盛岡〜新青森の経営分離のイメージ


 東北新幹線・盛岡〜八戸〜新青森の開業で、並行在来線である東北本線はJR東日本から分離された。地元自治体である岩手、青森両県は、同区間を県境地点で二分し、協調しつつも別々に運営している。
 このうち岩手県は、JRからの経営分離区間において従来から用いられている第三セクター会社方式を採用、「IGRいわて銀河鉄道」(登記上は「アイジーアール」)を設立した。一方、青森県は運営主体となる第三セクターの資産買取負担を軽減することなどを目的に、鉄道施設は県が保有する「上下分離」方式を採用、運営主体として「青い森鉄道」を設立した。
 なお、岩手、青森両県の県境(金田一温泉駅と目時駅の間) には駅が存在しないため、実際の運営は、目時駅を境とする。これらの関係をまとめると、以下の図のようなイメージになる。

盛岡 (県境) 目時 新青森
運営(旅客) IGRいわて銀河鉄道 青い森鉄道
運営(貨物) 日本貨物鉄道
保有 IGRいわて銀河鉄道  青森県
     

 2つの第三セクターと青森県は2002年5月28日、盛岡〜目時〜八戸について、国土交通省の鉄道事業許可を受けた。それによると、許可区間は目時を境にしており、実際の鉄道施設の保有区間とは若干のズレが生じることになる。詳細は不明だが、JR旅客各社どうしの営業区間の境界が施設の保有区間の境ではなく、駅を境にしていることと同様の考え方と思われる。
 なお、盛岡〜新青森の全線にわたって第2種鉄道事業者として貨物列車を運行する日本貨物鉄道(JR貨物)の費用負担問題については、2000年12月の政府・与党合意で、JR東日本が日本鉄道建設公団(現在は鉄道建設・運輸施設整備支援機構)に支払う整備新幹線の貸付料の一部を原資としてJR貨物に支援することが決定した。ただ並行在来線の経営はそれでも苦しく、岩手、青森両県など自治体側は、国やJR各社による支援拡大を求めており、問題は今も解決しているとは言い難いのが実情だ。 

(2010年12月13日最終更新)


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