本格的な手裏剣を的に投げて遊ぶ。ただし、子どもたちだけ。ドラマなどで手裏剣を手のひらに載せ、水平にシュシュシュと投げるシーンがあるが、あれは大嘘。実際の手裏剣は鉄製でかなり重い。垂直に立てて持って、投げるのではなく、打つように放つのが正しいらしい。
歩き疲れたら足湯でひと休み。
ここは伊賀上野城下東方、お寺ばかり並んだ街、寺町通りだ。商店街から離れているため静かだが、狭い通りを地元の車がハイスピードで走り抜けていく。流石、忍者の末裔、シュシュっと参上だ。先ほどの『手裏剣・足湯道場』では手裏剣投げの外に、足湯設備もあった。伊賀上野から車で30分ほどのところにある『ウェルサンピア伊賀』というホテル・温泉施設から温泉の湯を運んできて振る舞っている。お世話をしてれた方もボランティア。しかも道場の向かいに住む、ふつうのおばちゃんだ。

みんなありがとう。楽しかったよ。
今回、訪れてみて、とても楽しかった。しかし、それ以上に地元の人たちの努力に頭が下がる。街の活性化のためという目的はあるが、それ以上に観光客に楽しんで帰ってもらいたいという気持ちが伝わってきた。大勢の申込者を必死にさばく『忍者変身処』のスタッフ。子どもたちを盛り上げてくれた『まちかど忍者道場』のスタッフ。子ども忍者に「可愛いね、かっこいいね」と声をかけてくれる街の人たち。やさしい人ばかりで、思わずひとりひとりに「ありがとう。楽しかったよ」と握手をしてまわりたくなった。
Visited 06.4.22 (C)YAJIKITA NET

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