ジュラシック・ミステリー

権藤正勝 (学習研究社、2002)

 

今からおよそ6500万年前に恐竜が大絶滅した原因の説明として、現在ではアルバレスの唱えた隕石衝突説が有名です。隕石衝突は恐竜の絶滅のみならず、地球の歴史上何度か繰り返された生物大量絶滅の原因として、最も有力とされています。

しかし、恐竜の絶滅に関しては、隕石衝突だけでは説明しきれない要素も、いくつかあります。このときはすべての恐竜が絶滅したのに、哺乳類や恐竜以外の爬虫類が絶滅しなかったこともその一つですが、何といっても最大の矛盾は、巨大隕石の衝突に先立つ数百万年間に、巨大な恐竜は少しずつ数と種類が減っていったと思われること。そして、恐竜絶滅後は二度と再びあのような巨大な陸上動物が誕生しなかったことも、不思議といえば不思議です。

現在の地球上で最大の陸上動物はゾウですが、これまでに発見された最大級の陸上恐竜は体重が何とゾウの20〜40倍! しかし、ゾウの体長が2倍になったとすると、体重は8倍になりますが、脚の太さは4倍にしかならず、そのままでは体重を支え切れません(実際はそんなに単純なものではなく、本書では理論的にきちんと計算されています)。ゾウよりも大きな陸上動物が存在しないことには、重力の壁という明確な理由があるのです。それならば恐竜は?

本書は恐竜絶滅の謎に地球の重力の変化という面から迫った力作。著者は専門家ではありませんが、科学的な裏付けもしっかりしているように思われます。それにしても、恐竜絶滅に関してこれまでに重力を問題にした専門家はいなかったのでしょうか。本書の内容について専門家のご意見をぜひ聞きたいところです。