(1)札幌市
軌道区間である1条線(西4丁目〜西15丁目)、山鼻線(すすきの〜中央図書館前)、山鼻西線(西15丁目〜中央図書館前)の営業キロ及び境界となる電停名は、『鉄道要覧』によると、鉄道事業法施行後の1987年度以降に限っても、下表の通り、各年度ごとに頻繁かつ微妙に変動がある。この理由は不明だが、(1)『要覧』の付属地図に停留場間の営業キロが記載されておらず詳細が不明である(2)全体としての営業キロは8.5kmで一致している――ことも考慮し、『要覧』記載の営業キロの変動があった場合には、編集時点(毎年3月31日)までに改キロがあったものとみなして、上記各区間の営業キロは要覧の記載に一致させる形で計上する。
1987 | 1988〜90 | 1991〜99 | 2000〜02 | 2003〜 | |
(境界) | 西4丁目 | → | → | → | → |
1条線 | 1.4 | 1.4 | 1.4 | 1.3 | 1.3 |
(境界) | 西15丁目 | → | → | → | → |
山鼻西線 | 3.0 | 3.0 | 3.0 | 3.2 | 3.3 |
(境界) | 教育大学前 | 西屯田通 | 中央図書館前 | → | → |
山鼻線 | 4.0 | 4.1 | 4.1 | 4.0 | 3.9 |
(境界) | すすきの | → | → | → | → |
合計 | 8.4 | 8.5 | 8.5 | 8.5 | 8.5 |
なお、『日本の路面電車ハンドブック』では、1997年版、2001年版のいずれにも1条線(1.349km)、山鼻西線(西15丁目〜山鼻線接続点、3.268km)、山鼻線(山鼻西線接続点〜すすきの、3.848km)の計8.465km(接続点は中央図書館前〜石山通の間)と記載している。各停留場間のキロ数が両年版で変更されている個所があるにもかかわらず、合計が不変である理由は不明であるうえ、『要覧』とは山鼻、山鼻西両線の区間も異なっている。いずれにせよ、各停留場間キロ数の変動が『要覧』の営業キロの変化につながっていることも考えられる。
また、「日本の鉄道全駅駅名総覧9820」(「旅」2002年8月号別冊付録)によると、上記の8.465kmという距離は、1条線起点〜西4丁目(39m)+西4丁目〜すすきの(8410m)+すすきの〜山鼻線起点(16m)の合計だという。
(2)東武鉄道・伊勢崎線
2003年3月19日開業の「押上〜曳舟」は、『鉄道要覧』によると、既設の伊勢崎線(浅草〜業平橋〜曳舟〜伊勢崎、114.5km)のうち、「業平橋(2012/03/17から「とうきょうスカイツリー」)〜曳舟 1.3km」の別線線増(複々線)である。このため、独自の営業キロを持たない区間として扱い、キロ数は計上しない。
(3−1)京成電鉄・東成田線
『鉄道要覧』には「京成成田〜東成田 7.1km」と記載されているが、このうち「京成成田〜駒井野分岐部 6.0km」は本線(京成上野〜駒井野分岐部〜接続点〜成田空港)と重複しており、京成電鉄の営業キロ合計(152.3km)に含まれていないため、「駒井野分岐部〜東成田 1.1km」として計上する。
(3−2)京成電鉄・成田空港線
『鉄道要覧』には「京成高砂〜成田空港 51.4km」と記載されているが、このうち「接続点〜空港第2ビル〜成田空港 1.5km」は本線と重複しており、京成電鉄の営業キロ合計(152.3km)に含まれていないため、「京成高砂〜接続点 49.9km」として計上する。
(4)京王電鉄・京王新線
いわゆる京王新線(新線新宿〜笹塚、3.6km)は、『鉄道要覧』によると、京王線(新宿〜京王八王子、37.9km)のうち、「新宿〜笹塚 3.6km」の別線線増(複々線)である。このため、独自の営業キロを持たない区間として扱い、キロ数は計上しない。
(5)東京急行電鉄・目黒線と東急多摩川線
旧・目蒲線(目黒〜蒲田、12.9km)は2000年8月6日、運転系統が目黒線(目黒〜武蔵小杉)と東急多摩川線(多摩川〜蒲田)に分割され、戸籍上はこのうち目黒線の「田園調布〜多摩川〜武蔵小杉」が東横線の複々線区間の扱いとなった。このため、従来は二重戸籍区間として東横線とは別に計上されていた目蒲線の「田園調布〜多摩川 0.8km」の営業キロは減少し、目黒線は「目黒〜田園調布 6.5km」、東急多摩川線は「多摩川〜蒲田 5.6km」として計上する。
(6)東京地下鉄・13号(副都心)線
旧・有楽町新線(有楽町線複々線区間=小竹向原〜新線池袋)は2008年6月14日、13号(副都心)線・池袋〜渋谷の開業に伴い同線に編入された。東京地下鉄は小竹向原〜池袋について、8号(有楽町)線と13号(副都心)線の別線並行区間ととらえており、有楽町線は3.2km、副都心線は3.0kmと異なる営業キロを設定している(運賃計算上は、先に開業した有楽町線に合わせて3.2kmとする「運賃計算キロ」を適用)。これに対し、『鉄道要覧』は13号(副都心)線を「池袋〜渋谷 8.9km」としている。注記欄に「小竹向原〜渋谷間のキロ程は11.9km、小竹向原〜池袋3.0kmは有楽町線の線路を使用」と記載して、有楽町線と異なる営業キロを設定していることを付記しているものの、小竹向原〜池袋は別線線増(複々線)として扱っていることから、13号線は「池袋〜渋谷 8.9km」として計上する。
(7)ゆりかもめ
いわゆる新交通システムでは運輸・建設両省(2001年1月、国土交通省に統合)の管轄の調整から、第1種鉄道区間と軌道区間が混在するケースが多く、ゆりかもめの場合も同様である。2001年3月22日の新橋駅の本駅開業に伴って一部区間で改キロが実施され、「JTB時刻表」では「日の出〜お台場海浜公園 4.8km」(1種区間、0.1km増)、「お台場海浜公園〜テレコムセンター 2.2km」(軌道区間、0.1km減)と記載されるようになった。しかし、『鉄道要覧』(2001年度版以降)の本文ではこの改キロが反映されていない(付属地図では反映)。
これについて従来は、「『要覧』の修正漏れ」とみなし、改キロ実施後のキロ数で計上していた。しかし、他の路線のキロ数も『要覧』に忠実に従う方向に改めたことに鑑み、多数の改廃が発生した2002年12月1日の更新時に、『要覧』に従って改キロ前と同様に、「日の出〜お台場海浜公園 4.7km」「お台場海浜公園〜テレコムセンター 2.3km」として計上することに改めた。
(8−1)名古屋鉄道・瀬戸線
終点・尾張瀬戸駅は2001年4月14日、新駅舎竣工とともに移設され、線路は若干伸びた。この後に発行された『鉄道要覧』(2002年度版)には営業キロは0.1km増加したと記載され、「JTB時刻表」も2002年12月号から同様に修正された。従って、「栄町〜尾張瀬戸 20.6km」として計上する。なお、改キロの日付はJTBが運営していた時刻表サイト「スパなび」(閉鎖)に拠り、2002年4月1日として扱う。
(8−2)名古屋鉄道・小牧線/上飯田連絡線
小牧線の上飯田〜味鋺については2003年3月27日の地下化と名古屋市・上飯田線への直通開始に伴い、名鉄が第2種、上飯田連絡線(株)が第3種となった。これに伴う改キロにより、この区間は「味鋺〜上飯田 2.3km」として計上する。なお、同区間の名鉄の運賃計算キロは2.1km(上飯田〜味鋺の旧・営業キロ2.0km+味鋺〜味美の改キロに伴う減少分0.1km)となっており、営業キロと異なるので注意。
(9)京都市/京都高速鉄道・東西線
両端区間は京都市の第1種区間だが、京阪電気鉄道の京津線廃止区間と重複する御陵(みささぎ)〜三条京阪については京都市が第2種、京都高速鉄道が第3種となっている。このうち御陵〜二条について「JTB時刻表」では「御陵〜三条京阪 3.4km」「三条京阪〜二条 3.0km」と記載しているが、『鉄道要覧』の記述に沿って「御陵〜三条京阪 3.3km」「三条京阪〜二条 3.1km」として計上する。(2009/04/01に同区間が京都市の第1種区間となったため、解消された)
(10)阪急電鉄・京都線
「鉄道統計年報」や日本民営鉄道協会発行『大手民鉄の素顔』などは「梅田〜河原町 47.7km」として扱っているが、『鉄道要覧』の記述に沿って十三駅を起点とし、「十三〜河原町 45.3km」として計上する(梅田〜十三は宝塚線の複々線扱い)。
(11)神戸高速鉄道・東西線、南北線
同社は第3種事業者だが、第2種や第3種事業を定めた鉄道事業法が施行される以前に、車両を持たない「トンネル会社」として開業した経緯から、他の書籍などでは東西線「西代〜三宮 5.7km」「高速神戸〜元町 1.5km」、南北線「新開地〜湊川 0.4km」を同社の営業路線として扱い、キロ数に計上しているケースが多い。
しかし今日では、他にも第3種事業者が多数存在しており、神戸高速鉄道自体も他に北神線(新神戸〜谷川、7.5km)の第3種事業も引き受けるに至っており、東西線と南北線だけを特別扱いするのは不自然である。このため原則通り、第2種事業者が営業している区間に従って、東西線については「阪急電鉄神戸高速線・三宮〜新開地 2.8km」「阪神電気鉄道神戸高速線・元町〜西代 5.0km」、南北線については「神戸電鉄神戸高速線・新開地〜湊川 0.4km」として計上する。
(12)神戸新交通・ポートアイランド線
2002年開業区間のうち、「先端医療センター前〜神戸空港」については「JTB時刻表」では3.6kmとなっている。『鉄道要覧』(2006〜07年度版)では「先端医療センター前〜神戸空港 3.5km」と記載され異なっていたが、2008年度版で訂正されたため、開業時点にさかのぼって「先端医療センター前〜神戸空港 3.6km」として計上する(なお、特許取得時の資料によると、市民広場〜先端医療センター前〜神戸空港の営業キロは0.81+3.53=4.34km)。
(13)北条鉄道
終点・北条町駅は2001年11月20日、駅前開発に伴い移設され、線路は若干短縮された。この後に発行された『鉄道要覧』(2002年度版)には営業キロは0.1km短縮したと記載され、「JTB時刻表」も2002年12月号から同様に修正された。従って、「粟生〜北条町 13.6km」として計上する。
(14)井原鉄道
総社〜清音は第2種区間(第1種はJR西日本)、清音〜神辺は第1種区間となっている。『鉄道要覧』(1999年度版)では「総社〜清音 3.3km」「清音〜神辺 38.4km」と記載され、「JTB時刻表」の記述と異なっていたが、2000年度版では訂正されたため、同区間については「総社〜清音 3.4km」「清音〜神辺 38.3km」として計上する。
(2013年10月14日最終更新)