禁じられた恋でも・・いい
第1話
羅門先生に頼まれ、留守中に書庫の整理を手伝っていると、
突然、視界に一鍬の顔が飛び込む。
「兄者、少し休んだらどうだ?」
大量の書物や文献に囲まれた俺を、ひょいと覗き込む一鍬。
その綺麗に整った美しい顔には、どこかしら幼さが残る。
なんて、愛らしいんだろうか・・・。
俺は、胸を熱くさせ、一鍬の顔を見とれていた。
「兄者、疲れたのか?ぼーとして」
子犬のごとく、少し首をかしげる一鍬。
ああ、なんて愛らしいのだ。
俺は胸の鼓動と熱さを増していくのを感じた。
絵jすぐこの場で抱きしめて、全てを俺のものにしたい!
この情欲を押さえきれるだろうか・・・。
いや、押さえなければ・・・ここはまかり間違っても
恩師の羅門先生宅なのだから・・・。
咳払いを一つすると、俺は冷静さを装う。
「そうだな・・・。少し、休むとするか」
一鍬はうんと頷く。茶色い柔らかな髪がふわりふわりと揺れる。
俺は触れたい衝動にかられる。
この気持ちを押し殺さなくては・・・・。
一鍬は、お茶にするね、と言うと用意の為
一時、俺の視界から消えていった。
大きな溜息を俺は一つ吐く。
少し前、俺と一鍬は兄弟の一線の越えてはいけない
モノを越えてしまった。
身体と心を繋げ、二人は恋人同士となったのだ。
実の血の繋がった兄と弟が・・。
これを知ったらストイックな
羅門先生は驚いてひっくり返るだろうな。
いや、怒られるかも知れない。
もしかしたら、出入り禁止に・・・。
破門か????
そんな不安を胸に抱く俺を知らずに
一鍬はお茶とお菓子を持って再び俺の視界に戻ってきた。
俺の名を呼びながら、めいいっぱいの笑顔で。
ああ、なんて可愛いんだ・・・・。
不埒な思いを隠すかのように、俺は少し強ばった顔で笑った。
第2話に続く
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