高尾一日亭 国立市から中央線でわずか20分の高尾に引っ越して三年半になる。わずか20分とはいえ、この差はでかかった。引越しの日、駅前の2軒のみやげ物屋を見て、子どもは軽いカルチャーショックを起こしたようだった。夜、隣家を訪れた連れ合いもまた、隣家の人の言葉にカルチャーショックを受けた。 「オクサン出るんです、この辺」 「出るって、幽霊とか?」 「違うのよ」 「じゃ、まさか痴漢(こんな山奥で・・・?)」 「タヌキよ、タヌキ!」 ひまなときは体力作りをかねて山道を散策する。野ウサギやリス、ムササビを望見することがある。けもの道を歩いていると、コロコロした野ウサギの糞はもちろん、正体の知れない動物の大きな糞に出会うこともある。落とし主はタヌキなのか、イタチのか、それともシカとかイノシシ、まさかクマではあるまいな。ぼくの糞ウォッチングはだんだん想像が肥大していくようだ。 |