雑記帳


鎌倉の一日
久しぶりに連れと一緒に鎌倉に行く。いつものように北鎌倉駅で下りると、二分咲きの紅梅が近所の庭先で控えめに歓迎してくれている。今日はここから六国見山という小さな山に登った。山頂でレトルトのハヤシカレーを暖めて、家で炊いてきたごはんにかけて食べる。「おいしいね」「そうだね」。鎌倉の海を遠くに眺めながら、安上がりに贅沢を感じられた。
山を下っていくと、三人連れの女性の方たちが上がってきて、「こっちが『ろくけんざん』ですか?」と尋ねる。そこで当方大間違いをやらかし、『くこくけんざん(っこくけんざん)』が正しいのに、『っこくけんざん』です、と自信を持って答えてしまった。あのひとたちはしばらくのあいだ、この山を間違えて呼ぶだろうと思うと気が咎めるし恥ずかしい。どうもすいません。


デザート代わりに明月院近くの喫茶店でケーキセットを食べる。このあたりに来ると必ず寄る店なのだが、いつも二人で来ているせいか期間が開いても顔を覚えてもらっていて、また来て下さいと挨拶される。
そろそろ自分もhomepageを作りたくなってきた連れが、サイトの雰囲気の研究のためと称してこれも明月院の近くにある葉祥明美術館に入る。が、例のごとく二人ともお土産売場で足が止まって美術館本体に進まず、ヒーリング系のCDを買ってそのまま出てしまった。シンセで模したオルゴールのポピュラークラシックで、表紙に葉祥明の手になる猫のイラストが配されている。一枚300円。これなら外れても痛くない値段だ(帰宅してから聞いてみたが、悪くなかった)。
鎌倉駅近くの古本屋に行ってみたかったので巨福呂坂を鶴ヶ岡八幡宮方面に向かう。途中、近代美術館の別館前を通ると幻想をテーマとした版画の所蔵展を開催している。ルドンやクリンガーの不気味な静けさに満ちたモノクロの作品がポスターの中で手招きをしており、断りきれずに入ってみると、まずはゴヤの作品が出迎える。『戦争の惨禍』と題されたシリーズで描かれたものは、幻想どころかリアルそのもの....。
どことなく厳かな気分になったところで賑やかな小町通りに繰り出し、古本屋を何軒か冷やかす。連れには収穫はなかったようだが、わたしは数式の書いていない数学の本を一冊安く手に入れた。暗くなってきたので家に帰るべく鎌倉駅に出た。


山もいいけど、こういう一日も満足感が残る。お金もあまり使わなかったしね。
2001/2/10 記

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