人気投票は、最初の評判からもう変化なんかあるはずもなく。
 下馬評も一番人気超大本命のまおだったりして。
 そんなある日の魔王の執務室にて。

 ここは魔王の執務室。
 いつものように、まおが頬杖をついてぼーっとしている。
「相変わらず平和で御座いますなぁ、魔王陛下」
 そしてこちらも相変わらずで、唐突に真後ろから現れるマジェスト。
「ほんとーねー。本編じゃ何かきな臭くなってきてるってのにね」
 ぎくり。
「な、なんのことでございましょうか、魔王陛下。きな臭いなどと」
「こーしてはなすのも、はっきり言って久々よね」
 くりん、と椅子を回転させてマジェストの方を向くまお。
 ぶすー、と不機嫌そうな顔で彼を睨んでいる。
「どうかなさいましたか、陛下」
 くりん。
 慌てて執務机の方に回ると、まおはぷいと顔をそむける。
「まじーきらい」
 がびーん。
「ど、どうなさったのですか陛下、今の今になっていきなり」
「いまのいまになってって、いつもそーぢゃないの。別にー、おかしなことぢゃないでしょ」
 ぷい。
 マジェストはさすがに焦った。
 焦ると言うよりは困った。
 むぅ、と唸ると、古典的に左手の掌を右拳でぽんと叩く。
「ではこういうのはどうでしょうか」
「どうでしょうってどういうことよー」
 ぷいー。
「は。つい先日、人気投票を終わらせました。私の権限で」
 がたん。
 さすがに驚いたのか、まおはさらに古典的に椅子ごとずっこける。
 あ、震えながら手が生えてきた。
 そのまま体全体を引き上げるように、まおがよじのぼってくる。
「わ、私の権限って、何様よまじーっ」
 まったくである。
「いえいえ、もう100票入れなくても魔王陛下の勝ちは見えましたしね」
「ついでに言うと、もうこの辺で引き上げないとまじーが危ないからでしょ」
 片眉を上げて睨むと、爽やかに笑いながら誤魔化すマジェスト。
「というわけで、ランキング結果のページを作成したのでGO!」
「ここで発表しないのかよ」
 ええ、したらトップページ重すぎるだろうが。