「おおー 見事に真っ暗だなー」

(ちょっと外の明かりが入るか・・・)
(・・・・・・・・・・)
『糸さんは警戒心が足りない』
(大丈夫 あたしだってバカじゃない)
(それ位は わかってる)

演劇部の夏合宿最終日。
夕食の後の肝だめしで、糸は絶対に当たりたくない時とペアになってしまい、渋々、
ふたりきりで、老朽化した校舎に来ていた。

「いっ子」
「さわんなっ」

ぺしっ!!
糸は護身用に持っていた箒で時の手を跳ねつけた。

「何 警戒してんだよ〜〜〜」

「すんだろ 普通!」
「おまえの本性知ってんだからなっ!」
(本性も何も地なんだが・・・・・)
「さっさと終わらせて出るぞ」

グイッ
時が先を急ごうとする糸の腕を引いた。
「!」

「お前は将来の夢なんか決まってないんだろ?」
「・・・言っとくけどオレはしつこいぜ?」
「・・・その身長とルックスなら あっという間に大学のスターだ」
「夢がないなら 俺の元へ来い」

自分勝手な理屈を述べる時を上目使いに睨みつける糸。
次の瞬間、時が糸の持っていた箒を投げ捨て、あっという間に糸を抱き締めた。
「なっ!?」
抵抗する間も与えられなかった糸は目を見開く。
その間に、時はくわえていたタバコを吐き捨てて、残り火を踏み消すと、
驚いてわずかに開いたままの糸の口を強引に自分の口でふさいだ。
今までに何度も嗅いだことのあるタバコの匂いが糸の顔中に広がった。

すごい力で抱き締められたまま、時のぬるっとした感触を伴った舌が糸の口を割って入って来る。
糸は必死に時を引き剥がそうと、そのシャツと体を引っ張るが、全く効き目がなかった。
糸のこれでもかという力をものともせず、時の舌は糸の嫌がる舌をとっくに絡め取っていた。
いつしか糸の手は、それぞれが時の両手に捕まえられ、自分のアタマの上に持って行かれてしまっていた。
糸の背中が歪んだ木の壁に押し付けられる。
もう、糸に残された抵抗の手段は自由な筈の長い両足しかなかったが、
その間には、すでに時の片足がしっかり固定されていた。

糸は攻めてくる時の熱い舌に、声も出せずに耐えながら逃げる機会をうかがっていた。
だが、両手を捕まえられ、両足も思うように動かない。
それでも、体の力を抜く訳にはいかなかった。
ここで、時の思い通りになる訳にはいかない。
真以外の男に肌を許すのは、絶対にイヤだった。

時は両手で押さえつけていた糸の両手首を、その左手だけで十分に押さえつけ、
自由になった右手で、糸の顔をまさぐっていた。
滑らかな頬を、形の整った耳を、そして、細く長い首を。

糸を女として見た事はなかった。
あの去年の演劇部年末指導の為に、母校を訪れる瞬間まで。
どう見ても男としか見えなかった糸が、時の中で瞬時にいとおしい女に変わった。
人の感情の移り変わりは本人にも計り知れない。
時は自ら、この瞬間にその不思議な経験を得たのだった。

糸を手に入れたい――――――。
時の想いは何度となく糸の想い人である真に阻止されて来た。
そんな苛立つ時の熱を上げるのに、今の状況はあまりにも出来すぎていた。


その強引な手は、糸のタンクトップを捲り上げ、シンプルな下着に収まった緩やかなふたつの丘をあらわにした。
時の大きな右手は、しばし布の上からそのふたつの膨らみを交互に揉みほぐした後、
布の下から指を入れ、糸の感情と反して固くなりつつある乳首をきゅっとつまんだ。

「!?」
糸の口は時に侵略されたままで、微かな声も漏らせない。
糸の乳首が自分の指に反応して高くなるのを確信した時は、そのまま糸のズボンに手をかける。
前面のボタンとファスナーを容易く外し、その油断した隙間に手を滑り込ませる。
糸の体に密着した布とズボンの間から、糸の熱くなった部分に手を当てた。
心なしか湿っている。
時の指は敏感にその感触を察して、何の迷いも無く糸とわずかに湿った布の間に入り込んで行く。
見えない茂みを時の指が糸への小さな入り口を探して這っていた。
そして、とうとう、糸への入り口は見つけられてしまった。

時にさんざん体を触られた糸には、もう大きな声を出す力は残っていなかったが、
時は警戒してなのか、糸の口を自由にしようとはしなかった。
ほんの少しの間、唇を離すこともあったが、糸が一呼吸する間もなく、
再び時のタバコ匂いにその味に支配されているのだった。

糸の入り口のわずかな濡れをその指に感じた時は、その指で糸の入り口の周りをいじった。
思わず、糸の腰が浮く。
時はそれを見逃さなかった。
素早く糸のズボンを下ろし、片足だけを完全に脱がせた。
そして、完全にズボンを脱がされた方の足を狙って、下着まで下ろしてしまっていた。
もはや、糸に抵抗する術は残されていなかった。
恥ずかしく開かれた足の間には時の片足と右手が備えられていて、
その右手は容赦なく、糸への入り口を開こうと糸から湧き出るぬるい液の中に居た。

不意に時の唇が糸の唇から離れる。
糸はこぼれ出る涙と時に感じさせられている信じられない自分に声が出ない。
時は糸の首筋に濡れた舌を遊ばせながら囁く。
「オレのそばにいろ・・・?」
「やっ・・・」
思わず出た小さな声が再び時の唇でかき消された。
時の執拗な愛撫にただ涙を流すしかない糸。
しかも時の右手は糸の胸をはだけさせ、暗闇に隠れた赤い乳首を何度もいじり回していた。


「!!」
糸の開かれた股間に突然、何か固いモノがあたった。
最初、糸には何が起こっているのかわからなかったが
すぐに、それが自分の中に入ろうとしている時だということに気付いた。
いやだっ!!絶対にいやだっ!!
糸の声にならない叫びが、薄暗く古い校舎の中を駆けて行く。


『糸さんは警戒心が足りない』

真琴に言われた言葉が、鋭く糸の脳裏を駆け抜けて行った・・・・・。










(・・・・・・)

(この教室にも居ない・・・)

(暗すぎる・・・・・)

一部の部員達にハメられて時と肝だめしに行った糸を探して、真琴がひとり校舎の中を走り回っていた・・・・・。












<夏合宿―T>





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