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特集!関西人の謎

第2回 ボケとつっこみの理論

 ※用法に関する注意

 関西人の本質を知らない関東在住の方向けに、純粋な似非関西人が語る関西人の全て。
 今回のコラムは冗談であり、真に受けて使用しないでください。
 飽くまでもいっつじょぉくです。怒らないでください。
 なお、時折真実が混ざっている可能性があります。あさりよしとおのように。
 15歳以上大人は一日2回、14歳未満は一日1.5回、14歳は1.9回まで質問を受け付けます。


 関西人。大阪周辺にのみ許されるこの関東在住の人間が揶揄して使う言葉。
 だが、関西にもいくつもの民族が多種多様な関西人を形成している。
 果たして彼らの正体は?実体は?
 一部命を懸けて直接インタビューして、この謎に迫る。
                  (参考文献『関西人』民明書房刊)

 今回は言語工学者の風呂糸が提唱した『ぼけとつっこみ理論』(1923.民明書房刊『関西人の特性』)を紹介しよう。
 彼のこの理論は、誰でもぼけとつっこみができるようになる理論である。

 『関西人はボケとつっこみを喜んで迎える。というのも、彼らにとってそれは自分たちの技術比べだからである』
                                        ―― 第1章 関西人の特性 p21――

 このように、関西人は生来ぼけとつっこみができるらしい。
 非常にまれな事である。彼らはおしなべて特殊な技能として持ち、またそれに誇りがあるようなのだ。
 関西人二人揃えば漫才師という言葉がある通り、彼らの会話はまさに漫才である。
 しかし関東に行った関西人が一人で生活しているとノイローゼになるらしい。
 このことから彼らのぼけとつっこみがいかに生活に重要なのか、またその技術の一端を知ることができたという。

1 ぼけとつっこみの意味
  彼らに与えられている技術は生来の者である。いつ、どのようにして生まれたのかはまだはっきりしていない。
  だが確かに言えるのは、彼らがそれを行使することが呼吸と同じ意味を持つと言うことである。
  すなわち、会話という『戦場』が無ければ彼らは餓死してしまうだろう。

2 ぼけとつっこみの根源
  人間本来の姿として、『求める物を欲しがる』傾向がある。
  答えをおおよそ期待して声をかける。
  もし、その答えが期待通りなら嬉しいだろうし、また『心が通じた』と感じるだろう。
  簡単である。ぼけとつっこみはこれを究極まで突き詰めた形である。
  関西人の特殊能力はこの『三手先まで会話の先を見通す』能力である。
  自分の言葉で帰って来るであろう答え、これを予期することで彼らは的確なタイミングのつっこみを行うことができる。
  漫才師でなくとも、これは当然のように行うことができるのだ。
  似たような例が即興のセッションである。
  それぞれが自分の楽器の『決め所』を音楽で会話して合わせる、非常に困難で高度なテクニック。
  これを会話で行うと思っていただきたい。そう、だからこそ会話は彼らにとって戦いなのである。

3 技術
  最低限度、答えの判る問いかけを行う。
  その時の場面、自分の仕草、相手の知識、これらを総動員して次に来る答えを当然のように予測する。
  こうして『ぼけ』る事で、相手からつっこまれるのを誘うのである。
  ぼけ、とは?
  僅かな平行線、僅かな『ずれ』、もしくはだじゃれで構わない。

 <例>
  「そういや、昨日電車止まったんだってね」    振り
  「え?弾切れよくおこさなかったね」       ぼけ
  「そりゃ連射だ」                つっこみ

  判りにくい例だろうが、勘弁してもらいたい。
  さて、普通に会話していてこういう物を狙うのは難しいだろう。
  だが、これができなければいけない。
  それだけではない。あくまで自然に、かつ突拍子もないテンポであり人まねであってはいけない。
  さらに相手のぼけに対してどう反応するかがまた腕の見せ所である。
  思考過程としては、この振り(『〜電車が〜』)でどこでぼけるだろうか?
  どうぼけるだろうか?(でんしゃ→れんしゃ?せんしゃ?)
  振りから相手のぼけを想像し、既に振りを与えた段階でつっこみの右手は準備されているのだ。
  しかし、通常の会話でこれを行うのは至難だろう。また、天然でぼける人間に対するつっこみも難しいかも知れない。
  これをやってのけて初めて関西人のテンポに入ることができるのである。
  話が少し逸れたので、元に戻そう。
  ぼけに対しては決して『ぼけ』で応えていけないとは言わない。
  次に示す。

 1 振り→ぼけ→つっこみ(基本)
 2 ふり→ぼけ→ぼけ→つっこみ(ぼけ返し)
 3 ぼけ→ぼけ→ぼけつっこみ→つっこみ(つっこみ返し)

  基本形としてはこの3種類ほどが挙げられるだろう。
  1は基本例である。2、3については少し特殊なものだが、テンポが判ればそう難しくない。
 <例>
  「え?弾切れよくおこさなかったね」               ぼけ
  「そりゃ歯切れがいいからね」                  ぼけ返し
  「なんじゃそりゃ」                         つっこみ

  「え?弾切れよくおこさなかったね」                  ぼけ
  「何いってんだよ、ガソリンスタンドで金出せばいいだけだろう」  ぼけ返し
  「金出しても弾は買えないっちゅーに!」                ぼけつっこみ
  「それは洗車やろが!」                        つっこみ

  まじでこういう会話、できます。
  通常、何の脈略もなく『のり』だけでできるのが好ましいです(体験者談)。

  純血でなければ難しいだろうが、これが実体である。

  いかにして相手の呼吸を読むか。
  つぎの相手の言葉は何か。これは、相手の思考が読めなければ行けないのである。
  なお注意しなければならないのは『ぼけ』なのに相手がつっこんでくれない場合。
  これほど悲しい物はないだろう。関西人がノイローゼになるのは『自然』にぼけてしまうためとも言われる。
  「ぼけ」にはつっこみを。ギャグ漫画にはオチを。必ず物事には終わりがなければならない。
  歯切れの悪いボケは、関西人をダメにしていくのだ。

 と言うことで今回はこの辺で。