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心霊現象

※注意
 このコラムは決して真実が書かれているとは限りません。
 論理的に『魔術的に』考慮した、『主任魔導師』の語る講義の一つであります。
 これは我が精霊学院の講義の一つであり、また一つの形であります。
 尚質問、批判等意見は受け付けます。
 メール、BBS、毒電波等でお願いします。

第2回 ポルターガイスト

 有名な心霊現象の一つとも、超常現象とも言われる。
 これは非常に特別な現象と言えるだろう。
 何故なら直接的に物理的な現象だからだ。
 少し考えて欲しい。
 そもそも――『心霊現象』とはどんな種類があるのか。
 そう、答えは幾つかあるだろうが、一番端的に言えるのはそれが現実に存在し『難い』からだ。
 幽霊を見た、人魂を見た、それらは何らかの理屈があるかも知れない。
 たとえばそれは見覚えのない影だったのかも知れないし、それこそただのススキの穂だったのかも知れない。
 だが椅子が浮き机が舞うポルターガイストは特殊な物理現象の一つだ。
 そう、心霊現象の一つでしかないのにそれらは激しく物理的な側面を持つ。
 他の心霊現象との最大の差、である。
 今回に限っては非常に否定的に解釈させていただく事になるが、その点は了承していただきたい。
 というのも、これを肯定するだけの論理的な理屈が存在し得ないからだ。
 まず第一に物理的にエネルギーを発生させるには『エネルギー保存』『質量保存』『熱力学の法則』を避け得ないからだ。
 もしこれら古典的理論を考慮に入れないのであれば、それは物理学ではない。
 たとえどんなに破天荒な理論であっても、これらの法則を取り入れられるなら『物理学になり得る』と言う事を逆に考慮に入れて欲
しい。
 ところがだ。ポルターガイストはそうとは言えない。
 それら法則を完全に無視した運動だからだ。
 運動を続ける物体はどんな形であれエネルギーを持っている。
 ではそれらのエネルギーはどこから生まれているのか。
 また供給源は?そしてそれらの理屈は?
 物理的エネルギーに解釈できる本当の理論がそこに発生し得ない事はご存じだと思う。
 物を一切傷つけずに空中を浮遊させる方法は、重力子を操作できなければならない。
 それは現存する空間を歪める事に他ならない。
 四次元方向、すなわち時間軸状に対し空間を歪曲させると、その歪曲率に従って物体は加速を始める。
 ブラックホールはこれが行きすぎた形を取る。
 方程式から解釈されているのは『空間と時間がひっくり返る』という奇妙な現象だ。
 この特異点(正確には面であり、球形を形作る。この半径をシュバルツシルト半径という)を越えると、物体は戻って来れなくなる
という(飲み込まれてしまった、という)。
 こんな歪みを突然発生させる程のエネルギーというのは、想像を絶する物だろう。
 質量をエネルギーに換算できる物理学ですら、ほんの数グラムで地球を滅ぼせるだけのエネルギーであると言う。
 喩え椅子一つを自由に動かそうとしたとしても確かにそれは馬鹿げている程莫大な物だろう。
 もし現実にあんな現象があるのであれば、そう、それはもう物理学として解釈する事は不可能だろう。
 理由は前述の通りである。

 では、心霊現象にしても魔術にしても、物理的に作用する事はできないのだろうか?
 答えは否、である。
 だがそこに「直接的に」という言葉をつけてしまうと「ほとんど不可能」だということになる。
 ポルターガイストは、以上の理由から『幻覚』であると考える事がふさわしい。