禁じられた恋でも・・いい
第6話
お互いの欲望を与え、奪い、そして俺たちは果てた。
重なり合い熱い肌と呼吸を感じながら
胸の中にいる愛しい一鍬を抱きしめる。
抱きしめると一鍬も俺にぎゅっと抱きついてくる。
なんて可愛いんだ、お前は。
俺と一鍬は互いにどちらともなく、互いにキスを交わす。
一鍬の中でビクンと俺が脈を打ち動くたびに、
一鍬はそれに反応し、あっあっと甘い声を漏らす。
ああー、可愛い!可愛すぎる!
ダメだ・・また、元気になってきてしまう・・・。
しかし、ここは羅門先生の自宅。
ら、羅門先生!!
そうだ、羅門先生が帰ってきたのを忘れていた。
俺は、恐る恐る横目で先生の姿を確認する。
さきほどいた場所に先生の姿が無い。
どこに消えたのだろう?
まだ俺の胸の中でうっとりとしている一鍬。
このままずっと愛し合っていたい・・・。
だが、それは出来ない。
俺は止む得なく一鍬の体内から自分のモノを引き抜く。
俺を離さないかのようにキツク俺を捕らえる一鍬。
「力を抜け、一鍬」
一鍬は寂しそうに俺を見ている。
「寂しいのは解る。俺もお前の中から出たくはない。
だが、ここは、羅門先生宅なんだぞ・・・」
俺に言われ一鍬は青ざめた。
「そ、そうだった!」
やっと気が付いたか。
俺とのエッチに夢中になっていて忘れていたのか。
バカなヤツだな・・。
でもそんな所が可愛らしいのだが。
なんて、思っている場合じゃない!
俺達は慌てて互いから離れると、辺りを見回した。
「せ、先生はどこに?」
俺たちは脱ぎ散らかした服を慌てて身体に纏う。
「あ、兄者・・、どうしよう。まずいよ・・・」
一鍬が俺にオロオロとしながら言う。
俺もこの状況はまずいと思う。
羅門先生に二人の愛の交歓を見せてしまったのだから。
「部屋が全然、片づけてないよ・・・」
えっ?
部屋の片づけか!?
一鍬、お前の大変はソコだったか!!
相変わらず、ずれているというか・・。
だからお前はアホの子とか言われるのだ。
急いで片づけを始める一鍬に俺は諭すように言う。
「一鍬、もっと大変な事があるだろう」
「え?」
「俺たちのエッチを見せてしまったのだぞ」
一鍬は手に持っていた物を落とす。
「あああーっ!そうだった!」
やっと事の大変さを知ると、顔を真っ赤にしながら大騒ぎをする。
「ど、ど、どうしよう、どうしようっ。兄者、どうしよぉぉぉ!」
パニックになっている一鍬。
俺もどうしていいか解らない。
俺にすがるように一鍬が見る。
「怒るってるよね・・きっと」
そうだな・・兄弟でこんな関係なんて。
兄と弟が愛し合うなんて・・・・。
羅門先生の怒りを買う行為を見せてしまったのだから。
だが、俺は後悔しない。
一鍬との関係を。罪だろうが・・・。
俺は一鍬を愛しているのだから、誇りを持って
この命をかけて・・・愛し合っているのだから。
「俺、謝りに行く」
一鍬はそう言うと泣き出しそうな顔で出口に向かった。
俺は細い腕を掴む。
「止めないで、兄者。謝らないと・・・」
「俺が行く。お前のせいじゃないのだからな」
「で、でも・・兄者。俺も・・」
「お前は何も悪くない」
悪いのは俺だ。理性を止められず、秘密を暴露してしまった俺が・・。
「兄者・・・」
二人の心が揺れる・・・。
その時、出入り口から大きな声がした。
「どちらも来なくていい!」
ゆらりと出入り口から羅門先生が姿を現した。
「私から来たのだから
お前達のどちらが行くかでもう悩む必要はないぞ」
俺と一鍬は凍り付いたまま動けなかった。
第7話に続く
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