愛している・・・でも二人は同じ血が流れる兄と弟
第4話

「火傷をしていたら、どうする!」

兄者はそう言いながら、俺の皮パンを足の付け根まで引き下ろす。

ああ、やっぱり・・・期待はみごとに大外れ。

心配されるのは嬉しいよ、だけど・・・。

ぐずぐすしている間に、俺の下着と太股が兄者の目に晒される。

なんだか、恥ずかしいなぁ。兄者はどう思っているのかな?

こんなシチュエーション、けっこうエッチだと思うけれど。

俺はドキドキしながら、ちらりと兄者を見た。

兄者は俺と違って、いつもの通りのクールな表情。

あー、やっぱり・・・。解っていたけれどちょっとショック。

兄者は手際よく、熱湯で赤くなった俺の太股の付け根辺りに

濡れたタオルをそっと押しつける。

突然の冷たさに身体が強ばり、冷たっ!と思わず言葉を口に出す俺。

「冷たいぐらい我慢しろ」

兄者はそう俺をたしなめる。

言葉は厳しいけれど手つきは優しい兄者。

そんな兄者が俺は大好きだ。

患部に当てていたタオルは、俺の熱を吸い徐々に暖かくなっていく。

暖かくなったタオルを兄者はそっと俺の肌から離した。

「まだ、赤いな・・・」

心配そうに俺の赤くなった肌を見つめる兄者。

本当に俺を心配してくれているんだ、嬉しいな。

でも、このくらいの事で兄者を困らしちゃダメだろ俺!

「だ、大丈夫だって!これくらい!」

「無理するな、一鍬」

いや、無理してないんだけれど。

そう言いかけた時、溜息と共に兄者が言った。

「お前の美しい肌に跡が残ったらどうするんだ」

えっ?美しい・・・って?

「そんなの気にしないよ。俺、女の子じゃないし。ちょっとぐらいの跡なんて平気だよ」

「何か火傷の薬があればいいのだが・・・」

あのー・・俺の言葉を聞いちゃいないでしょ、兄者。

でも真剣に考える兄者の顔もまた、カッコイイなぁ。

いや、そんな事で感慨にふけっている場合じゃないよな・・今。

「代用になればいいが・・・」

そう呟くと兄者は俺の赤くなった跡に唇を近づける。

濡れた舌で俺の赤くなった肌を兄者はそっと嘗めた。

驚きと同時に俺の背筋にビリビリと電気が走る。

甘美な感覚に思わず、ああっと声が出てしまった。

「痛むのか?やはり・・・」

兄者は顔を上げず俺を気遣う。そしてまた、患部をぺちゃぺちゃと嘗める。

だ、ダメだよ・・兄者。マズイって・・俺、俺・・感じちゃう。

唾液が消毒作用があるのは知っているけれど、

今のこの状況は・・・違う効果が出ちゃうよー。

身体の奥が痺れてきちゃう。身体がまた熱くなる。

全身の血が、熱が、身体の真ん中に集まって・・・とても熱い。

どくんどくんどくんどくんどくん。

俺自身の敏感な部分が形状を変えながら

布を押し上げ膨らみ、堅くなっていく。

ど、どうしよう、元気になってきちゃった!

「一鍬、お前・・・」

うわっ!ばれた!

兄者は嘗めるのを止め、ぱしんと俺の足を叩く。

「治療をしているというのに!!」

俺は立ち上がる兄者を見つめた。

凄く怖い顔・・・、兄者は怒っている。こんな俺に・・・。

「ご、ごめん。兄者・・・これには」

どんないい訳を言うつもりなんだよ。

兄者が好きだからって言うのか?俺・・・。

兄者に欲情しましたって・・言えないよ。

言ったら・・・嫌われる、絶対。

今だって・・嫌われかけているのに。

兄者にだけは、嫌われたくない。大好きだから・・。

オロオロと困惑している俺に兄者は、きつく睨む。

「ご、ごめん兄者・・・ごめん」

もう、俺にはこれしか言えない。

兄者は手に持っていたタオルを、俺の膨らんだ股間に投げ付ける。

「少しは頭を冷やせ!」

そう言うと兄者は俺を残して、ぷいっと小屋から出て行ってしまった。

「兄者・・・」

もう、最悪・・・・。

俺は兄者に嫌われてしまった。大好きな兄者に・・・・。

そう思ったら 俺の目から涙が溢れ、こぼれ落ちる。

俺のバカ・・・・。

兄者に見捨てられた俺は、ガキのように泣きじゃくった。


第5話に続く

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