親展 運転免許証更新連絡書。
一通の郵送物が送られてきた。そうか、もう免許の更新時期か。オイラはゴールドカードやけんね。5年ぶりたいとなぜか博多弁で威張り、早速、更新に出掛けた。
運転免許証の更新場所は居住地や更新の区分によって異なるだろう。優良運転者なら最寄りの警察署でもできるだろうし、違反歴によってはわざわざ遠くの運転免許試験場まで行かなければならない。
幸いにもオイラは無事故無違反歴の優良運転者なので、近所の○○警察署へ行った。
更新手続きに必要なもの。
運転免許証(最近は証明写真の機械で、事前に写真を撮っていかなくてもいいのね)
送られてきた運転免許証更新連絡書
眼鏡等(必要の方のみ)
そして手数料と郵送物には書かれていた。
手数料は更新手数料が2,100円、講習手数料が700円の合計2,800円。高っ!なんで、こんなカード1枚の発行に3,000円近くかかるのか。クレジットカードなんか、最近は入会金、年会費ただなんてものもあるのにね。
○○警察署に着く。更新に訪れた人は数人程度。受付には年配の婦人警官。運転免許証更新連絡書を出すと、書類を渡され、氏名、住所、電話番号、年齢を記入して再提出。しばらくロビーでお待ちくださいと受付前の小スペースを示された。
ロビーは長いすが6脚並び、正面には25インチ程度のテレビとビデオがセットされた台がある。画面では交通事故の様子を紹介する映像が流されていた。フッフッフ、これがここでの講習だって知ってるもんね。こんなもので700円も取るのかよ。よし、今日はちょっとごねてみようと小さな決意。
座るまもなく名前を呼ばれ、個室へと案内される。免許証に貼る写真を撮影するため、カメラの前に座らされ、先ほどの年配の婦人警官が「はい、背筋を伸ばして、レンズを見て」と言う。オイラはストロボが光ると思わず目を閉じてしまうタイプなので、写真写りが悪くならないように目に力を込める。「とりますよ」と言う声が聞こえ、カシャッとシャッターがおりる。いやー、今のはちょっと目に力が入りすぎていたなあ。次は、もう少し自然な感じでと思っていたら、婦人警官が「ハイ、結構ですよ。ロビーでお待ちください」。おいおい、1枚だけかね。
再びテレビで交通事故の映像を見る。事故の主要原因はドライバーの油断、慢心だそうだ。物憂いトーンのナレーションに気が滅入る。
5分ほどたった頃、名前を呼ばれる。今度は会計の窓口。先ほどの婦人警官ではなく、私服を着たおばさん。大きな顔で白塗り、しかも厚塗り。往年の名女優、清川虹子さん似。これが悪名高き交通安全協会の職員か。警察署内の窓口に同居してるって完全に癒着じゃん。
「はい、それでは本日は更新手数料2,100円と講習手数料700円の合計2,800円をお願いします」と言われた。
そこでオイラは言ってみた。「講習手数料って、講習を受けてないんですけど」。すると虹子さんは「ビデオをご覧になったでしょ。あれが講習です」。
「えーっ!あの5分ぐらいのビデオで700円も取るの!?」とわざとらしく大声で聞いてみる。
虹子さんは「更新のお知らせハガキに講習会費700円と書いてあったでしょ。他の方は平針(愛知県の運転免許試験場。オイラの住んでいる街からはかなり遠くにある)まで行かなきゃいけないんですからね」と言下にお目こぼし金というニュアンスを含ませる。これは官の横暴だ!しかし、書かれていると言われれば返す言葉がない。オイラの動揺を察知したのか虹子さんはさらに攻勢に出る。
「あと、交通安全協会の協力費700円をみなさんにご協力いただいてます」と言いながら机の上に積んであったティッシュの箱に手を伸ばした。オイラはすかさず「協力費なんてハガキには書いてなかったよ。まだお金取るの?」。虹子さんは鼻の穴をフーンとふくらませて、手にしていたティッシュの箱を机に戻した。怒りのためか、箱には指の形のへこみが。どうやらこのティッシュは協力費を払った人への粗品だったようだ。
「あちらに、協力をお願いする旨が書いてありますので」と虹子さん。見ると部屋の壁には『交通安全協会に任意の協力費をお願いします』と書かれた張り紙。そこには、交通安全協会の活動内容 1.運転優良者に対する表彰 2.交通安全講習会の開催 3.交通安全運転に必要なポスター、チラシ、パンフレットの配布とある。
財団法人交通安全協会についてのどうでもいい説明はこちらへ。このサイトの収支報告書のPDFファイルが開かないのはなぜだろう。700円の協力費が何に使われているのかハッキリしない。
この協力費はあくまでも任意であり、義務ではない。というか払う必要はまったくない。昔はほぼ強制的に徴収していたが、使途不明金の問題等があり、最近では“協力”“お願い”という言い方で徴収している。地域によってはいまだに任意であることを告げずに徴収しているところもあると聞く。オイラはもう何年も払っていない。入会すればビニール製のダサイ免許証入れと交通安全教本がもらえる。
いくら交通安全の美名の元に能書きたれても、警察OBの天下り外郭団体だ。そんなものにわずか700円とは言え払えるか!
「払う気はありません」とオイラはハッキリ告げる。虹子さんは怒りを滲ませた目で、オイラの更新用書類に赤いマジックで大きく『未』と書いた。おいおい公的な書類なのに、そんなに大きく『未』と書くのは失礼だろう。しかし、この勝負はオイラの勝ちだな。不明瞭な金額の徴収という負い目が向こうにはあるからな。やれやれ今日も正義が勝ったと安心し
虹子さんに背を向けた時、「免許が出来るまで、もうしばらくビデオを見てお待ちください。講習ですから」とギター侍のようなひと言。背後からの年の功の嫌みという抜き打ちに、オイラはあえなく敗北した。卑怯なり〜〜〜!
|