ガラガラッ
真琴がさっきまでと同様に、今はもう使われていない教室の扉を開け中を覗き込む。
ふとこれまでに感じなかった人肌に近い気配を感じた。
「・・・・・いとさん?」
誰なのか解らないのと同時に、時が居るかもしれないという警戒心によって
聞こえるか聞こえないかというようなくらいの声で真琴は糸の名を呼んだ。
・・・・・返事は無い。
が、確かに、さっきまでとは異なり、人の気配が感じられる。
真琴は暗闇の中で目を凝らした。
いつしか、曇った窓ガラスから時折差し込む月明かりが、横たわる人の形を映し出す。
「いとさんっ!」
今度は確信を持って糸の名を呼んだ。
目の前に横たわっている人は、紛れも無く真琴の最愛の人である糸に違いなかった。
駆け寄った真琴の前に横たわる糸は、意識も無くぐったりと倒れていた。
一目見て、尋常でない出来事の後であることは真琴にも理解出来た。
真琴の目に入った糸が身にまとっていた衣服は、
時に触れられた糸に警戒するように着せた真琴の長袖の上着だけだったのだから。
糸に駆け寄った真琴は、近くに他の人間の気配、
つまり時の気配が感じられないのを確かめてから、
失神している糸をそっと抱き上げて、その教室を後にした。
明らかに自分の悪い予想を的中させてくれたと思われる腕の中の糸の姿に
真琴は激しい怒りと失望と羨望を渦巻かせながら、暗い廊下を歩いていた。
鍵のかかる階の異なる教室を見つけ出した真琴は
その教室の教壇にまだ気付かない糸を寝かせた。
糸の顔は真琴に抱き抱えられている間からずっと苦悶に歪んでいた。
じっとその顔を見ていた真琴は、静かに糸の顔に手を当て、優しく顔を撫でた。
「・・・・・・・」
糸の目がうっすらと開く。
「・・・・・・・!?」
糸の目が大きく見開いて真琴の姿をとらえた。
「・・・・あぁぁっ!・・・・・」
糸の声は言葉にならず、そのまま涙が変わりに溢れた。
「ま・・・・・・」
真琴の名すら、しゃくりあげる息の中では声にならない。
その糸の姿と態度の全てが、これまでの間に糸に起こった全ての出来事を物語っていた。
真琴の怒りが頂点に達する。
真琴は、ぼろぼろと涙を流す糸を力いっぱい抱き締めた。
その体温に糸が少しずつ正気に戻る。
「・・・・ま・・・・まこ・・・・・・・まっ・・・・・」
糸の擦れた声での謝罪の言葉が、真琴の怒りと悲しみを増幅させる。
糸は真琴から離れようとしたが、体の中似走る痛みとだるさに阻まれ思うように動かない。
「・・・・・・糸さんっ!」
堪えきれずに糸を抱き寄せ顔を寄せる真琴。
だが、触れた糸の頬から微かに時のタバコの香りが伝わって来る。
時が糸にしたであろう数々の行為をそこからも必要以上に想像してしまった真琴は
必死に理性を保っていた。
糸の手首には痛々しい程に掴まれたと見て取れる痣がうっすら赤く残っていた。
なんていうことを・・・・・・!!
真琴の怒りが更に膨れ上がっていく。
(オレの糸さんに なんてことを・・・・・!)
真琴は声を殺して泣き続ける糸の額に頬に唇に・・・・・
全てに優しく唇を何度も落とし、糸を、それよりも自分を落ち着かせようとしていた。
糸は真琴が与えた上着以外、何も身に付けていなかったので、
真琴は糸の顔以外の肌になるべく触れないようにしていた。
今の糸の本当の姿を見るのが、怖かったせいもあったのだが・・・・・。
やだーーーーーっ!
時に唇を塞がれた糸が必死で叫ぶが、そんな糸の悲痛な声を無視して
時の肉棒が糸の恥部から糸を壊しかねない勢いで挿入された。
いやーーーーーっ!
糸の中で時が所狭しと激しく熱く動いている。
糸の体は時の腰の動きと連動して動かされていた。
痛い・・・・・・痛い・・・・・・っ・・・・・まこぉっ・・・・・・
糸の目から涙が零れる。
時はそんな事に気付いているのかいないのか、お構いなしに糸を激しく犯し続けていた。
やだっ・・・・・・やめてっ・・・・・・
糸の声は時には届かない。
糸の塞がれた声よりも、時に入り込まれた部分からの水音の方が大きかった。
あぅっ・・・・・やぁっ・・・・・
糸の小さな涙声にも時の激しい打ち込みは収まらなかった。
あの金髪野郎に渡してたまるか
いっ子は俺の女にする
―――――――時は本気だったのだ―――――――。
しばらくして一旦落ち着いた時は、その唇を長い時間離しても糸が声を出さないことを確認すると、
壁に押し付けていた糸を手早く床に押し倒した。
そして、中途半端に脱がせていた衣服を全て剥ぎ取ると、
脱力しているらしい、少し息の荒い糸の両足をぐっと持ち上げて陰部を露わにした。
脱力の中から、はっと気付いた糸が隠すよりも数段早く、
時が再び糸の中に激しく突進して行った。
やァァァ―――――っ
最初の挿入よりも少し感じているのか、糸への入り口は滑りが良くなっている。
それは糸の初めてを奪った証しの赤い液体によるものかもしれなかったし、
時から溢れ出した液が糸の中からこぼれているのかもしれなかったし、
時の濡れきっている太い棹のせいかもしれなかった。。
糸の乾いた叫びも空しく、時はさっきよりも激しく腰を打ち付け、
糸の腰をがっしり掴んで固定していた。
時が腰を動かす度に、糸の体には望まない快感が何度も走り続けてしまう。
唇を頬を耳を首筋を鎖骨を肩を乳房を乳輪をそして乳首を、
時のねっとりと濡れた唇とざらついた熱い舌が舐め歩く。
その唇と舌は柔らかい箇所を見つけては、
容赦無く糸の肌に強く吸い付き、糸には見えない赤い跡を点々と残していった。
糸の涙も擦れる声も、時の我儘を抑える抵抗には全く足りなかった。
「・・・・・も・・・・っや・・・・・・・・」
制止を願う言葉すらはっきり声にならない程に、糸は時の想いと行為に占められていた。
時からの強い意志を感じる度に、糸の意識はどんどん自制できない世界へ遠のいて行くようだった。
糸を登りつめさせた後、自分も再度絶頂を迎えた時は、
全裸にした糸にそこにあった上着をかけて、一服するためにその場を後にした。
糸は欲してもいない初めての痛みと快感を同時に体と心に刻まれ、すっかり意識を失っていた。
時が糸を抱き尽くしたその場に真っ青になった真琴が走り込んで来たのは、それから十数分後だった。
静かに、しかし強い月明かりが窓から差し込んでいる。
真琴は月に照らされる糸の体を、その青白い光に誘われるように見てしまった。
薄く白い光に溶けるような白い肌に刻まれた無数にも見える赤い印。
真琴のハラワタが煮えくり返る。
そして、糸のしなやかな長い脚を流れている乾き始めていた赤い細い筋は、
今の真琴の心を壊すのに十分だったのかもしれない。
「・・・・っ・・・・糸さん・・・・・糸さん・・・・・」
真琴は全ての気力を吸い取られて抜け殻になったような糸を優しく強く抱きしめながら、
何度も何度もその愛しい名を呼び続けていた。
<夏合宿―U>
<あとがき>
.・・・・・・【WジュリUばんざい!】に乗っかって出しても良かったのでしょうか??
でも、お待ちいただいているというありがたいお声が聞こえてしまったので、
調子に乗って出してしまいました。
もともと、「夏合宿-T」の後に間髪入れずに出そうと思っていたらしく、ほぼ出来上がっていたのですが、
ど〜もですね、この続きも書くつもりだったらしく封印していたらしいです。
↑過去の自分には戻れないので、その頃の自分の心理を憶測するしかありませんが(恥)。
でも、この続きって、絶対にまこりんが壊れて・・・・うにゃにゃにゃにゃ〜〜〜でしょう?(何語よ?)
いくらなんでも糸さんが壊れるわ!
という訳で、予告しておきながらお蔵入りになりかけていたUが、陽の目を見ることになりました。
あゆさまのお陰でございます。
ご期待に添っていなかったら面目ございませんが、ご要望いただけて本当に嬉しかったです!
ありがとうございました☆
そして、いつもいつもお付き合いくださる皆さまにも、御礼申し上げます。
いつも通り、Wジュリを愛するあまりベクトルの向きを間違えているかもしれない私ですが、
ここまでお読みいただけたことにも、重ねて御礼申し上げます。
ありがとうございました。
Wジュリばんざい!
夢に妄想に見た新刊発行まで、もう少しです!
(2006.11.23. 管理人拝)