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――何を言ってやがる、たかが人間如きが。
  お前ら人間の方が何倍も化け物じゃねえか!
  それだけ醜い悪魔を心の中に飼っているくせに―


 剣が、宙を薙いだ。


Holocaust


 少年は、夢を見始める。
 立ちこめる濃厚な金属の臭い――生臭い脂の臭い。

 始まりこそ終わり。

 何かが歯車を立てて動き始めた時、転がるように墜ちていく――

「うーん、もらうのは全然いいんだけど、里美さんなんていうかなぁ」
                                                 楠 隆弥

 少年は孤児。
 何の因果か拾われた家族と共に、境遇以外はごく普通の少年として生活していた。
 柊 実という自分の名前だけを財産にして。


「とーぜん。伊達に助っ人御嬢をやってないわよ。それより急いだ方がいいわよ?」
                                                 真桜菜都美


 やがて、夢と現実の境目は朧気になっていく。
 どれが自分の意識で、どれが自分の意志なのかすら判らない。
 朧気に残るものは。


「るせーよ。…わざわざ昼飯のこんな時間に教室の前で睨まれてりゃ、嫌にもなる」
                                                 柊 実隆

 眠れない夜が訪れる。
 等しく――ニンゲンデハナイモノタチヘ。
 等しく一人でしかいられないものたちへ。


「…お前はわたし達ではない。以上の理由から消去する。それが役目だ」
                                                                近日公開予定

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