雑記帳


「ない!」 Part2
以前、テント場に着いてからテントのポールを持ってこなかったことに気づいたら目も当てられないとか書いたが、ザックそのものがないことに気づいたときといったらもっと悲惨だろう。実はそれに近い目に最近遭ってしまった。もちろん自分のうっかりが原因なのだけれども。


時は奥秩父の十文字峠越え山行初日。舞台は小淵沢駅。
高尾からの各駅停車を降り立って、乗り換えのために移動した小海線のホームでは両側に列車が2台停まっていた。人が乗っている方の車内にザックを置き、発車時刻まで時間があるからと駅のトイレに行って戻ってきてみると、その列車が、ない。
ホームの反対側、荷物を置かなかった方の列車だけが残っている。ええっ、どういうことだ?
なんで発車時刻前なのに列車がいなくなっちゃったんだ?どこか異次元空間にでも消えてしまったのか?(まさか)。さっきまで列車が占めていた空間がまったくの空虚と化している。理由はわからないが、とにかく荷物だけ先に行ってしまったことだけは確かなようだ。


深呼吸したのちにホームの列車時刻表を見て、そこの小さな張り紙を読んで事態を悟った。実はザックを乗せたのは臨時列車で、自分が乗る予定より20分くらい早く小淵沢駅を出るものだった。出たのはほんの5分前。しかし大きな5分だ。ともあれ慌てて駅の窓口に走り、事情を話す。問題の列車は野辺山駅が終点なので、そこで荷物を預かってもらうことにされた。親切な駅員さんに礼を言って残っている小海線の車両に乗り込み、半ば放心して車窓を眺める。
貴重品はみな身につけているので安心だが、いま乗っているのが本来乗るはずのもので、これを野辺山で降りてしまうと次のに乗るには一時間は待たなくてはならない。本日の下車予定駅である信濃川上駅は野辺山の先なのである。しかも一時間遅れで着いた信濃川上からのバスはだいぶ待たないとない。今のに乗っていけば接続はきわめて良いのだが....。仕方ない、タクシーで8,000円だか出して十文字峠への登山口まで行くのか、高くついた失敗だな….と思い悩むうちに野辺山に着く。


それっとばかりに改札に行くと、下車する人たちの扱いが先なので後回しにされてしまう。列車は停まっているが、すぐにでも発車しそうで気が気でない。しかもようやく荷を引き取ろうと言う場面で、身分証明を求められる。たまたま今回持ってきた定期券入れから自動車免許証を出して荷物を回収し、振り返ると、ワンマンカーである小海線の運転手氏は列車を降りて煙草をのんびりふかしていた。
実のところ小海線はここでだいぶ長いこと停車するのだった。慌てて損した気になったが、ともあれザックは戻ってきたし、予定通りの列車で信濃川上駅まで行くことができるし、まずは一安心。
しかし臨時列車が野辺山止まりでよかった。小諸駅あたりまで行くものだったら山そのものが中止になるところだった。それと身分証明になるものを持っていたことも。いつもは家に置いてきていたので。
というわけで教訓は、
1.臨時列車に気をつけよう。
2.身分証明書は携帯しよう。
2001/6/1 記

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