「糸さんが居ると落ちつくな―――――」
「ちょっと待て!」
「このシチュエーションは落ち着かんっ!!」
「・・・ガラス玉 ひとつ持っててね」
「今度は二人で思い出を作っていこう」
自分だけ止まっている噴水の脇に腰を下ろしたまま、ごく自然に立ったままの糸の腰に手を回して抱き寄せる真。
糸は真の頭を抱えるように、そっと抱き締め返した。
いつしか真は糸のウエストポーチを外し、洋服の中に手を忍ばせていた。
立ち上がりざまに糸の唇を奪い抱き締め直す。
「・・・・・糸さん 抱いていい?」
「え? ・・・・・って ここでかっ!?」
「・・・・・そう だってもうこんなだし ―――――」
そう言って真は糸の手を自分の股間へと運んでいく。
思いがけず手に触れさせられた真の股間が、既に固くなっているのがズボンの上からでもはっきりと解った。
「――――― ばか ―――――」
糸は真赤になりながら、真の股間から手を遠ざけたが抵抗するような素振りは見せなかった。
ついさっき、真が掘り返した大きな木の根本に糸は押し倒されていく。
――― ここは鳴子西小学校。
真が通っていた小学校の校庭である。
2年生の時に埋めたタイムカプセルを掘り返すために二人でやって来たのだ。
待ち合わせは午後1時の予定だったが
様様なトラブルに巻き込まれ、到着した時にはとっくに日は落ちていた。 ―――
ちょうど真が掘り返した所に当たったのか、背中に柔らかい土の感触を感じる糸。
真にキスをされながら、胸をはだけさせられた糸の白い乳房が淡い月明かりに照らされる。
その男勝りな外見とはうって変わって、艶かしい女性特有の肌の色白さが静かな光の中に際立つ。
手馴れたような仕草で真に裸にされた糸の陰部にも、その黒い茂みが濡れている様が暴かれてしまっていた。
真は中途半端に自分の下半身をさらけ出すと、堪えていたものを弾き出すかのように
糸の濡れた割れ目に自分を押し込み突き進んだ。
「ああっ・・・・・」
予期していたとはいえ、急速な真の侵入に身体を反らす糸。
真は糸の中にもっと深く侵入する為にその細い腰を両手で固定した。
・・・・・奥へ奥へ・・・・・。
背中から感じる土と草の匂い。微かに聞こえて来る小さな水音の流れ。
糸の身体の中で容赦無しに脈を打つ真。
――――――――どくんっ――――――――
糸のアタマの中で何かが動いた。
それまで全身で高ぶっていた糸の血の気がみるみるうちに引いていく。
――――― あれは?
――――― 真じゃなかった?
あの時と同じ背中の土の感触と草の匂いと小さな水音が
封印されていた糸の中のおぞましい記憶を呼び起こす。
あの時、スイカを取りに行った川に落ちて、そのまま滝に流された。
気付いたら承太の顔が目の前にあったんだ。
でも ―――――
その前、溺れた直後からはっきりと意識を取り戻すまでの間にも
顔や身体に人肌を感じたような気がする。
濡れたあたしの身体を温めるように体重をかけて来たのは・・・・・・・・・・承太なのか?
そしてこの身体の中に残る僅かな異物の感覚・・・・・。
・・・・・―――――――
・・・・・―――――――
・・・・・・・・・・この真じゃない ―――――
・・・・・・・・・・今あたしの中に居るこの真じゃない ―――――
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・違う男のモノだ ―――――――――
・・・・・・・・ザバッッ
溺れて意識を失った糸を抱き抱えた承太郎が、自分もぐっしょり濡れながら川岸へ上がって行く。
平らな川原に糸を横たえるとその止まった呼吸を取り戻すために、鼻をつまんで顎を上げ息を吹き込んだ。
何度か繰り返すうちに、少量の水を伴って糸の呼吸が戻ったので、承太郎はいくらか安心してその場に座り込んだ。
髪の毛からしたたる水分を多少絞り出し、Tシャツもべちゃべちゃだなと、冷静に状況判断をしながら糸を気遣って見る。
糸はまだ深く眠ったように浅い呼吸を繰り返しながら横たわっていた。
・・・・・・・・その無防備な寝顔に承太郎は心を奪われて行く。
幼い頃から憎からず想い続けていた女の子が、自分の目の前であからさまに心を許したような姿を見せている。
誘われるように、承太郎は糸の唇に自分の唇をそっと触れさせてみる。
さっきは糸の呼吸を取り戻すのに必死だったせいかキスをしたという実感は無かったが、今度は違った。
さっきは全く感じなかった糸の唇の柔らかい感触が承太郎の理性を剥がしかけた。
(・・・・・・・これは不味いな・・・・・・・)
理性を保って糸の顔から自分の顔を離した承太郎だったが、その目に飛び込んだのは濡れたTシャツから透けて見えた
糸の胸の膨らみだった。
人工呼吸をする際に、とっさに糸のブラの金具を外して胸を解放したため、
その形は勿論、Tシャツから直に糸の乳輪の色まで透けてしまっていた。
思わずTシャツの上から、その乳房にそっと触れてみる。
大きくはないが、予想以上に柔らかいその感触に承太郎の理性は再び遠くに追いやられようとしていた。
糸のTシャツをたくしあげると同時に、目の前に広がった白い滑らかな糸の上半身に承太郎の理性は欲望へと変化しつつあった。
糸の片方の乳首を舐めながらもう片方を指先でいじると、糸の意志とは無関係にその乳首が少しずつ立ち上がっていった。
それを見た承太郎は、あっという間に糸の下半身にへばりついた下着をジャージと一緒にずり下ろしてしまい
糸の準備などお構いなしにとっくに固くなってしまっていた自分の肉棒を糸の中心目掛けて突っ込んだ。
糸は周りに漂う湿った土と草の匂いの中で、言い知れない異物感を感じていたが
それが何なのかを自覚できる所までは自分を取り戻してはいなかった。
糸は何の抵抗もできないまま、承太郎の欲求に波に囚われてしまっていたのだった。
遠くにある糸の意識の向こうから川の流れる音が小さく聞こえていた。
あの時何が起こっていたのかを心の奥底で確信した糸の目から
その時に自分が不覚にも溺れた滝の流れを思い出したかのように涙が溢れ出た。
「糸さん?」
突然、大きな目を見開いて泣き出した糸に真は驚いて、自分を糸からぬるっと抜き出す。
「どうしたの!?」
・・・・・真には言えない ―――――
糸は真にこれ以上の問い掛けをされないように、まだ萎んでいない真のペニスを掴んで口に含んだ。
「糸さんっ!?」
驚き続ける真の性欲を満たすために糸は必死で舌を使って真を愛撫する。
歯を立てないように慎重に。
自分の唾液と真から耐えきれずに吹き出るわずかな愛液を絡ませ、いやらしく音が出るように。
いつもは恥かしくて触れることもままならない真の股間まで、速やかに指を動かしながら茂みを構わず触りまくる。
真の神経をここに、自分の口の中にあるモノに集中させるために。
――――― あの時、覚醒した後に真琴は自分を探してやって来た。・・・・・筈だ。
――――― 自分が承太郎に犯されている所など絶対に見てはいない。・・・・・筈だ。
この小さな確証だけが、今の糸の精神を辛うじて錯乱することから守ってくれていた。
糸からのこれまでに体験した事の無い程の激しい愛撫に、真はいつの間にか絶頂に届こうとしていた。
が、このままでは糸の口の中で噴射してしまう。
まだゴムを付けていなかったのだ。
「糸さん、無理しないで?」
「・・・・・もういいから・・・・・」
優しく糸の頭を自分の股間から離そうとしたが、糸の意志は固く離れなかった。
「くっっ・・・・・」
糸の口の中にそれまでとは比べ物にならない位の大量の精液が一気に噴出された。
―――――――――― ごくん ―――――――
躊躇いつつも真の全てを飲み込んだ糸は、やっと真の股間から顔を上げる。
申し訳ないような、でも満足したような複雑な小さな笑みを、涙でぐちゃぐちゃになったその顔に浮かべていた。
それでも涙は止め処なく糸の頬を伝い、顎からしたたり、放たれた胸の谷間へと流れ込んでいる。
そんな糸の顔を頭ごと、抜けかけた力を取り戻しながら真はがっちりと胸に抱き締めた。
Tシャツを通して糸の涙が、真の汗ばんだ身体に伝わった。
それでも糸はいつものように真の背に手を回さない。
今の糸が何を思っているのか真には全く検討がつかなかった。
それどころか、意に反して自分だけイッてしまうという醜態をさらしてしまった。
ただ、今の真に解っていることは糸が大切だというコト。
自分にとってかけがえの無い女性だというコトだけだった。
――――― 糸ともう一度結ばれたい ―――――
泣き続ける糸を強く抱き締めるうちに真は再び勃起していた。
この場で糸を何が何でも自分に繋ぎとめておかなければいけないような気がしていた。
真は、糸を抱き締めたまま自分の体重を少しずつかけて、もう一度ゆっくりと倒れこむ。
糸の背中には忘れたいあの時と同じ土の感触が戻って来た。
「やだっ!まこっ!」
息を吹き返したように声を荒げる糸。
その悲痛な声を無視して、真は糸の足を開き迷わず自分を押し込んだ。
「やだ―――っっ!!」
糸は真を拒むように固く目を閉じてしまっている。
まるであの時に全くできなかった抵抗を、今この場でするかのように―――――。
「・・・・・糸さん・・・・・・!」
「オレを見てっ! オレを感じてっ!!」
真の悲しいような怒ったような切羽詰った声が、遠くから糸の耳に響いて来た。
その声にはっとしたように糸は目を開けた。
涙を流し続けていた糸の視界は曇っている。
その向こうに見慣れた金髪と眉間を歪ませた白い顔が次第にはっきりしていった。
――――― まこ? ―――――
――――― 今、ここに、自分の目の前に居るのは間違いなく真だった ―――――
糸は真の首に力を込めて抱きついた。
「まこ・・・・・ まこ・・・・・」
「・・・・・糸さん・・・・・」
自分の中で激しく動き続ける熱く萌える真を実感した糸のアタマの中と身体の中心に
それまで感じられなかった快感が一気に襲い掛かった。
それと同時に糸の膣が真をぎゅっと包み込みながらも締め付けた。
思い出してしまった糸の悪夢のようなあの感触が、感覚が、
真の全てを受け入れることで、小さく遠く薄れようとしていた・・・・・。
――――― 真には一生言えない ―――――
――――― だから忘れよう ―――――
――――― これからも真にしか愛されなくていいから ―――――
――――― 真しか愛せなくていいから ―――――
<あの時>
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