第15回「アフター・ザ・高山祭」飛騨高山
飛騨高山。中部圏の奥座敷であり、飛騨の匠、さるぼぼ人形、朴葉みそ、飛騨牛などで知られる観光地だ。特に毎年春・秋の高山祭は有名で、まつりの山車が小京都に例えられる美しい街並みに繰り出す様子は壮観だそうである。“そうである”と伝聞なのは、YAJIKITA/NETは滅多なことでは、人混みには出かけないから、当然、高山祭も見たことがない。今回は仕事で高山祭直後の飛騨高山を訪れた様子をレポート。

まさにワイドビューだぞ「ひだ号」。
JR東海 高山本線 特急ひだ号。通称、ワイドビューひだ。このバリアフリーのご時世に、通路から一段高くなった座席。足もと近くまで開いている広くて落ち着かない窓。真冬は寒いぞ、きっと。しかし、このバカ大きな窓は、木曽川、飛騨川に沿って美しい渓谷を見下ろしながら走るこの列車の最大のアピールポイント。名所では、車両前方にある電光掲示板やアナウンスでお知らせがあり、わざわざ徐行運転で景色を堪能させてくれる。しかし、急いでいる人は、イライラするだろうな。
列車は山間の風景をぬって進む。
平日の午後3時、名古屋発のひだ号は当然のように乗客は少ない。高山観光か途中の下呂温泉へ向かうであろう老夫婦とビジネスマンが二人。それにガイジンの女性二人連れ。下呂温泉でショーをするダンサーかな。特急なのだが、高山本線は単線のため、いくつかの駅で上り下りの待ち合わせ。扉は開かないが、山間の小さな駅の風景に心引かれる。日本中で赤字路線の廃止が進み、こういう駅が少なくなっているのだろうな。列車は宮峠の分水嶺を超えた。川の流れが南から北へと変わった。いわゆる裏日本だな、ってそれは失礼だろう。
行き交う我は旅人なり。
午後5時過ぎに高山駅着。ものすごく寒い。名古屋は春の陽気だったので、薄着で来てしまった。途中、車窓から見た宮村の天然記念物「臥龍桜」が満開だった。名古屋とは半月程度、気候の差があるようだ。すっかり夕暮れの高山駅。行き交う人も早足で家路を急ぐ。ひたすら「寒い、寒い」と言いながらホテルへと向かう。
ベストなウエスタンホテル?
高山駅すぐの『ベストウエスタンホテル高山』にチェックイン。仕事で来たため、幹事役の方が予約してくれていた。仕事の時は経費の関係でもの悲しいビジネスホテルに泊まることが多いのだが、このホテルは雰囲気がよい。ヨーロッパとアメリカの伝統をブレンドしたとホテルのHPには書いてあった。それは言い過ぎだが、また泊まりたいと感じさせるホテルだ。シーズンオフであるのか、ツインの客室に一人で泊まる。写真はホテルとは関係なく、『からくり郷土料理』の看板が不思議だったから。
ここも中日ドラゴンズファンなのだ。
晩ご飯を食べに同行のデザイナーとホテルを出る。が、この街は午後5時を過ぎるとほとんどの店が閉まる。おまけに寒い。開いてる店を探しながら、市内見物も兼ねてそぞろ歩く男二人。もの悲しい。しかし、情緒ある街並みは美しい。観光客がまったくいないので静かだ。炉端焼き屋を見つけて入る。店内のテレビでは中日VS阪神戦が流れていた。お店の人は中日ファンのようだった。高山郷土料理の漬物ステーキが旨い。保存食の漬物を卵でとじて焼くだけだが、冬は雪で閉ざされる高山では貴重なたんぱく源だったそうだ。
高山でアントンでトリビア、ダー!
翌朝、ホテルをチェックアウト。昨晩は気づかなかったがフロント脇にこんなものが。フジテレビの『トリビアの泉』でも紹介された、アントニオ猪木がキャラクターを務める『1・2・3 ダーッ麺』。ここ高山で製造されてるそうだ。なぜに猪木が高山で? シーズンオフで空いていると思っていたホテルだが、朝食には外国人の観光客グループとビジネスマンの団体がたくさんいた。
高山名物と言えば、やっぱり朝市。
朝8時、快晴。今日は暑くなるらしい。高山名物、朝市をのぞいてみる。そう言えば、子どもたちが「吹き戻し」を欲しがっていたな。高山にはありそうな気がして探してみるが、ここでは売っていなかった。観光客もまだ少なく、売り子のおばちゃんたちもお弁当をひろげて朝食タイム。のんびりとした雰囲気。
ちなみに「吹き戻し」は高山の商店街のおもちゃ屋で見つけた。3本で300円。お土産に購入。帰宅後に手渡したら喜んで遊びまくり、翌日には破れて、壊れて無惨な姿になっていた。
住んでみたい気がする街だ。
高山祭を伝えるニュースでは必ず映る『中橋』の風景。桜もはらはらと散り、絶好の撮影ポイント。マジで現在、カメラマンさんが撮影中の仕事中。オイラはYAJIKITA/NET用の写真を撮影中。高山の朝、観光客と地元の人が古い街並みを行き交う。市内の中学生も通学中。彼らは、観光客に出会うと「おはようございます!」と元気に挨拶をしている。気持ちの良い街である。これで、タワーレコードと紀伊国屋書店があれば、すぐにでも転居したいぐらいだ。

〈ご案内〉
電車で/JR東海 名古屋駅から高山本線 特急ひだ号で約2時間10分
車で/ 東海北陸自動車道「飛騨清見I.C」から国道158号線で約30分

Visited 04.4.21 (C)YAJIKITA NET

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