第4回 RPGにおける魔術の立場
今回のRPGの中で使われている魔法に関するコラムですが、大きな話はありません。
せいぜい気張らずに聞いてください。
内容は至って簡単です。
前回まででお話ししたとおり、魔法とは決して私利私欲に使うものではない。
だが、その過程が確かに現世利益に結びつくのも事実である。
その側面を大きく取り上げたのが、我々の良く知るゲーム中で使われているものだ。
所謂フレイザー卿の言うところの『自然現象』の箱庭的解釈が元となっている。
精霊を操ったり、無から有を生み出したり。
そう言うことはエネルギー保存の法則に反するようで、きちんと解釈するところもある。
曰く触媒が必要だったり、体力が『何故か』削られたり精神集中したり…etc。
基本的にはどのRPGに出てくるものもそう変わらない。
魔法を使う代償さえ用意していれば、いくらでも唱えることができるのが当たり前だ。
『魔術師は賢者である』という設定もうなずける。
正確には、魔法を使うほどの知恵者はそれなりに頭がいいという事でもある。
これは、過去に医者や『賢者』と呼ばれた人間が魔法(ソーサリー)を使ったことからも来ているという。
所謂「まじない」である。
このためか、RPG中でも魔法使いは『便利屋』である。
何でもできる、ひ弱な知識のある人間。
でも戦闘能力がないかというと、そうでもない。
『支援射撃』を行うにはもってこいだ、とか。
この体勢を確立したのが、有名なドラゴンクエストシリーズである。
だがRPGというジャンルから(特に欧米諸国の『真のファンタジー』を名乗るものからは)考えれば特殊な部類に入る。
このため、そう言う系統を『和製ファンタジー』と呼ぶことにする。
その実、真のファンタジーと呼ばれる世界では、魔法は万能ではない。
各人誰もが使えるが、ほんの僅かな事しかできないような魔法を一つしか使えない、とか。
魔法が氾濫していても決してそれは道具のように便利ではない、とか。
実際、RPGで魔法が出てきて、読者は『戦闘以外に魔法が使えるのだろうか?』と考えたことはないだろうか。
たとえば和製ファンタジーにある魔法、あの『魔法』は一体なんだろうか。
武器?技術?何の目的であんな魔法が存在する?
その魔法を修得すると、彼らは一体どういう職業に就けばいい?
RPGで魔法というのは、派手であれば派手な方が良い。
その演出こそが、醍醐味でもある。
だからといって、『派手な攻撃魔法』ばかりではどうだろう?
シナリオを見ながら、魔法存在のあり方の意味を考えていないと、味気なくなることはないだろうか?
彼らは兵器ではない。
便利な道具でもない。
確固たる世界観を演出するための存在であるべきなのだ。
北欧神話の形態をとるファンタジーでは、あまりそう言うものは見かけない。
神々の力を借りる等、『便利な力にすがる』ような人間の心理が現れている。
ある小説では、『失われつつある魔法』に対して、それが失われる事に意味を見いだしていくと言う逆説的でありながら、非常に劇的な展開をするものもあった。
RPGでも、そう言う配慮がほしいものだ。
全く(とは言わないが)関係のない話でこのコラムを締めるのは恐縮だが、これで今回のコラムを終了しようと思う。
もし魔導を極めようと言うのであれば手助けをしよう。
魔の山を登る強者がいるのであれば、入り口までは案内しよう。
だが努々忘れる無かれ。
目的がない行動は、自らを滅ぼす。
魔法は決して手段ではないのだから。
どうでしたか。今回のコラムでは魔法のはしりのようなものから、よく見かけるRPGでの魔法を見て感じたことまで総て書き散らしました。
感想、これはどうなんだという事があれば、BBSでもメールでもお答えします。
それがここ『精霊学院』の精霊学院たる所以ですから。