成田新高速鉄道の運営・整備のイメージ


 都心〜成田空港の所要時間を短縮する「成田新高速鉄道」構想が、2001年後半ごろから、にわかに実現に向けて動き出した。
 約1500億円とされる多額の整備費を必要とするため、新設の印旛日本医大〜土屋(分岐部の通称)は、鉄道施設の建設・保有主体と列車の運行主体を分ける「上下分離」方式が採用されることになった。
 この保有主体については、既存の成田空港高速鉄道を活用するのが自然かとも思われたが、同社にはJR東日本も出資しているなどの事情から、別の第3セクターを新設することになったようだ。2002年3月に決定した新しい3セクの社名は「成田高速鉄道アクセス」。成田空港高速鉄道との重複を避けた苦心の跡がうかがえる。
 一方、列車の運行は、京成が一貫して担当することになった。空港第2ビル〜成田空港には、京成成田駅経由の現行ルートの列車も残るので、成田空港駅の一体運営という側面を考えれば、理にかなったものといえる。ただ、京成高砂〜印旛日本医大では北総の列車と線路を共用することになる。もともと京成〜都営地下鉄〜京急のルートは、多数の事業者が絡んだ複雑な相互乗り入れが展開されていることで知られるが、新高速鉄道が完成した暁には、一段と複雑化することになった。

 新高速鉄道開通時の羽田空港〜成田空港について、運行主体と保有主体を整理したのが下のイメージ図だ。
 京成高砂以遠では、印旛日本医大止まりの列車の運行は従来通り、北総が担当。成田空港まで直通する特急や(京成上野発の)スカイライナーの運行は京成が担当することになる。なお、土屋〜成田空港は京成が1435mm、JRが1067mmと軌間が異なるため、単線並列運転が維持される。

羽田空港 泉岳寺 押上 京成高砂 小室 印旛日本医大 土屋(※) 成田空港
運行 京浜急行電鉄 東京都 京成電鉄 京成電鉄
北総鉄道 北総鉄道   東日本旅客鉄道
保有 千葉ニュータウン
鉄道
成田高速鉄道
アクセス
成田空港高速鉄道
バイパス建設
検討区間
※=正式名は「成田空港高速鉄道接続点」

 
 成田高速鉄道アクセスは2002年4月に設立され、同7月に同社が第3種(印旛日本医大〜成田空港高速鉄道接続点、10.7km)、京成が第2種(京成高砂〜成田空港、51.4km)の鉄道事業許可をそれぞれ受けた。2010年7月17日に開業し、新「スカイライナー」が日暮里〜空港第2ビルを最短36分で結ぶようになった。
 多くの事業者が連携を円滑にし、スムースな運行が行われるよう期待するとともに、現在、国土交通省で検討が進められている押上〜東京〜泉岳寺間のバイパス線が早期に整備され、成田〜羽田両空港間の所要時間短縮も実現するよう願っている。 

(2010年9月7日最終更新)


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