第12回「古都で故郷で時間旅行」京都一泊旅行 
古都、京都。わが故郷であり、大学卒業まで過ごした街である。その頃は、ちょっと市内を歩けば名所旧跡があるため、ふらっと見物したりもした。当たり前のようにあるため、そのありがたみを感じることはなかったが、離れてみて京都の良さがようやくわかった気がする。今回は、高校のクラス会に合わせて家族で一泊旅行を敢行した。

東か西か、それが問題だ。
ほぼ3年ぶりの京都の街。まずは、ご先祖様が眠る東大谷本廟へ参拝。円山公園の隣にあり、親鸞上人のお墓があるため東大谷祖廟とも呼ばれる。東と言うからには東本願寺派である。ちなみに、ここより南の五条坂には、ここより規模の大きな大谷本廟がある。そちらは西本願寺派。どちらにわが家のご先祖が眠るか親父に聞いても「どっちだったっかなあ?」と迷うほどややこしい。
京の街にセーラームーン。
「オー、キョウトらしいフウケイね」と外人さんがいいそうな高台寺周辺。きれいに整備されて、観光都市京都の面目躍如である。京小物のお店、というよりショップなどもあり、女性客の「カワイイー」の声が響き渡る。でもね、幕末の時期、ここには新選組から分派した「高台寺党」の屯所があった、こわーい所なんだよ。塀の前に娘を立たせて、おしとやか写真を撮ろうとしたが、どうしても“セーラームーン”ポーズをしてしまう。
男三十五、ねねはノリピーではなく佐久間良子。
只今、冬の特別拝観を実施中の高台寺。北の政所、ねねさんが晩年を過ごしたお寺である。昔は拝観謝絶だったが、今は開放している。冬の京都は観光客が少ないため、様々な企画を行い、少しでも来京者を増やそうとしている。この日は、穏やかな陽ざしで、そぞろ歩きもまた楽しい。昨年の大河ドラマ「利家とまつ」の影響か、ねねさんの像を見て、のりピーがやった役ねという人がけっこういた。
金閣寺?プレハブ寺?
東山周辺を脱出し、クルマで北山へ。娘や息子に京都らしいものを見せてやろうと選んだのが金閣寺。だがしかし、屋根の修理期間中でその美しい姿は拝むことができず。駐車場に入るとき、係のおじさんが親切に、修理中で見られないですけどいいですかと言ってくれた。でも、まあ、こんな姿の金閣寺を見ることができるのも滅多にないと思い拝観。でも、ご覧のとおりである。
想像の金閣を思い描きながら。
金閣を取り囲む池の畔に大きなパネルが設置されていた。在りし日の金閣の姿を偲んで、その前で写真を撮る人多数。すんごい遠くから、どうしても金閣を見たくて、やっとの思いで来た人は怒れるだろうなあ。でも、お詫びのつもりか、絵はがきが一枚付いていた。境内を歩き、木々の間から、本当はここに金色に輝く舎利殿がなどと想像しながら巡る。イマジネーションが鍛えられたかも。
叡山を見て、方角を知る京都人。
さて、この日は夕刻からクラス会のため、ひとまず宿に入る。三条大橋の近くである。部屋からは比叡山が見える。京都人は方角を知りたいとき、いつも北東の比叡山を基準にする。
クラス会に行くオイラと、夕食を摂る家族は新京極まで一緒に行くことに。久しぶりに歩いた四条河原町周辺。昔よく行った書店やレコード屋は影も形もなく、ほとんどがファッションビルとゲーム屋に変わっていた。千二百年の怨霊たちも住みにくかろう。
古都の玄関口に相応しい大艦巨砲主義。
翌日は雨が降っていた。仕方ないので巨大要塞と化した京都駅で時間つぶし。古都に全く相応しくない近未来的な威容を誇るKYOTO STATION。その功罪は、あちこちで言われているが、雨の日に時間をつぶせそうなのは認めよう。と思ったら、有名は大階段は屋根がなく吹きさらしじゃないか。上まで子供たちを昇らせれば2時間は遊べるなと思っていた目論見がはずれる。
手塚ワールドは世代を超えて。
そんなわけで、駅に併設されている「KYOTO手塚治虫ワールド」へ行く。手塚さんって京都と何か関係あったっけ?『火の鳥』乱世編の舞台ではあったが。ミニシアターとキャラクターショップがある。短編映画の『鉄腕アトム』を見る。娘はアトムがお気に召したようで、観覧後も「アトムはかっこいいね」と喜んでいた。世代を超えて手塚ワールドがひろがってゆく。古都と2003年誕生のアトムを結んで我々の時間旅行も終わる。

〈ご案内〉
わざわざ、解説するまでなく京都のことは市販のガイドブックをごらんください。
Visited 03.2.15,16 (C)YAJIKITA NET

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