Holocaust ――The borders――
Chapter:5
菜都美――Natsumi―― 第5話
――あーっ、恥ずかしいったらっ
昨晩は遅かった。
冬実を連れに言って貰ったせいで、真夜中近くに眠った。
まあそれはいい。
実隆は、今目を回して床に転がって無様な姿をさらしている。
彼女の蹴りを顔面に喰らって。
「知らないっ」
顔を真っ赤にして実隆の部屋から出てきた菜都美は、その勢いままに食堂に入る。
ちなみに今日の担当は明美。
ご飯とみそ汁、ぬか漬けに目刺しという非常に日本人の朝食らしい朝食だ。
食卓に盛りつけている彼女が、床をどかどかと鳴らす菜都美を見てくすりと笑う。
「初めて?」
一気に顔を赤くしてぎりっと睨み付ける彼女。
「昨晩、遅かったし、普段より朝早いって考えると……元気じゃなかったかな?」
「明美姉!」
まだ鼻血の痕を残す実隆が来るまで、しばらくそんな言い合いが有ったのだった。
実隆と冬実が家を出て、菜都美も学校に向かう。
まだ少し余韻が残っていて、頬が火照っている。
「まっさくーらさん♪」
「あれ?」
ひなが、駅で電車を待っている菜都美の側に現れる。
普段なら一つ前の駅から乗ってくる彼女なのに。
と。彼女の後ろから、困ったような顔をした青年が見えて肩をすくめた。
――なるほどねー。彼氏んところから、ね
「こら、恥ずかしいだろ」
「なー。何よ。もお」
口を尖らせて反発するひな。
「恥ずかしい娘だよね♪」
人差し指を立ててにこっと笑いながら、彼氏に声をかけてみる。
「んもう、何よ何よぉ」
彼氏ではなく、ひなの方が菜都美にくってかかってくる。
思わず両手を彼女に向けて一歩引く。
「こら。恥ずかしいって言ってるだろう」
ごちん、と拳が彼女の頭に落ちて、両手で彼女は頭を抱えてしまう。
「んんー、ごめんってばぁ」
何かにつけていちいちオーバーリアクションを見せる。
「ね、ひな」
ちら、と視線だけを彼氏と往復させる。
すると、それまで涙目だった彼女が、くるりと表情を変えてにっこり笑う。
「うん。六甲で最速のシンヤくん」
「だからそう言う言い方は止めろって言ってるだろう?」
ふん、と疲れたようなため息に、にこにこ顔で見返すひな。
「栗原真弥。いがぐりの栗に、原っぱの原。真実の真に、弥生時代の弥だよ♪」
ひなは身振り手振りをくわえて、嬉しそうに説明する。
「で、真桜さんの…」
「ああ、のね。…大学生、やってないから」
残っていた熱が回ってきて、また頬が赤くなる。
菜都美は心臓まで暴れそうになるのを、呼吸一つで何とか抑える。
「今度の、いつだったっけ?」
「連休。来月だよ♪詳しい事はね」
話をしているうちに電車がやってきて、通学ラッシュの中ひなと真弥の二人と話を続ける。
学校に着くまでに予定を話してしまうつもりなのか、相変わらず大げさな身振り手振りで一生懸命に話す。
――……?
時々彼氏が苦笑しているのを、眺めるように視線を動かした時。
――あれ……ミノル?
出発した駅のホームにミノルの姿が見えた。
それだけなら良い。
黒い薄手のジャケットに、サングラス。
――……あんな格好、してなかったよね……
「まさくらさぁん?聞いてる?」
不機嫌そうな声に視線を戻すと、ぷっと頬を膨らませたひながいた。
「何を見てるんですかぁ?」
「あ、ううん、知ってるヒトが居たみたいだったの。見間違いだった」
声を上げて振り向くひなだが、もう電車は加速を終えようとしていてプラットフォームは見えない。
「先刻の駅にね。まあ、そんなはずないけど」
そんなはずはない。
――でも、たしかミノル……駅裏に行ってるんだったかな
場所は合っている様な気がする。
でも服を着替える理由がない。
――見間違いだよね
ダークなスーツに身を包み、サングラスをかけて煙草をくわえる。
別にその格好に意味はない。ただ着慣れた格好だから、変えないだけ。
彼は煙草を灰皿に押しつけて棄てると、何も言わず顔色も変えずにゆっくりとプラットフォームを横切る。
丁度その時電車が入ってくるが、目を向けることもなく出口に向かう。
まるでそれが当然のように。
――ふん……
彼の視界には色が無かった。
いや、有るのだが、色である理由がなかった。
赤い色があるとしよう。でも彼にとって赤い色と青い色に違いを見いだせないならそれは同じだ。
色という存在を認めていないなら、それは全て灰色――色のないモノクロームの世界。
彼にとって世界という存在に意味がないので有れば。
――準備は、整った
ポケットに手を突っ込んで、人の流れを眺めながら出口に向かう。
それはまるでスローモーションのビデオをただだらだらと流しているかのようで。
耳に届く音も、何故かゆっくりと遅く聞こえる。
こつこつという自分の靴が立てる音も、遅れているようだ。
――なあ、お前ら
視界を駆け抜けていく、何も知らないヒトたちの群。
自分の意志を持っているのかいないのか、彼らはまるで躾られたように同じ方向を向いて、同じように流れていく。
彼らの顔を見ながら、ため息混じりにサングラスをかけ直す。
――今、そうやって生きていて
耳鳴りがした。
きぃん、という甲高い、どこかで聞いたような懐かしい、まるで墜ちこんで行く時に聞こえるような音。
全てが間違いだったと気づいて、リセットボタンに手を伸ばした瞬間。
――もし明日がないとしたら、お前ら、どうする
途端、画面は暗転して、全てはゼロに戻る。
そんなに便利じゃない世界。
とても便利な世界。
今、全てをリセットできる、ゼロの世界に灼き尽くす事の出来るボタンがあるとしたら。
――それを知った上で、それでも生きていられるのか?
でもリセットする訳じゃない。
だから、戻ってくるわけでもない。
戻ってこない。
ではなぜ?どうしてこんな事を続けている?
そんな疑問の言葉がわき上がった事もあった。
でもその疑問は、どうやら聞き逃してしまったようだった。
そもそも――そんな疑問をわき上がらせる『自分』は、自分を護るべき自分。自己保存が訴えるものだから。
――何をどうやっても全てが無駄だというのに、それでも努力を繰り返せるのか?
存在自体が無駄であると初めからあきらめた理性は、そんな本能の叫びすら草臥れて聞こえる。
早く、死ね、と。
自分を否定し肯定することができず、もう消えてしまえと。
でもまだそれを信じきれていないからだろうか。肯定するべき理由があると、信じているからだろうか。
彼は本能に従って、まだ生き残っている。
まだ自分がやれること。
彼女がいなくなっていないなら、ただ彼女の指示通りにプログラムして、それを実行するだけで良い。
――お前ら全て、総てが、――のための総ての供物だ
それが彼の行動であり、目的であり、彼女の求めた物だ。
だからそれに殉ずる――いや、男にそんなに優秀な理念を持てるはずはない。
それすらプログラム、命令に従うだけの事しか覚えてこなかった『兵器』の生き方だ。
――まあ良く踊ってくれた。感謝する
久しく歪めていなかった口がひとりでに引きつり、おかしくなった。
――そうか。
と。
――俺は、笑うという行為にすら、もう自分の意志を載せる事は出来ないんだな
彼は胸から携帯電話を取り出して、ゆるりと眺める。
白い掌より少し長い、今ではもう旧式の携帯電話。
これを介して聞こえた、甲高い子供のような声。
――さあ。……よければ後は試してしてみるだけだ
彼はそれをダイヤルすることもなく胸に戻すと、駅から離れていった。
気になった。
今日は午後の授業も一つしかないから、さっさと上がって――いつもなら、部室でお茶を飲んでいる。
でも今日は違う。
今日は部室ではなくそのまま帰る方向に向かう。
菜都美は、今朝見かけた実隆そっくりな人物の事が気にかかっていた。
別人だろうと思えば思うほど、確認してみたくて仕方がない。
本当なら真っ直ぐ家に帰れば良いだろうに――前日の事を思い出してそれも躊躇ってしまう。
ただ、駅にいたのかどうか。服を着替えたのかどうか。何をしていたのか。それを聞くだけだというのに。
――もう、意識して困る……
電車に揺られながら、彼女は昨晩の事を思い出していた。
『それに噂とかそんなのは関係無しに、ミノルのこと、あたし、好きなんだから』
彼女は言うだけ言って、照れ隠しに笑ってそのまま立ち去ってしまった。
だからもしかすると冗談と思われてるかも知れないし、あの時の実隆の貌をはっきり見れなかった。
怖かったのもある。
そして、今朝の事もある。
だったら駅前で探せば早い、などという遠回りな事を平気で思いついてしまうのだ。
一応一報しておこうと、公衆電話に近づいて100円を投入する。
がらからんと金属音がして、発信音がする。
「あ、かあさん?あたし。ちょっと帰る遅れるよ。え、あ、うん」
馬鹿なことだと思いながら、彼女は――何となく、言い訳のような、なすりつけるような気分で言った。
「ミノル、ちょっと探してから行くよ」
しかしあてもなく、早いはずがない。駅に一体どれだけの人間がいるというのだろうか。
駅前のショッピングモールに独り出てみて、馬鹿なことをしたと後悔してみる。
勿論朝見たプラットフォームになんか、いるはずもない。
待ち合わせしていたってすれ違うような場所だ。偶然に会うことだって難しい。
――何、考えてるんだろうね
今朝のひなに当てられたせいだろうか。
――まあ、いいか。買い物でもして帰ろう
そう思い直して店を回ることにした。
実際、買い物に来るのは久し振りの話だ。
それどころじゃなかったから。実隆の事が気になって仕方がなかったから。
久し振りに回るCD屋の店内。
響く流行のポップに、新曲の試聴機、乱雑に並べられたポスター、踊る様々な宣伝とあおり文句。
きらびやかで。
確かにそこに感じられた魅力が、形としてそこにある。
ふと、見慣れたタイトルのCDを見つけて嬉しくなったり、欲しいタイトルが無くて悔しくなったり。
それは間違いなく。
そこには確かに存在したはずの時間と出来事が、記憶の欠片のように刻み込まれている。
――どうしちゃったんだろう
何故か、今その風景から切り取られてしまったように感じて。
菜都美は僅かに貌を歪めて店から出た。
先刻まで感じていたものが、今見えていた物がまるで嘘であると訴えているように感じて。
ほんの数日前には、この間来た時にはこんな風に感じなかった。
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ウィンドショッピング自体は、嫌いではなかったが、趣味でもなかった。
特に高校生になってからは、人混みに出る事自体が少なくなっていたから。
だのに、値札と商品を見落とす程気が散ってしまうのは何故なのだろうか。
――何、なんだろ
ため息をついて大きく伸びをする。
まだ陽は高い、と。
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一瞬それが町を――周囲を白く照らし上げたように思えて、目を細めた。
目を開けて、色が戻ってくる街を見つめる。
褪せた世界のその隅に――鮮やかな色がちらついて見えた。
――ミノ……
今度こそ、それは見間違いだと思った。
見間違いでなければいけなかった。
だから、考えるより早く足が動いて、それを確認しようとした。
見えた人影が入っていった路地へと飛び込み、消えた彼の姿を探す。
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幾つも並び、無粋に転がる路地裏の背景。
砕け、流れ、そして拾われることもなく忘れ去られ。
空間という名前に切り取られた閉鎖地帯。
ビルとビルの谷間――僅かに開けた、何もない空間。
「ミノル」
そこに彼の姿があった。黒い――いや、濃い紺のスーツ姿に、くわえ煙草で立ち竦んでいた。
紫煙を燻らせ、半身を彼女に背を向ける格好で。
声に気がついたのか、彼は視線をついと向けて眉を寄せる。
見慣れた形の貌が、見慣れない形に歪んで、聞き覚えのある声が聞いたことのない言葉を紡ぐ。
「お前は誰だ?」
ぎりっと視線を鋭く絞る。
同時に周囲に張りつめるような気配。
菜都美にはそれが、彼から染み出してくる闇のように感じた。
一気に漂う『化物』の気配。
――違う
同じ気配が、違うはずの彼から感じる。
同じ形の顔が、違う貌で彼女を見つめる。
もしかすると、細かいところに違いがあるのかも知れないが――思考しつつ、菜都美はそれが停滞していくのを感じる。
ざり
地面をこすりつける音。
ふいと腰を落とす菜都美の死角から風音。
どん、と音がした。
その瞬間は現実からかけ離れているように感じた。まるでそれだけ、切り取られたように。
風景が傾く。
傾いでいく総てに、菜都美は不思議そうに首を傾けた。
つもりだった。
ミノルの拳は菜都美の鳩尾に深く沈み込んで、彼女は痛みを覚えるよりも早く、深く意識を失った。
よける暇などなかった。本能的に構えた事も無駄になった。
自分が気を失おうとしていることにすら、彼女は気がつかなかった。
ずるりと流れ込んでくる闇に沈んでいく自分を、抑えようとする理性すら、失ってしまっていた。
「ふん……真桜か」
彼のその言葉が、最後に聞こえた言葉だった。
「どういうことだよ!」
今朝。
何故か真っ赤な貌で照れまくった菜都美の蹴りを受けた。
朝食の間中、何故か気まずい雰囲気のまま、昨晩の言葉の意味を聞けなかった。
『それに噂とかそんなのは関係無しに、ミノルのこと、あたし、好きなんだから』
それを聞く理由はなかった。聞かなくても判ってる。
――そうじゃない
『急ぎなさいな、ナツミちゃんが巻き込まれる前に』と今朝、彼女は言った。
菜都美と話をしなきゃいけない。そう思っていたのに。
「急げば間に合う口振りだっただろう!」
だから、思わず上擦った声が、感情を載せて迸る。
目の前にいる小柄な少女に。
「ええ。本来なら間に合うはずの、充分な時間がありましたわ。一月も。……誰かの選択で、それはずれてしまいましたわ」
家を飛び出して、不意に路地から姿を現した玲巳。
星も見えない夜穹の下で、青白く浮かび上がる彼女は、どこか自然ではない違和感を感じさせる。
「選択権は奪われ、先も――私の世界であった場合の可能性しか、判りませんわ」
そして一息つくと、彼女は伏し目で呟くように続ける。
「だから私の見た未来通りに彼女が連れて行かれたとは限りませんわ。何かに巻き込まれたのかも知れません」
沈み込んだような夜の闇の中、ぽつり、ぽつりと水音が響き始める。
ぴ、と額に冷たい感触が伝わる。
降り始めたようだ。
「大丈夫ですわ、ヒイラギミノルさん?お手伝い、願えますか――ここは貴方の世界なんですから」
さあっと雨音が響き始めて、無音とは異なった沈黙が回りを閉ざした。
「どうしろって言うんだ?レイミ、お前以前に……」
くすり、と声を殺して笑い、玲巳は嬉しそうな貌で実隆を見上げる。
それは外観の年不相応で、何故だか可笑しく感じた。
「貴方が動くことで変わるのですわ。私や、一部その意思の影響のままに留まる者はその限りではないですけれども」
実隆は玲巳の言葉に黙り込んだ。
断っても変わらない。
ここで拒絶して逃げたって変わらない。
でも、何の根拠も、そして彼女の相手をしている余裕などない、のに。
魔女は獲物を見つめる爬虫類のような瞳で、妖艶な笑みを湛えながら言葉を続ける。
「ミノル。――良いこと、教えて差し上げましょうか」
一歩実隆の側へと近づき、口の端をくいっと吊り上げる。
実隆は動けない。
「タカヤも関わっていますわ。彼女を捕らえたのは私の所属していた組織の一員ですもの」
ぎり、と瞳を絞り込んで実隆は玲巳を睨み据える。
「いい加減にしてくれ!もうお前の口車は聞かない」
「――それも、貴方の選択。尤もそれによって何がどう変わるか」
ふと目を丸くして、そして静かに自嘲の笑みを浮かべて言う。
「そうね、元々この世界で選択肢を与える存在じゃ、ないんですわ」
沈黙が周囲を包むように、彼女が闇に呑まれていく、そう錯覚した。
焦って声をかけようとして、実隆は蹈鞴を踏んでしまう。
ついと顔を上げる玲巳と視線を合わせ、彼はつばを飲み込んだ。
惹き込まれるような眼光に動悸が高ぶる。
「レイミ、お前、だったら……どうしてここに居られるんだ?」
「私という意思が存在せず、意志が発生しないから。喩え、私という存在のため、誰かの意思が変わるとしても」
彼女は世界に爪痕を残せないということ。
彼女は世界を作れないと言うこと。
完全に、世界から外れてしまった存在――だから、彼女は外観以上に成長もせず。
――不老不死
もしかすると、彼女は、総ての意思の総意を求めているのかもしれない。
「それは、意思が選択した結果。第一――可能性が、総てそれで閉ざされる訳じゃないから、ですわ」
再び沈黙。
実隆は一度瞬きして、目を閉じる。
「……俺は如月に向かう。五十嵐が関わってるかどうか調べる事にする」
そう、と呟くような玲巳の返事。
「お前は、黒崎藤司を探して居るんだろう?」
「ええ」
迷いのない玲巳の声。
感情を、むしろ感じさせないそれに、実隆は事務的に続ける。
「……菜都美を、もし知っていたら」
「すぐに連絡しますわ。見かけても、必ず」
玲巳は即答すると僅かに笑みを湛える。
「互いに、成功を祈りましょう」
彼女は呟くように言うと、さっと背を向けて、今度こそ闇に溶け込んでいった。
玲巳は夢を見ていた。
自分が関わる世界の夢だ。
自分の寝床で、彼女は『彼女』が識っている事を、再び知り得る為に、夢という形で眺めていた。
でもそれは、今の現実とは変わっていた。
変わり始めていた。
だから気づいた――世界の位置が、ずれてきているのだと。
自分に一番近い、もう一つの枝に紛れ込んでしまったのだと。
それでも彼女は自分の識っている未来のために、動くしかなかった。
彼女には世界の選択権はなく――ただ、今存在する世界の意思の可能性に最も近い存在だからだ。
――選択権を行使出来る人間は、世界を変えられるのですわ、ヒイラギミノル
だから。
彼女の識る未来よりも不幸なことがあるのだとしても、彼女は祈ることしかできなかった。
◇次回予告
目覚める菜都美の側にいる、ミノル。
「……取りあえず、食事を終えろ」
彼の目的は何か。
そして五十嵐に探りを入れようとするのは。
Holocaust Chapter 6: 菜都美 第6話
ヒイラギさん、私は
穿たれた空白の記憶
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